りんくうタウンの事業費一千億円増/府費千八百億円投入/事業破たんのつけ府民に押しつけるな/銀行のもうけは利子だけで二千億円/府議会決算委で黒田府議
関西空港の対岸部に大阪府が造成し、事実上破たんしている、りんくうタウン事業は借金を重ねるなどで、大阪府がいっている事業費五千九百億円が、実際は六千九百五十四億円になっていることがわかりました。また、府民の税金が新たに二百五億円投入され、府費投入は、あわせて一千七百九十七億円となる一方、銀行は総額二千億円ものもうけを手にすることも判明しました。
一日と十月二十六日の府議会二〇〇五年度決算特別委員会で日本共産党の黒田まさ子府議が明らかにしたものです。
りんくうタウンは当初、空港補完施設として総事業費千七百億円の計画でした。バブル期の一九八八年、大和銀行(現りそな銀行)が高層ビルが林立する構想を提案。それをうけて府は事業費を五千五百億円に膨らませました。
ところがバブルが崩壊し、進出を表明していた芙蓉グループ、松下電器、住友、三和グループなどが撤退。これら企業は手付金だけ支払い、中間金も延滞金も支払っていません。
決算委で太田知事は「企業の撤退は商取り引きの一環。責任は求められない」と企業を擁護する立場に終始しました。
計画がゆきづまった同事業は二〇〇三年まで四回にわたって見直しを実施。りんくうタウンの中核部分である商業業務ゾーンで一平方b当たり百三十一万円だった分譲価格を二度の引き下げで三十六万円にまで引き下げ、二〇〇三年には定期借地方式を導入しました。
同事業への府費投入は二〇〇一年の事業見直しにもとづくもので、今回の決算委で明らかになった二百五億円は道路や公園の整備費。ほかに道路と公園用地等の買い取り費用六百四十三億円、定借方式導入のために二〇〇三年に新たに立ち上げた「まちづくり促進事業会計」に政策補助金として四百二十五億円となっています。これ以外に公共施設に五百二十四億円を支出しています。
収入については定期借地の期限(二十年)後に一平方b当たり三十六万円(商業業務ゾーン)で売却し、千二百八十二億円を見込んでいます。このなかには、りんくうタウンに移転することになっている府立大学農学部(生命科学環境部)の大学院施設の用地を、府が実勢価格より十億円も高く買い取る三十九億円が含まれています。
黒田議員は、「分譲価格の引き下げや定期借地方式の導入など結局、借金の返済のために借金をつくったということだ。この事業で銀行はすでに千百三十四億円の利息による利益をあげており、今後も八百二十八億円の利息を受け取ることになる」と指摘。定借地売却についても周辺の地価は下落し続けていることから「予定価格で売却できるとは限らない。また新たな借金を上積みし、府民につけを回すことになる。そのことになんの責任も感じないのか」と知事を追及しました。
太田知事は「適宜、適切な判断だった」と破たんの責任を認めず、「企業立地が促進し、街が成熟して土地の付加価値が高まる」と強弁しました。
黒田議員は、「行政と銀行を中心にした企業が事実上一体となってすすめた事業の失敗を行政だけがかぶるのは納得できない。この事業は行政の不良資産だ。問題の解決を二十年、三十年遅らせ、その間、銀行に利子を払いつづける。『究極の先送り策』『あとは野となれ山となれ』式のやり方に強く抗議する」と主張しました。
投稿者 jcposaka : 2006年10月27日