労働組合の歴史的転機の時期大阪の労働運動の歴史をたどって(最終回)労働問題研究家皆川弘志さんに聞く(6面)
大阪は全国的に見ても、労働戦線の中での反共分裂主義が一番強かったと思います。これを打ち破って戦闘的な伝統が創られたのです。まさに、大阪の労働戦線は「反共分裂主義との闘いの中で、労働組合運動の原則を守り強くなった」と言えます。
「反共決議」を上げた大阪総評
ほかに例がないほど異常なことでは、総評・大阪総評での「反共決議」です。動労内のいくつかの支部や組合員が「政党支持・政治活動の自由」を主張し、社会党支持の「機関決定に従わなかった」として、大阪総評が74年1月「日本共産党に反省を期待する」声明を発表しました。74年9月には、全金・全逓・全電通・動労など7労組が「日本共産党の労働組合支配介入糾弾共闘会議」を結成し、同月の大阪総評第27回定期大会は「日本共産党に反省を求める決議」を採択しました。
全電通では、71年に、労働組合の社会党支持の義務づけに反対して「政党支持・政治活動の自由」を主張した、岩崎俊さんら4人が権利停止、足原英明さんが無期限権利停止になりました。これが大阪の特定政党支持での組合処分の最初です。その後、組合処分は、全電通・動労・全金・全逓・同盟平野金属などで役員罷免・執行権停止・除名が行われました。動労の宮原・竜華両支部の排除を入れると150人以上になります。
動労では、特定政党へのカンパに応じなかったことを理由に、宮原・竜華両支部に対し、支部事務所の奪還と称して「革マル」を先頭に襲撃が加えられました。支部の組合員と支援の統一労組懇関係の労組などが防衛し撃退しました。
また、「解同」(部落解放同盟)の反共暴力との闘いもありました。69年、解同は、大阪市教組の支部役員選挙の「立候補あいさつ状」に因縁をつけ、不当にも反共暴力で、介入してきました。労働組合の右翼社民幹部は、当局・「解同」と一体になって「差別者」と決めつけ、組合の「権利停止」処分を加えてきました。しかし、反撃によって、71年1月には、「権利停止」を解除させました。
「解同」や中ソ盲従派との闘い
一方、「解同」は、これで味をしめ、教職員や自治体職員とその労働組合への攻撃や自治体の首長や行政を脅し、不公正な同和行政と利権を獲得していきました。「解同」は、羽曳野市に革新市長が誕生すると、連日数百人の動員部隊を送りこんで、市長を監禁しました。このときも、統一労組懇の労働組合や民主勢力が、連日動員で圧倒し、反共暴力を封殺しました。郵政関係では、「解同」の支部ともいえる「解放研」を各局に作り、当局と労働組合右翼幹部が一体で、「解同」と連携して共産党や民主的活動家の封じ込めに「同和問題」を最大限に活用してきました。
いくつかの大きな単産や単組に、共産党を除名された反共労組幹部がいました。また、大阪の当時国会議員の志賀義雄や綱領確定前の役員や一部学者など、当時のソ連や中国に影響を受けた反党分子が、労働運動や国際友好運動、原水禁運動の分裂に悪い役割を果たしていました。63年第9回原水禁大会で社会党・総評が脱退をしました。
大阪ではソ連の意図のもとに、社会党・総評・反党反共分子の手で、64年に「大阪軍縮協」が創られ、中国の毛沢東による「日本共産党を主敵とする『4つの敵』」論の影響のもとで、日中友好協会を脱走した中国盲従分子が、66年「日中友好協会正統本部」をつくり、労働組合の反共勢力と結びついていました。
この中国盲従集団と結びついていた、全金田中機械支部(委員長は、武装闘争・反共暴力賛美の毛沢東思想学院の講師、京大の反共学者井上清や山口県の「はぐるま座」と連携)は、「ガードマン規制法」問題で、反共攻撃を行い、72年に、日本共産党員の支部役員に暴力をふるい、「権利停止3年」の組合処分を加えました。また、73年には、大阪メーデー会場で、共産党代表のあいさつに対して「日共粉砕」を叫び、旗を振り回しました。
大阪の誇りは、労働戦線の真の統一にとって、不可欠の「政党支持・政治活動の自由」を守り、労働組合を守り抜く闘いに、真正面から挑んで前進してきたことです。また、革新統一戦線の結成に向けて、革新自治体の建設という闘いを通じて、労働組合が統一戦線思想を身につけて来たことです。大阪の革新懇談会は、全国で最初に結成されました。大阪労連の結成も全国で2番目でした。また、黒田革新府政が誕生した後、この闘いのなかで、大教組、大阪府職労の階級的民主的強化が図られ、大阪での統一戦線運動に新たな活力を与え、さらに貢献しました。
労働者の利益守る勢力を大きく
いま、大阪労連は、加盟組合内部だけにとどまることなく、パートや派遣労働者など圧倒的多数の非正規労働者組織する「地域労組」に力を入れています。ビクターやイナックス、松下プラズマディスプレーなど、大企業の中に組合員がつくられています。阪急の職場では、労働組合と職場活動家が連携して、非正規労働者の要求が実現しています。郵産労も、日常的に「ゆうメイト」(パート労働者)の要求を取りあげています。
大阪労連は、関西財界とも交渉権や発言権をもち、必要な交渉や行動に取り組んでいます。こうした前進的条件を創り出してきたことに確信を持って、労働戦線での共同と真の統一を目指す闘い、努力が必ず大きな躍進と成果を結ぶ事は確実です。
当面、重要なことは、来春闘の前進と参議院選挙、一斉地方選挙で労働者の利益を守る政治勢力を大きくすることです。労働組合は、労働者の政党支持政治活動の自由を保障することが最重要課題です。その事が労働組合の強化につながります。一方、大企業中心の自民党政治を根本的に変えるには、財界から政治献金をもらい、憲法改正や消費税増税、労働法制の規制緩和促進、リストラ支援、公務員の削減を掲げる民主党ではできません。労働者の要求を国会で取り上げ、闘ってきた日本共産党の躍進こそ決定的に重要です。行き詰まる自民党政治を変える参議院選挙を正面に据えて、労働者の総力で勝利しましょう。(おわり)
投稿者 jcposaka : 2006年12月10日