仕事・子育ての悩み・将来不安…現代女性の姿浮き彫り 新婦人がアンケート《6面》
少子高齢化、低出生率の改善が声高に叫ばれる中、女性たちは今をどう生き、どう働いているのだろうか---。新日本婦人の会大阪府本部は20〜30代女性の“本音”を聞こうと、9月から10月に掛けて「女性の自立と少子化を考えるアンケート」を実施。会員やその家族、職場、地域、労働組合などへの申し入れを通じてアンケートを配布し、715人から回答が寄せられました。アンケートからは、仕事や子育ての悩み、将来の不安など、今を生きる女性の姿が浮き彫りになりました。
時短・保育制度充実・夫の育児参加を
新婦人がアンケート
回答者は、20代34%、30代60%で、既婚58%、未婚は31%、子どもの人数は0ないし1人が41%でした。
雇用形態では、正規雇用(48%)と非正規雇用(うちパート18%・派遣13%・フリーター2%・その他15%)を合わせて働く女性が全体の62%を占めています。
茶くみ、セクハラ、賃金・昇格差別の不利益を
働く女性に対して仕事と生活のバランスについて聞いたところ、正規では、バランスが「とれている」43%と「仕事の比重が重い」(44%)がほぼ同じなのに対し、非正規では「とれている」が65%で、「仕事の比重が重い」が19%と、あえて非正規の働き方を選ばざるを得ない状況が浮き彫りになっています。
また、女性だからと不利益な待遇を受けているか(複数回答)で一番多かったのが、「お茶くみ・後片付け・掃除」63人。次いで、「賃金差別・昇給・昇格の差」50人、「セクシャルハラスメント」47人、「結婚・出産での退職勧告」24人でした。中には、「仕事は男のものと言われた」「男性だけで開く会議がある」「大きな仕事を任されることがないので必然的に昇格に差が出てくる」などの声も。
少ない夫の育児参加と制度の遅れでしわ寄せ
また心身の健康で気になることについては、「腰痛」が128人と最多。次いで「生理不順」72人、「不眠」54人、「うつ的症状」43人。原因として、「仕事と家事・育児などの負担」と答えた人が110人と最も多く、過重労働(残業の常態化・休日出勤など)が74人、「生理休暇が取れない」31人で、多忙によるストレスと精神的な余裕のなさで追い詰められている状況が垣間見えます。
子育て世代へは、子育てと仕事の両立について質問。困っていることでは「天の家事・育児参加が少ない」が57人で、男性の過重労働などによる女性へのしわ寄せの実態も見えてきます。
次いで「仕事多忙で子どもの病気・参観が休みにくい」53人、「保育・学童保育など保育制度が充実していない」49人、「定時に帰りづらい」42人、「職場の制度(育児時間・休暇)が活用できない」14人など、子育て世代の肩身の狭さが現れています。
未婚者に対して、結婚・出産しても働き続けたいか質問したところ、「働き続けたい」が43%、「いったん退職して再就職する」が37%で、働きたいという思いの強さの一方で、「今の職場で働き続けたいが、現実、両立は難しいと思う」「まともに生活できる残業の少ない仕事を探す」などの声も。
今の年収で自立できているかどうかは、「できている」人が27%いる一方で、「衣・食を切り詰め一人暮らし」5%、「2・3カ所で仕事」をしなければ自立できない人が2%いました。
また、同居も含めて親からの援助がある33%、主に夫の収入28%の人もいて、女性が経済的に自立するにはまだ遠い現状がうかがえます。
一言欄には、「経済的には自立可能だが家には寝に帰るだけで家事時間はない」「年々賃金が下がってきて毎月大変。貯金がなくなっていく」「もう1カ所仕事を探すか、別に探すか」など切実な声が寄せられています。
4割以上が結婚・出産しても働き続けたい
結婚・出産で辞めざるをえなかった人に、仕事と家庭両立のために必要なことを聞いたところ、最も多かったのは「労働時間の短縮」で80人。次いで「産休明けから保育など保育制度の充実」68人、「育児休暇・育児時間の確保」67人、「夫の家事・育児参加」52人と続きます。
望んでいることでは「子育てしながら働きやすい職場」「会社の受け入れ体制があること」「妊娠中の勤務の軽減・休暇があれば…」など、労働条件の改善を求める声が多数寄せられています。
聞いて聞いて私の本音
「聞いて聞いて・私の本音」で出された声では、育休が取れない、保育所に入れないなどで退職せざるを得なかったという声をはじめ、復職しても元の部署に戻れるのか、休みは取れるのか、夫の協力は得られるのかといった不安の声、また、保育料の引き下げや公的保育を守れなどの要望も数多く出されていたほか、こんな声も---。
- 自営業なのですが保育料との兼ね合いで子どもを預けられず、子連れで出勤しています。社会的な免除がほしい。
- 正社員では子どものことで休んだりできないので、どうしてもパートで働かざるをえません。
- 自分の課には出産後働き続けたという前例がないので不安。
- 子どもの保育代を考えると、パートに出る意味はあるのか?
- 結婚相手がどれだけ理解、協力があるかで、仕事ができるかどうかは決まるのでは。
- 小学校に上がるまでは時短勤務を延ばしてほしいなーと思います。夫は残業で深夜になることも多いので、平日の負担は私1人。誰か助けてーと思うこともしばしばです。
- 子育てを楽しんでいると、どうしても社会復帰は遠のきます。どうしたらいいんでしょうね。
- 保育所で働いています。少子化とは思えないほど毎日のように一時預かりや入園・見学の問合せがあります。
- 未婚です。派遣の仕事ではとうてい子育てとの両立は難しいと思います。
- 派遣や契約社員も、産休や育児休暇なと実際には取りにくいのが現状です。妊娠すれば退職を勧められます。実際、会社をまだ辞めたくないので産まないという人がたくさんいます。
投稿者 jcposaka : 2006年12月18日