「三位一体」で格差拡大 黒田府議 図書購入費例に指摘《2面》
「三位一体改革」で義務教育の国庫補助金を一般財源化すれば、自治体の裁量で教育予算が削減される危険がある---5日の府議会決算委員会の知事質問で、日本共産党の黒田まさ子府議は、すでに一般財源化された小中学校の学校図書館の図書購入費などを例に、市町村によって大きな格差が生まれていると指摘。教育の最低水準を守るために国庫負担金制度を堅持するよう、太田房江知事に求めました。
「これではナショナルミニマム (国の最低基準)の確保にならない」---黒田議員が示した学校図書館の図書購入費。小学校の児童1人当たりの図書購入費を市町村別に見ると、05年度決算で最低202円、最高3155円と15.6倍。03年度から3年間の決算額の平均でも最低360.6円、最高2612.5円と7.24倍の格差があります(グラフ。黒田議員の調査から、小中学校の児童生徒1人当たりの決算額を市町村別にまとめたもの)。
小泉前政権の「三位一体改革」以前から、義務教育国庫補助負担金の内容は改悪され、今では教職員の給与等だけになっています。学校図書館の購入費を含む教材費が一般財源化されたのは1985年。使い道が定められた補助金から、自治体の判断で図書費以外にも使えるようになりました。
黒田議員は図書購入費の格差を例に「一般財源化するということは、こういう危険があるということだ」と強調。さらに、準用保護家庭に対する就学援助金への国の補助金がことしから一般財源化されたことで、府内13市町村で認定基準が引き下げされたことを示しました。
質問の中で黒田議員は、「子どもがどの街に生まれ・住んでいても、教育の機会均等が保障され、同じ水準の教育を受けることができるように、国が教育のナショナルミニマムを決めることが必要」と述べ、その財政的な保障が、義務教育の国庫補助負担金制度と力説しました。
黒田府議は、「三位一体改革」で太田知事が「義務教育真の全額を地方に移譲せよ」(04年7月6日の記者会見)などと発言してきたことについて、「教育における地域差を生み出すことになるのではないか」とただしました。
太田知事は「国の果たすべき役割は重要」とする一方、「地方の実情に応じて、多様で特色ある教育の達成へ、きめ細かな対応が求められる。一般財源化による各市町村への影響額は、地方交付税で調整され、財政力の格差は拡大しない」と答えました。
黒田議員は、「交付税措置があるというが、国が『行革』を号令する中、教育予算が削減され
る危険がある」と反論。「国庫補助負担金は削減するのでなく拡充し、その上に地方の財源保障を。いじめや不登校、中
退、学力低下などが深刻な中、少人数学級や教職員加配など府民要求に応えることが必要」と主張しました。
投稿者 jcposaka : 2006年12月18日