大阪市 消防音楽隊もなくすのか 存続求めファンらが署名活動 《1面》
大阪市消防音楽隊もなくすのか
年1億8千万円経費削減のため
大阪市のやり方にファン怒り
存続求め署名活動
火災の予防啓発に取り組むとともに、音楽を通じて多くの市民に夢と希望を与え続けてきた大阪市消防音楽隊。いまも年間約200回の演奏などに取り組んでいる同隊が、ムダな大型開発などが原因の財政難を理由に3月末で廃止されようとしています。これに対して存続を求める署名に市民が立ち上がっています。
「かけがえのない市民の宝、消防音楽隊を守りましょう」。6日、住之江区南港で実施された消防出初め式の会場付近で、音楽隊の存続を呼び掛ける市民の姿がありました。
来場者に協力を呼び掛けていた女性は、「財政赤字の原因は音楽隊の活動じゃありません。こんなやり方はおかしい」と語ります。音大出身の別の女性も「音楽文化を守り育てるためにも、最後まで声を出し続けたい」。
出初め式で音楽隊の演奏を聞いていた女性(25)は、「一生懸命に演奏する人たちの姿に胸がジーンと鳴りました。生の音楽は素晴らしいですね。これからも活動を続けてほしいですね」と感想を話します。
「音楽隊の火を消すな」の声拡がり
署名活動は昨年12月にスタート。音楽隊ファンの市民ら数人が署名用紙を作って訴えはじめると、インターネットなどを通じて「音楽隊の火を消すな」と賛同の声は急速に拡大。署名活動を呼び掛けた平野区の橋本博さん(74)は、「消防音楽隊は防火防災の大切さとともに、私たちに夢を与えてくれました。幅広いレパートリーを持ち、世代を超えて市民に愛されてきた音楽隊をなぜ廃止にするのか、納得ができません」と語ります。
大阪市は経費削減を兼ねて93年、音楽隊の運営を市の外郭団体「大阪市消防振興協会」に委託。人件費削減の影響で隊員数はピーク時の約40人から23人へと半減しましたが、同年発足したカラーガード隊「ファイア・フェニックス」とともに、御堂筋パレードや火災予防週間、区民まつりなどのイベントに加え、小学校や養護学校、保育所の防災行事への出演など、重要な役割を担ってきました。
消防音楽隊は、大阪市を含む政令指定都市すべてと東京消防庁に設置されています。消防・救急活動に携わる職員が音楽隊員を兼務する都市が多い中で、大阪、東京、横浜、京都、名古屋の5都市は専従職員が演奏活動を行っています。
嘱託職員である音楽隊員の多くが年収300万円に届きません。規模の大きい楽団でも年間100回程度の演奏が限度と言われる一方、同隊が年間200回近い演奏をこなしているのも、防火防災の重要性を訴える音楽隊の活動が聴衆に感動と希望を与え、長年多くの市民に愛されてきたからに他なりません。
ところが市は昨年2月、年間約1億8千万円の経費を削減するためとして、消防音楽隊の廃止を決定。「危機的財政の健全化のために行政運営の効率化を図り、質の高い行政サービスに取り組む」「消防局も例外ではなく費用対効果の検討も含めて廃止の判断をした」などと説明。
共産党は音楽隊の存続を訴え
日本共産党大阪市会議員団は、同年3月17日の市議会計画消防委員会で、石川かんじ議員が質疑に立ち、音楽隊が果たしてきた役割を強調し、「市民に愛されている音楽隊の廃止はやめるべきだ」と追及。同29日の本会議では、矢達幸議員が予算案に対する反対討論で音楽隊の存続を訴えました。
投稿者 jcposaka : 2007年01月20日