箕面の滝に異変 トンネル工事で水枯れ 《8面》
トンネル工事で水枯れ!?箕面の滝に異変
こんな滝に誰がした…
二重三重の大型開発900億円無駄遣い
「明治の森」国定公園の名勝として親しまれている箕面の滝に異変が起きています。山系を貫く箕面トンネル工事の影響で川が枯れ、滝が細くなっているのです。トンネルの向こうで府が造成中の「水と緑の健康都市(箕面森町)」も採算の見通しがなく、750億円もの税金投入が必至。昨年末のテレビ番組でも特集されるなど、自然環境を破壊して二重三重の税金無駄づかいを進める府政の歪みが浮き彫りになっています。
箕面トンネルは98年度に工事が始まり、03年7月にトンネル本体が貫通。全長は5623bで自動車トンネルでは全国第10位の長さ。今春の開通に向けて現在、工事は最終段階に入っています。
愛称は「箕面グリーンロード」。ところが、自然と調和した開発を表す名前とは裏腹に、工事に伴ってトンネル内で大量の水が湧き出した影響で、箕面山系を流れていた川が枯れるように。湧き水の一部は4基のポンプで汲み上げて地表に送り、箕面の滝の上流にある箕面川にも放流しています。ポンプの電気料金だけで年間約3千万円が必要。この問題は昨年末のMBSテレビで「衝撃の真相箕面の滝は人口滝だった」と紹介されました。
5年前に共産党が調査・申入れ
すでに02年秋に、日本共産党箕面市議団が水枯れ発生を確認して調査を開始。翌年1月には同議員団と堀田文一府議が府道路公社へ対策を申し入れました。
堀田府議は03年3月府議会の土木建築常任委員会で水枯れ問題を取り上げ、工事を一時中断して影響を徹底調査するよう要求。府はトンネルの湧水は「予測の範囲内」とし、太田房江知事は「適切な対策を行いながら供用開始へ整備を進める」と道路建設を推進する姿勢を示しました。
需要見通しないのに税金投入
箕面トンネルを含む国道423号バイパス(箕面有料道路)は、箕面市萱野(新御堂筋の発端)と同市北部の下止々呂美を結ぶ道路。第2名神高速道路との接続、北大阪地域の交通混雑の緩和のほか、府が箕面市北部丘陵の止々呂美地区で進める「水と緑の健康都市(箕面森町)」のアクセス道路となっています。
供用時の交通量(1日平均)は5140台、第2名神供用時(12年)は1万1400台。箕面トンネルに次いで全国第11位の阪奈トンネル(第2阪奈有料道路)は1日平均3万7215台が通行しているだけに、需要そのものも疑問視されています。
総事業費は813億円。うち500億円は府道路公社事業(府は出資金175億円、無利子貸付金36億円を負担)で、将来の通行料金でまかなう予定。残りの313億円は国道事業に位置付けられ、府は141億円の税金を投入します。
アクセス先も大きな無駄遣い
箕面トンネルと一体の開発である「水と緑の健康都市」そのものも、巨額の税金を注ぎ込む計画です。
止々呂美地域の山を切り開き、人口1万6500人・5千戸のニュータウンを開発するというのが当初計画。総事業費2011億円は土地の分譲代金と国の補助金でまかない、府の負担なしという枠組みで、バブル崩壊後の98年に一部着工されました。
しかし99年に絶滅危惧種のオオタカの営巣が確認。さらに00年に初当選した太田房江知事は01年2月、「『負の遺産』の整理」の名で工事の中断・事業見直しを表明。「早急かつ大量の住宅供給事業を府として実施する必要性は低下している」というのが理由でした。
見直し後の計画はオオタカ保全区域を設けた上で、人口9600人・2900戸に規模を縮小。ところが採算面では総事業費を985億円に圧縮したものの、造成した宅地が全部売れても235億円の収入しか見込めません。赤字の750億円は府民の税金を投入する事業になってしまいました。
オール与党VS共産党
「水と緑の健康都市」計画は、国の余野川ダムによる「ダム湖に面したレークサイドタウン」とされてきました。しかし国交省は05年7月に同ダムを「当面実施しない」と決定。事業推進の根拠はここでも崩れてしまいました。
日本共産党は計画当初から「水と緑の健康都市」に反対してきました。「道理も大義もなく、府民の利益もありません。ただ税金のあきれるほどの無駄遣いと自然の破壊があるのみです」と堀田議員。昨年9月府議会でも、750億円あれば府営住宅を6千戸建設できることなどを示し、「大事な課題を棚上げにして需要のない住宅開発を推進する理由はない」と追及しました。
これに対し、自民・民主など府議会「オール与党」は開発推進勢力となってきました。都市計画決定当時の96年2月議会で自民党の原田憲治議員(当時、現衆院議員)は、「本府のみならずわが国の21世紀に向けた長寿社会におけるまちづくりのモデルとなりうる極めて意義のある事業」と天まで持ち上げ、主要アクセス道路となる箕面トンネルも「時を一にした整備」を強く求めていました。
太田知事が工事中断と見直しを表明したことに対して、原田議員は「工事着手からわずか2年で縮小を余儀なくされたのでは、憤りを覚えるのも当然」(01年9月議会)と事業再開を主張。府が04年に事業再開する前にも、民主党の中島健二議員は「水緑事業が道路ネットワークの整備に資するなど、北摂地域の発展の基盤となる公共事業」(03年9月議会)と迫っていました。
投稿者 jcposaka : 2007年01月29日