大阪府が大企業に破格の優遇 補助金上限150億円 《2面》
補助金上限150億円に
30億から一挙5倍
大企業に破格の優遇
「オール与党」の要求に沿って
大阪府は企業誘致の新たな補助制度の上限額を150億に引き上げることを決めました。 現行制度の上限額30億円を一挙に5倍にするもの。 府は20日開会する2月定例府議会に提案しますが、 福祉・教育の切り捨ての一方で、 大企業への破格の優遇を行う太田府政と自民・公明・民主など 「オール与党」 の姿勢が問われています。
大阪府は企業誘致へ新規事業補助金 (97年・上限額2億8千万円)、 先端産業補助金 (03年・同10億円)、 先端産業特認補助金 (05年・同30億円)、 先端研究所補助金 (06年・同1億円) と、 相次いで補助制度を導入してきました。
昨年6月には大阪市住之江区の平林北地区に旭硝子株式会社 (本社・東京) の関西工場大阪事業所 (仮称) を誘致。 先端産業特認補助金を適用し、 府は17億円を交付することに決め、 太田知事は 「引き続き関係市と密接に連携し、 私のトップセールスも含め積極的な企業誘致を展開する」 とのコメントを出しました。
今回、 先端産業補助金と特認補助金を統合・拡充し、 上限額を150億円に。 ライフサイエンスやロボット、 情報家電など先端産業と認める工場や研究開発施設を新設する企業で、 投資額100億円以上の場合に、 投資額の20〜5%を限度に補助するというもの。
対象地域はりんくうタウンや彩都などの産業拠点と、 大阪市住之江区の平林北地域、 堺浜南東地区。 併せて企業立地促進条例 (案) を制定し、 第5条で補助金の交付についても定めるとしています。
大阪府は昨年、 武田薬品工業 (本社・大阪市) の研究所誘致をめぐる交渉で、 200億円の補助を提示。 これを受けて、 同年9月府議会商工労働常任委員会で各会派がこの問題で質問しました。
現行補助制度の上限額30億円をはるかに上回る額を府が提示したこと自体には、 自民、 公明、 民主など 「オール与党」 は反発しましたが、 自民党は 「こういう企業が大阪の花になっている。 この花を咲かすためにあらゆる施策を打っていくのは当然」 (畠成章議員) と主張。 民主党は 「企業が地域を選ぶ時代。 大阪は大阪的に、 きちんとした指針、 戦略性を持つべき」 (徳丸義也議員)。 公明党は 「(現行制度を) 超えて交渉するのはいささかルール違反」 (鈴木和夫議員) としながら、 「全体的な大阪の企業誘致するなら、 この促進の補助金の見直しを考えなければならない」 「次の議会にでも、 できる案を出せる形で努力を」 と求めました。
武田薬品の研究所誘致そのものは失敗しましたが、 今回の上限額の大幅引き上げはじめ企業誘致制度の整備は、 こうした 「オール与党」 の要求に沿った形で出されたものです。
日本共産党は厳しく批判
昨年9月議会の商工労働常任委員会で日本共産党の小谷みすず議員は、 武田薬品に府が示した破格の補助額に 「府民の今の実態から考えれば納得できない」 と厳しく批判しました。
小谷議員は旭硝子の誘致でも、 補助要綱で府内常用雇用者数 (30人から120人) を定めているが、 大阪事業所の雇用予定300人の内訳が不明だと指摘。 「大企業誘致で府民がきちんと雇用されるかどうか、 正面から問い掛けなければならない」 と主張しました。
投稿者 jcposaka : 2007年02月11日