大阪市07年度予算案 大企業向け手厚く 市民サービス二の次
大阪市は八日、二〇〇七年度の予算案を発表しました。大企業向け大型開発には巨費を投入する一方、市民サービスには前年に続き、大なたをふるっているのが特徴です。十六日から始まる市議会で審議されます。
●市の借金は市民一人当たり200万円超●
一般会計は前年比二百六十九億円減の一兆六千二百六十二億円。特別会計を含めた総額では四兆四百二十四億円で、同じく八百二十一億円減です。歳入では、市税収入が、個人市民税で二百四十四億円、法人市民税で三百三十二億円それぞれ前年より増えています。
財政難のなかムダな大型開発を進めてきた結果、借金である市債残高は、前年度より六百五十四億円減少したものの、五兆四千十九億円(〇七年度末見込み)。市民一人当たり二百六万円となります。
暮らし・福祉の分野では、「重度障害者給付金」(身体障害者一級と重度知的障害者は年額一万円、身体障害者二級は年額八千円)の廃止が盛り込まれています。
昨年度の生活保護世帯の市営交通と上下水道料金の減免廃止、新婚世帯向け家賃補助の切り下げなどに続く負担増です。
●「敬老パス」は二〇〇七年度も無料で継続●
地下鉄・市バスの「敬老パス」関係予算は、昨年度予算とほぼ同額の八十七億円。ひきつづき有料化は見送られました。今年の九月からICカード化(五年間有効)されます。
敬老パス問題は、有料化の動きを党市議団が市民に知らせ、「無料で継続」を求める声と十三万人以上の署名に示された運動が大きく盛り上がりました。〇五年以降有料化を阻止しています。
●市民にいっそうの負担を強いる国保料の値上げ●
被保険者が百万人を超える大阪市の国民健康保険。昨年、保険料の算定方式を改悪し、低所得を中心に負担が増えました。六月には十二万人を超える市民からの怒りと苦情が役所に殺到しました。しかし大阪市は負担を軽減するどころか、〇七年度は保険料を4・5%アップ、最高限度額五十三万円を五十六万円にします。
党市議団は、値上げの撤回と、一般会計からの繰入金増額で保険料を減額するよう、求めていきます。
●大型開発はめじろ押し●
咲洲と夢洲をつなぐ海底トンネルの建設や無人の人工島(夢洲)への地下鉄・北港テクノポート線建設、夢洲のさらに先の大阪湾を埋め立てる新人工島の整備、「スーパー中枢港湾」関連の夢洲の大水深ふ頭の建設、高速道路・淀川左岸線二期事業など、「むだ」と指摘される大型開発にひきつづき巨額の税金を投入しています(表)。
大企業を呼び込む「都市再生重点産業立地促進助成」の「大型特例」(助成額の上限三十億円)は、助成の条件の一つだった企業の投下資本額を三百億円から百億円に引き下げます。
●同和事業は一定の見直しだけ●
部落解放同盟(「解同」)系の芦原病院への補助金等不正支出、飛鳥会事件など大阪市の不公正・乱脈な同和行政に対する市民の批判の高まりを背景に、来年度は八十五事業の内三十事業を廃止し、事業規模も約四十億円に半減します。
しかし、「解同」と一体の人権協会への事業委託は抜本的に見直さず、旧同和校への教員の加配にも手をつけていません。
投稿者 jcposaka : 2007年02月09日