>>>ひとつ前のページへトップページへ

大阪空港への米軍機飛来激増

2007年03月04日

在日米軍は勝手放題 日本政府は主権放棄
安保破棄大阪実行委員会事務局長 竹馬 稔

実践的な訓練の「ヤマサクラ51」

 伊丹の陸上自衛隊中部方面総監部で2月4日から16日まで日米合同指揮所演習 「ヤマサクラ51」 が行なわれた。
 中部方面隊が展開する北陸・東海・近畿・中国・四国の2府19県 (日本全土面積の約30%) から3400人の自衛隊員が集められ、 米軍からは、 アフガンやイラクの戦闘に参加している第一軍団と沖縄の海兵隊合せて約1400人が参加した。
 実働演習とは違って、 コンピューターを使って行なう 「指揮所演習・図上訓練」 であることから、 外見は、 それほど緊迫感がただよっているとは言えないが、 総監部敷地内だけでなく周辺の自衛隊施設 (射撃場・駐車場・病院など) の至る所に、 約600張 (総監部に問い合わせて確認した) の野営テントが林立し、 周辺を米兵や迷彩服に身を固めた自衛隊員が徘徊して、 付近は異様な雰囲気におおわれている。
 実際にいまアジアの戦争に出動している米軍との合同演習が、 自衛隊を 「海外で戦争できる軍隊」 に仕立て上げることを狙った極めて実戦的な訓練であることはいうまでもない。

着陸を拒否できない根拠はない

 最近の演習の大半はいわゆる 「市街地戦闘訓練」 で、 自衛隊員に至近距離で実際に人を殺す感覚をたたきこむことを主眼にしている。 演習そのもののもつ危険な軍事的意味に加えて、 それと一体のものとして今回特に軽視できないことは、 この演習にあたって、 隣接する大阪空港の軍事使用が一気に拡大されたことである。
 1月16日に小型プロペラ機2機が飛来したのを皮切りに、 29日〜31日にも小型ジェット各1機が着陸した。 2月に入ると、 1日と5日を除き、 連日、 各種の小型機が離発着を繰り返した。 いろいろな方法で調べたところ、 演習終了後4日目にあたる2月20日に飛来した3機まで含めるとその回数は30回に達している。 演習参加の一環であることは明白だが、 空港使用の 「理由」 や 「目的」 は何ら明らかにされておらず、 総監部は沖縄や厚木から飛んできていることは認めたが、 大阪空港もふくめて詳細は一切公表できないと強弁している。
 もちろん、 米軍機の着陸については、 米軍からその都度 「通告」 されているが、 大阪空港 (国土交通省大阪航空局大阪空港事務所) の対応は、 「地位協定5条にもとづく乗入れであり、 拒否はできないし、 どこから来るか、 離陸後どこへ向うかなど米軍の行動の内容については口外できない」 の一点張りである。 果たしてこんなことが許せるだろうか。
 日米安保条約と地位協定2条によって 「米軍に提供されている施設及び区域」 (=米軍基地) に該当しない民間空港への米軍機の乗入れについて、 一片の通告だけでそれが可能であり、 日本側は拒否することができないという法的根拠は存在しない。 日本の空港への米軍機の出入について 「着陸料を課されない」 ことを規定している地位協定5条にも、 民間空港への米軍機の乗入れを米軍の 「権利」 として認めた文言は、 どこにもない。
 また、 1952年の日米合同委員会の 「合意事項」 では、 「緊急の場合は、 他の (米軍の管轄する空港以外の) いずれの空港にも入ることができる」 となっているが、 これは 「緊急の場合」 以外は使用できないという趣旨に他ならない。

日本列島総動員体制への動き 

 10年前の1997年11月、 滋賀県・あいば野演習場での日米合同演習に向って岩国基地を飛び立った厚木基地所属の米軍ヘリUH1が 「燃料切れ」 を理由に大阪空港に緊急着陸したことがある。 この時は一般紙も写真付きでこの事実を大きく報道した。 それが今では、 当り前のように米軍機の民間空港使用が拡大され、 常態化している。
 2000年には、 伊丹 (1月) とあいば野 (10月〜11月) での日米合同演習に際して、 大阪空港への米軍機飛来が計18回を数え、 90年代後半の新ガイドラインと 「周辺事態法」 の制定を機に全国各地での軍事演習に際して米軍機による民間空港使用が激増してきたが、 今回の事例は、 かつてのベトナム戦争以来の頻度ともいえるものであり、 看過することは許されない事態である。
 一方、 3月1日には米イージス駆逐艦 「ステッテム」 (8800排水トン) の大阪港入港も予定されている。 米軍・自衛隊が 「朝鮮半島有事」 を想定して、 主要な民間空港・港湾の米軍優先使用を前提とする共同作戦計画を、 今秋までに改定する作業を進めていることをみるならば、 こうした大阪港や大阪空港の軍事使用の拡大が、 全国的な米軍再編・日米軍事一体化の一環であり、 「日本列島総動員体制の確立」 の先取りともいえるきわめて危険な動きであることは明らかである。

府民に平和の課題を広く訴え 

 大阪実行委員会は、 原水協、 非核の会、 平和委員会などとともに23日、 大阪港湾局と交渉をもち、 市議会の 「大阪港平和利用決議」 (1994年9月、 全会一致採択) の立場からきっぱり同艦船の入港を拒否するよう要求したが、 大阪市は自治体としての責任を放棄し 「決議」 に背を向け、 市民の平和の願いを無視して米艦船の入港をまたしても許可しようとしている。 いっせい地方選挙の直前にイラク戦争4年の 「3・20」 を迎えることになるが、 こうした平和の課題を大阪府市民に広く訴えていくことが求められるのではないだろうか。 (ちくま・みのる)

投稿者 jcposaka : 2007年03月04日

トップページへ ひとつ前のページへ ページ最上部へ
ご意見・ご要望はこちらから