関空第2滑走路供用開始。需要低迷・経営難・膨らむ赤字
矛盾は山積み
凍結・中止求めてきた共産党
2日、 関西国際空港の第2滑走路の供用が始まりました。 国内唯一の 「完全24時間空港」 としてのオープン。 関西財界などが 「感慨ひとしお」 (下妻博・関西経済連合会会長) と祝賀ムードの一方で、 航空需要の伸び悩みや関空会社の厳しい経営状況の中、 マスコミも 「手放しでは喜べない」 (「朝日」 3日付) と書くなど、 矛盾や問題は山積みになっています。
「無駄な公共事業の典型」 と批判されてきた第2滑走路。 最終的に 「07年供用開始」 を決めたのは04年末、 当時の谷垣財務相 (自民〉と北側国交相 (公明) の両大臣合意でした。
もともと第2滑走路を建設する関空2期事業は 「滑走路1本では07年度に発着回数が16万回の処理能力の限界に達する」 としてスタートしました。
ところが需要が伸び悩む中、 「2期不要論」 が政府与党内にも浮上。 自民党の太田誠一行革本部長 (当時) が 「21世紀初頭の三大ばか事業」 とのべたほど (01年11月)。 02年末には当時の扇国交相・塩川財務相の両大臣合意で、 滑走路などの 「上物」 については需要と経営動向を見極めるとして当面、 建設見送りで一致しました。
日本共産党は需要の見通しのない2期事業について必要性そのものを再検討するよう、 国と府に求め、 凍結・中止を主張。
これに対し、 噴出する 「不要論」 に危機感を抱いた太田知事や関西財界、 「オール与党」 が国に陳情を繰り返し、 04年末の両大臣合意となりました。
その条件とされたのが 「07年度に13万回程度」 という発着回数。 しかしアジアでの相次ぐ主要空港の開港、 日本国内では中部国際空港や神戸空港の開港、 世界で最高水準の着陸料などで需要は低迷、 引き続き伸び悩み06年度は11万6475回にとどまっています。
他方、 関空会社はことし3月末で1兆1809億円の有利子負債を抱えるなど経営難は深刻です. 第2滑走路の供用開始前の7月27日、 関西経済連合会は 「宣言」 を出し、 「需要に対応する旅客・貨物施設の整備」 と合わせて 「就航促進・利用促進」 を強調。 マスコミもこぞって 「24時間空港として活路を開け」 (「読売」 2日付社説) 「オール関西で需要増を」 (「朝日」 3日付) など強調しています。
04年末の大臣合意では、 2期島の旅客ターミナルや貨物施設の建設は先送し、 滑走路だけの 「限定供用」 を決定。 まさに 「需要があるから空港をつくる」 のではなく、 「空港をつくったから需要をつくる」 というやり方で建設が強行されてきたのが関空2期工事です。
すでに9036億円の事業費が投入され、 大阪府は990億円を負担。 太田知事は記者会見 (1日) で、 「地元としてもいっそう気を引き締めて、 国からの要求に応えていけるよう、 みんなで力を合わせたい」 などと語っていますが、 見通しのない事業に、 これ以上の府民の税金を投入することは許されません。
投稿者 jcposaka : 2007年08月09日