>>>ひとつ前のページへトップページへ

加算廃止負担増加に「光見えない」

2007年09月06日

生保世帯 深刻 アンケートで浮き彫り
節約しても追いつかず
大生連が実施

生活保護基準の引き下げや老齢・母子加算の廃止・削減など、 生活保護世帯への相次ぐ仕打ちに、 「節約しても生活が成り立たない」 家庭が急増しています。 全大阪生活と健康を守る会連合会 (大生連) が1993年から実施している生活保護世帯への 「私の要求」 アンケートで浮き彫りになったもの。

 アンケートは、 府下25の生活と健康を守る会 (生健会) が、 生活保護を受けている会員などにアンケート用紙を配布、 また電話や訪問による聞き取りで集約したもの。 438人が回答し、 7・8月に行われた大阪府・市交渉で提出しました。  質問項目は、 @保護基準の削減、 老齢加算の廃止、 母子加算の削減、 大阪府・大阪市の夏期・歳末一時金の廃止がされ、 何を節約しているか、 A生活保護を利用するようになった理由、 B生活保護を利用していることでの悩みや日常的につらいこと、 C改悪されようとしている保護基準の引き下げや医療費の有料化についてどう思うか、 D大阪市が水道料減免と市営交通割引制度から生活保護世帯を適用除外したことへの意見、 Eケースワーカーや民生委員についての意見、 F福祉事務所へ行って感じること―の7点。  集約の結果、 アンケート開始当時は目立たなかった食費の節約が、 2001年を境に一変、 8割近くに上っています。 節約項目で最も多かったのは 「衣服」 (80%・320人)、 最も少ない冠婚葬祭・交際費でも41・3%と、 社会から孤立せざるを得ない人も増えています。  節約の具体的内容としては、 風呂は毎日入らないようにしている (季節によって回数を減らすなど) ▽朝食もしくは昼食を抜いて1日2食、 1食の時もある▽移動は相当遠くでない限り自転車を使う▽冷暖房はいっさいしない、 電気は暗くなるまでつけない▽おかずの品は1品にしている。 病院からも栄養が足りないと言われている▽どこにも行かない、 あまり外出しない▽子ども服はお下がり、 自分の服は保護を受けてから買っていない▽生活のすべて―などとなっています。 中には、 「すべてに意識して切り詰めていっているので、 友人を受け入れたくないようになった」 「友人、 近所の人、 親戚などなるべく付き合わない」 など、 地域社会からの孤立も深刻化しています。  生活保護世帯は近年急増していますが、 生活保護を受けるようになった理由に、 病気で失職、 リストラ・破産、 会社の倒産、 年金が少ない・無年金、 仕事がない、 夫との死別・離婚、 家族の病気の介護で仕事ができなくなったなどが挙げられています。 生活に行き詰まった末の生活保護ですが、 少ない保護費やケースワーカーの冷たい対応、 人権侵害に近い言動などへの不満のほか、 生活保護を受けている中での悩みとしては、 「『あなたたち毎月いいなあ』 といわれる」 「人生の落伍者のような思いがあり、 心が暗く重い」 「権利とはいいながら大手を振って歩けない」 「身内や友人から 『病気を理由に、 保護に甘えてるんとちがうか』 といわれてつらい」 など、 偏見の多い地域社会への不安や悩みも多々つづられています。  生活保護を打ち切られた50代の男性が餓死していた北九州市の事件では、 生活保護行政の対応が問題になりましたが、 今回のアンケートでも、 ▽一人で申請した時は、 何の返答もなく追い返され、 路頭に迷った▽目も悪く仕事もできなかったので福祉へ行ったけど、 全然取り合ってくれず、 先に仕事を探せと言われた▽支給日に保護費を受けとりに行った時、 担当者がまるで自分の懐から出すような高圧的な言い方。 行くのがつらい▽医療券をもらいに行くたびに嫌味を言われる▽人の話を最後まで聞かずに頭ごなしに 「NO」 を出す、 などの事例が明らかになりました。  寄せられた声で特に深刻だったのは、 厚生労働省と各自治体が計画している保護基準引き下げと医療費の一部有料化についてでした。 「医療費有料化などになりましたら、 死ねというように言われているように思います。 主人 (病気で寝たきり) の首を絞めて自分も死を選びます」 「肺がん、 心筋梗塞などで悩んでいる毎日です。 そこへきて個人負担になるとどうすればいいのか、 気が遠くなる思いです。 死を待つしかありません、 光が見えません」 「現在でもギリギリの生活状態です。 支給額が減り、 医療費まで自己負担ではとても生活できないし、 それならいっそ死んだほうがましです」 「何もかもしてほしいと思ってはいません。 ただ人間として最低限の生活をしたい!そこから希望を見出して自立のために生きていけると思います。 どうか弱者を切り捨てないで下さい」 ―など、 怒りや悲痛な声とともに、 税金の無駄遣いをただして福祉・暮らしにまわせという切実な願いも多数寄せられています。

松岡恒雄大生連会長の話

 憲法25条では国民が等しく最低限度の生活を営む権利を保障していますが、 実態は、 人間が人間らしく生きることも社会的なつきあいもできなくなっています。 さらに今回のアンケートでも明らかになったように食費まで削らざるを得なくなってきているケースが増えてきています。 ますます25条を守らせる運動が求められます。
 また、 北九州市の餓死事件では生活保護の辞退届けを出させたことが問題になりましたが、 昨年9月、 広島高裁では、 こうした本人の意に反した辞退届けを出させること自体が違法だという判決が出されました。 生活保護の申請権を侵害する事例が多くなる中で、 自治体に法を守らせる運動も強めていく必要があります。

投稿者 jcposaka : 2007年09月06日

トップページへ ひとつ前のページへ ページ最上部へ
ご意見・ご要望はこちらから