金融被害者救済して15年
ヤミ金撲滅へ取り組み
いちょうの会が記念の集会
多重債務の根底・貧困なくす運動も
大阪クレジット・サラ金被害者の会結成15周年記念 「ヤミ金なんかぶっつぶせ! がんばる大阪集会」 が11日、 大阪市中央区内で開かれ、 多重債務の被害者や家族、 支援活動に取り組む弁護士や司法書士ら約200人が参加しました。 グレーゾーン金利廃止や過剰与信規制などを盛り込んだ改正貸金業規制法の完全施行 (2009年) をにらみ、 「一人残らず多重債務者を救済しよう」 「金融被害のない社会実現を」 と活動強化を呼び掛けました。
被害者自身が向き合って
「いちょうの会」 の通称で知られる同会は1992年11月、 サラ金被害根絶を目的に設立。 電話110番などを中心にした被害者救済を始め、 弁護士や司法書士らと共同した警察や行政機関への告発、 違法取引根絶に向けた立法運動などを推進。 年金担保融資や日掛け金融、 悪質クレジット商法による過剰与信問題、 ヤミ金融など違法金融の被害救済に大きな役割を果たしてきました。 被害者自身が事件解決に向き合うことを重視してきたのも、 同会の特徴のひとつ。 専門家の支援に加え、 同じ悩みを持つ被害者同士が支え合い、 社会的連帯の中で新しい人生と生活を切り開くなど、 まさに 「闘う被害者の会」 として発展。 とりわけ全国に先駆けたヤミ金融業者に対する告発の取り組みは、 ヤミ金対策法などの制定に大きな影響を与えました。
開会あいさつで、 同会代表幹事の南部清さんは、 昨年12月に成立した改正貸金業法に触れ、 「一人の多重債務者もつくらない社会の実現へ、 さらに運動を強めていきたい」 とあいさつ。 阪神大震災で家財を失い、 治療や生活のため消費者金融を利用した男性は、 やがてヤミ金を含む計13社からの借金が600万円となり、 1300万円を業者に支払いました。 いちょうの会の支援を受けて、 自ら東京などのヤミ金業者を追跡し、 計580万円を返還させました。 男性は、 「明日死のうかと悩んでいた私を救ってくれたのが、 いちょうの会の人たちです。 今も苦しんでいる人たちに、 『あきらめないで、 一緒に頑張ろう』 と呼び掛けていきたい」 と語りました。関係機関と連携し多面的に
集会では高知市の消費生活相談員・青木あつ子さんが 「多重債務相談に寄せる相談員の思い」 をテーマに講演。 大阪を中心に被害が拡大したタクシー運転手を狙った高利金融や年金担保融資の被害実態が報告されました。
いちょうの会ヤミ金対策委員会の前田勝範委員長 (司法書士) が、 ヤミ金撲滅の取り組みと課題を報告し、 「ヤミ金をなくすためには告発や裁判にとどまらず、 行政や警察、 銀行などと連携し、 口座凍結や携帯電話の不正利用防止など、 多面的な取り組みが欠かせない」 と強調。 03年6月に過酷なヤミ金の取り立てを苦に夫婦ら3人が鉄道自殺した八尾ヤミ金心中事件について、 山田治彦弁護士が報告。 昨年6月に遺族が起こした訴訟の経過などを説明し、 「多重債務の被害解決は、 債務者の生存権を確保することです。 借金を苦に亡くなる人がいなくなる社会をつくる必要がある」 と呼び掛けました。
多重債務者のない社会を
集会では、 ヤミ金融撲滅に向けて、 警察や貸金業監督機関、 金融機関、 自治体などに対し、 徹底した取り締まりや行政処分執行、 多重債務対策の体制強化などを求める決議を採択しました。
同会事務局長の田中祥晃さんは、 「ヤミ金根絶に向けた取り組み強化と同時に、 多重債務の背景にある貧困そのものをなくす運動を、 行政や多くの団体と連携して進め、 多重債務のない社会をつくるために頑張っていきたい」 と述べました。
改正貸金業規制法は運動の反映
木村達也弁護士が報告
集会では、 全国クレ・サラ対策協議会代表幹事の木村達也弁護士が、 多重債務者救済とヤミ金など違法金融根絶に向けた運動の課題について報告しました。
木村達也弁護士は、 06年12月に成立した改正貸金業規制法について、 グレーゾーン金利廃止や年収の3分の1までとした過剰与信規制、 厳しい参入・業務規制による悪質業者の排除など、 30年来のクレサラ運動の成果が大きく反映されたと指摘しました。
木村氏は、 金利引き下げによる大手消費者金融業者への影響は少ないとした上で、 過剰与信規制による中小貸金業者の転廃業加速、 年収3分の1の総量規制を超えた債務者への返済強化など貸しはがし現象や新たなヤミ金被害の拡大の危険性を指摘。 「転廃業したサラ金が悪徳商法やヤミ金に転じる恐れもある。 多重債務者の救済が今後さらに重要となる」 と述べました。
投稿者 jcposaka : 2007年11月15日