来年4月から実施予定の後期高齢者医療制度
2007年11月08日
高齢者を病院から追い出す
先延ばし・凍結も本質変わらず
来年4月から実施予定の 「後期高齢者医療制度」 について、 内容や運営に対する不安の声が高まっています。 同制度の問題点を、 北山良三広域連合議員 (日本共産党大阪市会議員) に聞きました。 北山良三広域連合議員に聞く 第1の問題は、 本人の努力ではどうにもならない、 「年齢」 という絶対的な基準によって、 受けられる医療の中身が劣悪なものにされることです。 「75歳以上の人にはまともな医療はしなくていい」 と言っているのに等しい。
医療というものは本来、 医師としての良心に基づいて、 一人ひとりの状態に合わせて検査をし、 診断をし、 治療をしていくものではないでしょうか。 年齢によってその内容を差別してはなりません。 ところがこの制度では、 高齢だという理由だけで、 検査や治療内容に 「上限」 を設けたり、 重症の高齢者を 「終末期」 と判断して退院させれば、 その病院に支払われる報酬が 「加算される」 などの仕組みを導入しようとしています。 「後期高齢者の心身の特性にふさわしい医療」 として、 差別が持ち込まれることになるのではないでしょうか。 第2の問題は、 保険料の負担と徴収の仕組みにあります。 すべての高齢者に保険料負担を強いることになり、 そして2年ごとに確実に引き上げられていくことになります。 しかも、 ほとんどの方は年金から保険料を天引きされてしまいます。 一部の 「年金天引き」 されない方は、 保険料を滞納すれば、 保険証を取り上げられることにもなってしまうというものです。 現在サラリーマンの扶養家族に入っている方は保険料の負担はありません。 この制度によって、 これらの方もすべて保険料負担が発生します。 政府は 「一部凍結」 として、 この方々だけ保険料徴収実施時期を半年先延ばしするとしていますが、 半年後には新たな負担が発生することに変わりありません。 これは選挙目当ての姑息なやり方です。 第3の問題は、 府民の声が非常に反映されにくくなっている点です。 この制度の保険者 (実施主体) は、 都道府県ごとに新たにつくられた 「広域連合」 という自治体です。 大阪府の広域連合の議員定数はわずか20人ですから、 すべての市町村から議員が参加できるわけではありません。 さらに、 独自財源を持たないため、 「自治体」 ではあるものの、 住民の声に基づいた独自施策を行うことが、 非常に難しくなっています。 7月に第1回目の広域連合議会が開催されました。 そこでは、 「議員の質疑は3回まで」 「傍聴者は一律30人まで」 などと、 議会での自由闊達な議論や府民に開かれた議会という点で重大な制限を設けることを、 共産党を除く18人の議員で決めていまいました。 次の議会は11月22日に開催されますが、 ここでは大阪府での保険料が決定されます。 示された議案では、 1人平均保険料が年額10万1449円と提案されています。 国が示した7万4400円よりも2万7049円も高くなっており、 東京と並び、 全国最高水準になっています。 府広域連合として、 府や各市町村からの補助金を求め、 独自の減額措置を講じる必要があるのではないでしょうか。 また、 この議会では、 府民から寄せられた請願書の審議も行われます。 この中では、 「保険証の取り上げはやめる」 ことを求めているなど、 重要な改善案が提案されています。 私も、 枚方市の広瀬ひとみ議員も日本共産党議員として、 府民の声に基づいた議論を大いに進めたいと思っています。中止・撤回を求めていく
同制度の中止・撤回を求める運動は活発です。 同制度の実施に反対して頑張っている無所属議員も多くおりますし、 各地の医師会が請願署名に取り組む動きも出てきています。 また、 同制度全体の凍結と抜本的な見直しを求める決議が、 大阪市議会でも全会一致で可決されました。
引き続き同制度の具体化の中で府民の被害を最小限にさせていく運動と、 制度そのものの中止・撤回を国に求めていく運動が大切です。
後期高齢者医療制度
75歳以上の高齢者(生活保護を除く)と、 障害を持つ65〜74歳を対象に創設され、 来年4月から実施されるもの。 保険料の平均年額が大阪府では10万1449円と試算されており、 厚労省の試算を大きく上回って全国最高水準となる見込みです。
投稿者 jcposaka : 2007年11月08日