タクシー規制緩和もう限界 白タク・チャブリ・やりたい放題
大阪は無法地帯か
安心・安全のタクシー輸送守れ
自交総連が「怒りの行動」
「バラバラ運賃の是正、 多すぎるタクシーを減らせ」 「白タク、 チャブリ (客引き行為) を取り締まれ」 「悪質業者を取り締まれ」 ……。 タクシー事業を免許制から許可制にするなど、 新規参入や増車を自由化する 「改正道路運送法」 =規制緩和 (02年2月1日施行) からまる6年。 政府・国土交通省が規制緩和のうたい文句にした 「サービス向上、 労働条件改善」 が完全に破たん。 国交省近畿運輸局も増車規制や悪質ワンコインタクシーの事業許可取り消しに乗り出さざるを得ない状況になっています。
大阪府内のタクシー車両数は規制緩和前の01年に2万410台だったのが規制緩和後の06年には2万3212台と急増。 運賃体系も40〜60種類にのぼり、 まさにばらばら状態。 タクシー利用者が大幅に減少、 低迷しているにもかかわらず、 増車と運賃値下げ競争の結果、 乗務員の賃金は生活保護基準以下に拡大。 このため乗務員は長時間労働を強いられ、 過労運転がはびこり、 苦情や交通事故の増加 (表、 グラフ参照) だけでなく、 白タクやチャブリなどの悪質行為の横行につながり、 まじめに働く乗務員から 「大阪は無法地帯か」 の悲鳴が聞かれるほどです。 このような実態を反映し、 自交総連大阪地連が昨年実施した 「08年春闘要求アンケート」 (有効回答数17組合765人) でも、 タクシー乗務員に 「やりがい・誇り」 を 「感じている」 のは26・8%で、 「感じていない」 は約2倍の46・6%にのぼります。 「仕事の将来性」 については、 「感じる」 の7・9%に対し、 「感じない」 が69・1%と約10倍に達しています。チャブリ行為取り締りなど約束
自交総連大阪地連は1日、 大阪市中央区谷町4丁目にある国交省近畿運輸局前で 「怒りの行動」 に取り組みました。
厳しい寒さの中、 タクシードライバーの組合員ら200人が2時間にわたって座り込みを行い、 怒りのシュプレヒコールを繰り返しました。
行動では近畿運輸局に対し、 「タクシー輸送の安心・安全を確保するための要請書」 を提出し、 「タクシー車両を5千台以上減車するよう実効ある措置を講じる」 「企業内個人タクシー=ワンコインタクシー= (注) と称される名義貸し行為を是正する」 などを求めました。
局側はチャブリ行為については厳重に取り締まること、 ワンコインタクシーについても関係事業者の監査を約束しました。
行動に参加した組合員 (49) は 「東京では運賃を値上げしていますが、 大阪のようにばらばらの運賃ではそうもいきません。 年収300万円ほどで、 長時間走り倒さないと食べていけない状態。 ばらばら運賃をなくし、 労働条件を改善し、 自交総連が提案している国家資格のタクシー運転免許制度を創設するなど誇りの持てる産業にしてほしい」 と話していました。
行動の中であいさつした同地連の権田正良委員長は要旨次のように述べました。
自交総連は規制緩和で安心・安全のタクシーが破壊される。 労働条件が悪化し、 交通事故が増える、 「百害あって一利なし」 と行政に警鐘乱打してきました。
しかし、 政府・国土交通省は私たちの真摯な願い、 要求をまじめに聞こうとしなかった。 その結果、 大阪のタクシー労働者が全国的に見ても一番困難な状況に追い込まれています。
しかし、 6年間の運動が着実に前進していることも少しずつ明らかになっています。 昨年の暮れ、 近畿運輸局が大阪市と周辺8市を営業圏とする 「大阪市域交通圏」 について、 新規参入や増車を規制する 「準特定特別監視地域」 に指定したことは運動の大きな成果です。
問題は、 新規参入、 増車抑制は一つの方策ではあるが、 いま実際に5千台多い。 これを減らさないと、 労働条件はよくならないし、 安心・安全のタクシーを利用者に提供できません。
労働者も事業者も減らせと言い、 行政も7年前に4千台の供給過剰と言ってきた。 3年、 4年かけ、 計画的に減車させるよう訴えたい。 ワンコインも道路運送法第33条 (名義貸し)違反、 安心・安全が守れないタクシーだと世論に訴え、 なくす運動を強めたい。
【注】ワンコインタクシー
規制緩和が生んだ初乗り運賃が500円のタクシー。 タクシー車両や営業諸経費などを会社と運転者個人がリース契約。 事業者の指揮命令系統が明らかでなく、 労働時間も運転者個人の自由裁量。 各種保険なども運転者の個人負担で、 実態は 「企業内個人タクシー」。 運行管理、 運輸規則にも抵触する異常な営業が 「安全・安心」 を崩壊させかねないと問題になっています。
投稿者 jcposaka : 2008年02月07日