中国冷凍ギョーザ 薬物中毒被害拡大 日本共産党議員らが大阪検疫所視察
食の安全信頼回復へ
輸入食品の検査強化を
中国から輸入された冷凍ギョーザの薬物中毒事件は、 被害を申告する人たちが全国に広がっています。 農薬が混入した経路など、 真相の徹底究明と対策が急務になっている中、 あらためて問われているのは、 輸入食品の検査体制をはじめ政府の責任。 日本共産党近畿ブロック事務所は12日、 大阪市港区にある大阪検疫所を視察し、 検査体制や実情について聞きました。
有機リン系の農薬 「メタミドホス」 が検出された冷凍ギョーザ 「中華 ごちそう ひとくち餃子」 を製造していたのは、 中国河北省の 「天洋食品」。 兵庫県高砂市の家族3人が中毒で入院したギョーザと、 枚方市の小売店から日本たばこ産業 (JT) の子会社 「ジェイティーフーズ」 に返品された製品の製造日はともに昨年10月1日でした。
冷凍ギョーザ
は検査対象外 製品は天津新港から船積され、 11月6日に大阪港に到着。 冷凍ギョーザは輸入食品の検査対象外になっています。
視察には、 日本共産党の宮本たけし元参院議員 (衆院比例候補)、 石井いく子衆院議員 (秘書)、 小谷みすず、 芹生幸一、 山本陽子の各府議らが参加。 大阪検疫所の食品監視課の塚本郁夫課長らから事情を聞きました。
大阪検疫所への輸入食品の届出は89年に5万8695件だったのが、 06年には21万8754件と、 3・7倍に急増しています。
食品衛生監視員は20人。 毎日4班 (2名1組) が、 輸入品を扱う倉庫など現場での検査に全力を挙げていますが、 検査実績は届出件数の8・6% (06年) にとどまっています。
生産・製造国別には中国が最多で8万6713件。 検査率は12・7%です (06年)。
冷凍ギョーザの場合、 いくつもの食材が混ざり、 どの原料に農薬が残留しているのか、 特定は困難。 それでも、 「検査技術と評価方法が解決されれば、 現場は対応できる」 と塚本課長は話します。
宮本氏らは、 食の安全を守る同党の基本的な立場や、 検査体制の強化を求める政策 (別項) にも触れながら、 「国民の命にかかわる問題で、 精一杯努力している現場の思いにこたえる仕組みになっていないことが問題」 と強調しました。
体制の抜本強化を
日本共産党が国会で要求
福田首相に対する日本共産党国会議員団の申し入れ (1日) では、 今回の事件の背景に、 日本の食料自給率が39%と、 6割以上の食料を輸入に依存している一方、 食品衛生法に基づく国の輸入食品の検査率がわずか1割という、 驚くべき検査体制の貧弱さがあると強調しています。
今回のような輸入加工食品についても、 残留農薬一律基準0・01ppmが適用されるのに、 まったく検査されていなかったことも指摘。
「国民の食の安全・安心に対する信頼性を回復するには、 輸入食品検査体制の抜本的強化に着手しなければならない」 として、 7項目を要望しています。
その中で、 政府の責任で新たな被害防止や被害者への医療対応に取り組むとともに、 検査体制の抜本的強化へ、 検査率を現在の10%から50%に引き上げ、 食品衛生管理員を現行の334人から飛躍的に増員することなどを求めています。
参院予算委員会 (5日) での同党の紙智子議員の質問に対し、 福田首相は 「輸入食品の安全性が確保されるよう、 人的体制を含め輸入時検査のあり方について研究したい」 と答弁しました。
投稿者 jcposaka : 2008年02月15日