新連載・これって何? 地方政治の基礎用語 地方自治体
どうちがう?地方自治体と地方公共団体
広辞苑で 「地方自治体」 をひいてみると 「地方公共団体に同じ」 とあります。 確かに都道府県や市町村をさしているという意味では 「同じ」 なのですが、 着眼する力点の置き方に微妙な差異があります。
面白い (不思議な?) ことに、 憲法にも地方自治法にも 「地方自治」 という言葉はありますが 「地方自治体」 という言葉は出てきません。 この憲法と地方自治法をつなぐキーワードが 「地方自治の本旨」 という言葉です。
「地方自治の本旨」 とは 「住民自治」 と 「団体自治」 という二つの側面からなっているというのが定説です。 わかりやすく言えば 「住民こそ主人公」 ということ、 および、 都道府県や市町村がその単位で 「自主権・自治権」 をもっているということです。 この 「自治」 の側面に着眼し、 重点をおいて表現しているのが 「地方自治体」 という言葉だと言えるでしょう。 「国の防衛政策に地方自治体が異議をはさむべきではない」 (橋下知事) との発言は、 地方自治体の長にあるまじき乱暴なものだと言うべきです。
憲法第8章 「地方自治」 の項の各条 (第92条〜第95条) は 「地方公共団体」 について規定しており、 地方自治法がその地方公共団体を 「普通地方公共団体」 (都道府県・市町村)、 と 「特別地方公共団体」 (東京都の各区=特別区やそれぞれがつくっている組合、 財産区、 事業団など) に区分しています。
「地方公共団体」 の 「公共」 という言葉には、 その都道府県・市町村のある区域に住んでいる、 赤ちゃんからお年寄りまで文字通り住民全体がその構成員であるという意味が込められています。 言いかえれば、 それぞれの団体が取り組んでいる事務・事業・施策はその地域住民全体のために執行されているという 「公共性」 に着目し、 そこに力点をおいて用いられている言葉だと言えるでしよう。 「図書館以外すべて不要」 (橋下知事) などと言うのは、 施策の公共性を無視した論外の発言です。
投稿者 jcposaka : 2008年03月01日