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人間と性教育研究所長・高柳美知子さん 若々しく自由に美しく 「高齢者の性と生」テーマに講演

2008年03月06日

  「高齢者の施設づくりをすすめる近畿連絡会」 がこのほど、 創立10周年を記念する 「新春のつどい」 を高槻市立総合市民交流センターで開きました。 大阪はじめ近畿一円から約90人が参加。 人間と性教育研究所所長の高柳美知子さんの講演 「高齢者の性と生」 に、 熱心に聞き入りました。 高柳さんの講演を紹介します。

「人生50年」から「人生90年」に

 かつて 『人生50年』 とされた時代から、 平均寿命が伸びたことで、 21世紀には 『人生90年』   高柳さんは、 「今60歳なら、 プラス30年をどう生きるかが問われる、 前人未踏の時代に、 『性』 につなげて私なりにお話したい」 と講演を切り出しました。
 テレビや映画で脚光を浴びるのは圧倒的に青春期なのに対し、 「高齢者の性はなぜ抑圧されてきたのか」 と問いかけた高柳さん。 高齢者の恋愛や性的な要求・悩みに対して、 「いい年をして…」 「高齢者になれば性は枯れる」 という見方があるが、 「それは、 科学的でない、 ある種の迷信」 と強調しました。

女性への差別と科学的な知識

 高柳さんは 「非科学的な無知と迷信は、 女性への蔑視 (べっし) と結びついて、 いまだに尾を引いている」 と指摘。 大日本帝国憲法下の民法では妻は 「準禁治産者」 として、 知能の劣った者とされる中、 戦時中に少女時代を送った高柳さん自身、「女性の性は不浄」 「月経は卑しむべきもの」 という考えになっていたと振り返りました。
 戦後、 その高柳さんに、 新しい視野を開いてくれたのが、 ナチス・ドイツのユダヤ人大虐殺の犠牲になったアンネ・フランクの 『アンネの日記』。
  「アンネは私と同世代。 なのにアンネは、 月経を自らの体の成長と理解できる科学的な知識を持ち、 将来の職業にも抱負を持っていた」 と高柳さん。 「『将来は母親になる』 とだけ考えていた私と、 なんという違いだろう」 と痛感したことが、 性教育評論家の道を歩むきっかけになったと語りました。

性と生めぐる今日の状況は

 日本で大ヒットした韓流ドラマ 「冬のソナタ」。 そのテレビ放送を4回見たという高柳さんは、 「あのドラマは、 純愛と美しい映像と音楽で中高年女性の心をつかみましたが、 大方の男性は、 馬鹿にしていたのではないでしょうか」と語ります。
  「冬のソナタ」 への反応が男女で分かれたり、 定年後の男性が 「粗大ごみ」 など言われてしまう背景について、 高柳さんは 「男は企業戦士」 「女は家事・育児」 という性的役割分業の問題があると指摘。 「夫と妻のセックスレスやすれ違いが増えています。 日本は性教育の後進国。 学び取り、 歩み寄ることで、 夫婦が 『出会い直す』 ことも大切。 高齢者も若々しく、 自由に美しく。 皆さん自身が主人公ですから」 と締めくくりました。

高柳美知子さんの略歴 たかやなぎ・みちこ 1931年、 東京生まれ。 早稲田大学教育学部卒業。 中学・高校の国語教師、 NHK学園生涯学習講座 「人間と性」 専任講師などを経て、 現在、 人間と性教育研究所所長。 主な著書に 『美しき惑いの貴方へ/若い女性教師への手紙』 (あゆみ出版)、 『老いてもなおステキな性を』 (かもがわ出版) など多数。 近著に 『戦争と性 韓国で 「慰安婦」 と向きあう』 (07年8月・かもがわ出版、 共著)。 人間と性教育研究所 http://seikyoken.org/

高齢者の施設づくりをすすめる近畿連絡会

 近畿の各府県で、 特養ホームなどの施設づくりに取り組む団体や個人の連絡組織として、 97年に結成。 「ポストの数ほど高齢者ホームを」 をキャッチフレーズに、 各地の運動経験の交流、 国会請願署名、 国や自治体との交渉、 学習会など粘り強く活動しています。
 2月17日開かれた10周年のつどいで代表世話人の藤垣全弘さんがあいさつし、 7回にわたって国会請願署名に取り組んできたことなどを振り返りながら、 「年金引き下げや定率減税の廃止など、 高齢者いじめの負担増に怒りで一杯だ」 と強調。 さらに運動と連帯を広げようと呼び掛けました。

投稿者 jcposaka : 2008年03月06日

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