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広がる「児童文学館」守れの声 いまや国際的施設に

2008年04月11日

読書支援の活動なども

 国際児童文学館の蔵書の母体となった児童文学研究者・鳥越信さんのコレクション (12万点)。 それを譲り受けて同館を開設 (84年) するにあたり、 大阪府は引き続き資料を収集し、 整理・公開することを約束した経過があります。
 以来、 四半世紀にわたって、 子どもの本の資料を収集・研究・公開する 「児童文学総合資料センター」 の役割を発揮。 海外の本の収集・紹介や、 児童文学での国内外の優れた研究業績を表彰する 「国際グリム賞」 (86年から隔年) なども主催。 世界にも数少ない施設となってきました。
 同館にはもう一つ、 学校や図書館などと連携した 「子どもの読書活動支援センター」 という独自の役割があります。
 館内の「こども室」では、 読み聞かせの会やワークショップなど多彩な行事を開催。 「赤ちゃんにどんな本を読んだらいいの」 という親の要求に応える冊子 「親と子が楽しむはじめての絵本」 の発行や、 学校や図書館、 ボランティア団体向けにアジア絵本のセット貸し出しなどユニークな取り組みも行っています。 インターネットを活用した 「ほんナビキッズ」 は、 「楽しい本」 「きかんしゃ (の出てくる本)」 など、 子どもたちの関心に沿った言葉で検索し、 読みたい本を選ぶことができるシステムです。
 「こども室」の開架書籍を手に取りやすいように、 低学年向けの本は書棚の下の方に並べるなど、 施設や行事の随所で「子どもの目線」 が大切にされています。
 同館の向川幹雄館長らの説明を聞いた日本共産党府議団の阿部誠行幹事長らは、 2月府議会で国際児童文学館の役割を明らかにし、 「単に採算性や効率性だけで見るべきでない」 と橋下知事に迫ったことを紹介。 「国際児童文学館を守り、 発展させたいという思いは皆さんと一緒。 この地で存続、 発展させる立場で全力を尽くしたい」 と語りました。
 有志で活動してきた 「大阪国際児童文学館を育てる会」 が、 橋下知事の 「見直し」 方針を受けて始めた存続要望署名を幅広い団体・個人に呼び掛けています。 国際児童文学館の向井館長と、 財団法人大阪国際児童文学館の松居直理事長は3月28日に橋下知事に、 存続を求める上申書を提出しました。
 31日には、 子どもの本の作家、 翻訳家、 評論家などでつくる社団法人 「日本児童文学者協会」 の那須正幹会長が、 橋下知事に 「存続についての訴え」 を出しました。 那須会長はその中で、 国際児童文学館へ、 児童文学出版社など多くの関係者が支援を惜しまなかったのは、 「同館が通常の図書館とはまったく別の機能と魅力を備えていたから」 と強調。 また同館が子どもの本をめぐる国際交流の分野で貢献してきたと指摘しています。
 さらに他施設などと統合すれば存在意義が失われ、 「これまで大阪府が府民の方々の理解のもとで同館を維持、 運営してきたこの意味が無に帰してしまう」 と述べています。

投稿者 jcposaka : 2008年04月11日

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