財界が橋下応援宣言 「痛み」伴う改革を要求
橋下徹知事の 「府政運営」 に、 関西財界が公然と身を乗り出しています。 4月10日に要望書 「橋下府政に望む」 を出した関西経済連合会 (関経連) が、 知事の 「財政非常事態宣言」 や 「全事業のゼロベースでの見直し」 を 「評価」 すれば、 関西経済同友会 (同友会) は4月21日の 「提言」 で、 「大阪府の改革を積極的にバックアップしていきたい」 と表明。 異例ともいえる関西財界の 「応援団宣言」 は何を狙い、 橋下知事はどう応えようとしているでしょうか。
開発推進へ役割果たすよう要求
4月28日午前9時、 大阪市北区の中之島センタービルに橋下知事がわざわざ出掛け、 関経連の要望書 「橋下府政に望む」 に回答しました。 関経連が知事に要望書を出したのは4月10日。 ちょうど 「財政再建プログラム試案 (PT試案)」 が公表される前日のことです。
PT試案に先手を打つような形で出された要望書では、 「行財政改革の断行」 とともに、 新名神高速道路 (未着工部分) の早期着工、 関空2期事業の推進などで知事が中心的な役割を果たすよう要求。 法人税超過課税の廃止や、 大阪府版 「経済財政諮問会議」 (仮称) の設立や、 府政運営に関西財界の要求を反映することを求めています。
新名神高速道路は、 関連府道事業 (高槻、 茨木北、 箕面各インターチェンジ) で計325億円の投入も計画されていますが、 橋下知事は 「促進協議会会長として、 関係府県とともに整備促進について国へ働きかける」 と回答。 関空2期事業は6月に 「全事業の見直しの中で方向性を明らかにする」 としたものの、 連絡橋買い取り (府負担65億円) や利用促進事業そのものは 「利便性向上や関西活性化に寄与するもの」 と評価しています。
4月21日に提言 「財政再建と経済成長の両立を目指して」 を出した同友会は、 何を要求しているでしょう。
大企業優遇他11項目の「すべき」
法人事業税の超過課税の廃止を求めるかと思えば、 イノベーション (技術革新) 創出へ、 投資促進優遇税制など 「あらゆる手段と資源を総動員すべき」 ▽新たな自治体経営へ、 「有識者会議を設けて、 民間の知恵と実践事例の吸収に努めるべき」 ▽知事と大阪市長、 企業経営者が定期的に協議する 「『経済活性化戦略会議 (仮称)』 を創設すべき」 ▽ 「関西広域連合」 の創設を決断し、 道州制の実現へ、 他府県や国に働きかけ、 「世論喚起に尽力すべき」 などなど、 同友会は、 橋下知事の 「改革」 を 「高く評価し、 強く支持する」 と激励し、 大企業優遇や開発推進など11項目の 「すべき」 を掲げ、 具体的目標と達成スケジュール、 実行計画をまとめるよう、 迫っています。
経済界から知恵借りたい知事
PT試案が打ち出した福祉・教育はじめ施策の一律カットや、 貴重な府立の施設の廃止・統合の内容が明らかになる中で、 幅広い府民の間で 「改革」 への不安や怒り、 運動が広がっています。
歳出削減で、 「880万人府民が少しずつ我慢を」 と理解を求める橋下知事。 その知事を後押しする同友会は、 府庁内や市町村や府民の中で橋下知事が 「四面楚歌に陥る可能性もあるが、 財政再建には常に痛みが伴うことについて、 対話を通じて説明責任を果た」 せと、 「改革」 の実行を要求。 関経連の松下正幸副会長 (松下電器副会長) も、 橋下知事との懇談後、 「痛みを伴う改革を、 スピードを持ってやっていくことは大賛成」 と報道陣に語りました。
橋下知事は、 法人税超過課税は 「府財政の現状からご協力をお願いしたい」 と答えるなど、 関西財界の要求がすべて実現しているわけではありませんが、 関経連に対しては 「経済界のアドバイスを受けられる会合を設定してほしい」 と語り、 「府政改革に経営者の視点を取り入れたいので、 皆さんとの意見交換の場を設けてほしい。 お知恵を貸していただきたい」 としています。
投稿者 jcposaka : 2008年05月02日