撤回しかない財政再建案 かつてなく広がる声 「教育、営業、医療守れ」
橋下徹知事の指示で、 府の改革プロジェクトチーム (改革PT) がまとめた 「財政再建プログラム試案 (PT試案)」 の公表から1カ月余。 福祉や医療、 教育、 中小商工業など府民施策を根こそぎ切り捨てる橋下 「改革」 に反対し、 制度や施策の存続を求める世論や運動が急速に広がっています (関連記事2、 6面)。
200万人を目標に署名 「子どもたちへの投資は未来への投資だ」 9日、 記者会見した大阪府PTA協議会の坂口一美会長は、 こう力説しました。PT試案が小学1、 2年生の35人学級と学校警備員配置のための予算を廃止するとしている問題で、 同協議会はこの日から200万人を目標に存続を求める署名をスタート。 今月20日までに集めたいとしています。
同協議会の構成員は53万人 (大阪市除く)。 大阪市以外の公立幼・小・中1312校のPTAにアンケートを実施したところ、 回答のあった771校のうち、 9割以上が廃止・削減に反対。 同協議会として史上初の署名運動に取り組むことになりました。府小学校校長会、中学校校長会、 政令指定都市の大阪市、 堺市のPTA協議会も支援します。
また私学助成の削減問題では、 大阪私立中学校高等学校連合会や同保護者会連合会などが8日、 現行水準の維持を橋下知事に要望しています。
商都大阪の火消すもの
「街の活気の根本は商店街」 などと2月府議会で答弁していた橋下知事。 ところがPT試案では、 商店街いきいき元気づくり事業補助金など、 商店街活性化のための予算が軒並み廃止・削減。 大阪府商店街連合会など11団体でつくる全大阪小売商団体連盟 (河野武夫会長、 約4万8千店) は9日、 橋下知事に緊急要望を行いました。
河野会長は、 大型店の相次ぐ出店で中小小売商が苦境に立たされる中、 府などの支援を受けて、 経営改善や地域の発展のために実施してきた事業には 「無駄なものは一つもない」 と強調。 廃止や削減は 「商都大阪の火を消すもの」 と述べ、 施策の継続を求めました。
「空き店舗で子どもの絵を展示してどんな効果があるのか」 「予算ではなく事業の中身にアイデアを出す (のが行政の仕事)」 などと答えた橋下知事に対し、 要望に同席した自民党府議団商業振興議員連盟の釜中与四一氏ら3議員は、 「 (振興策の) 効果が上がるには時間がかかる。 まだ道半ばだ」 と語りました。
医療崩壊に拍車かける
PT試案は、 福祉医療助成制度への1割自己負担の導入と所得制限の強化、 国保事業費補助 (精神通院・結核) の廃止、 休日夜間診療や救急医療関係の運営補助金の廃止を打ち出しています。
日本共産党府議団との懇談 (9日) の中で、 府医師会の坂本正範事務局長は、 PT試案について 「医療崩壊に拍車をかけるもの」と指摘。 「縮減には優先順位がある。 特に命にかかわる予算は大事に」 と力説しています。投稿者 jcposaka : 2008年05月16日