関空救済策 連絡橋に税金65億円 府民には我慢ばかり
聖域扱い国直轄事業負担金
日本共産党府議団 堀田文一政調会長に聞く
橋下徹知事は、 24日発表した08年度本格予算案で、 関空連絡橋の買い取りのために、 今年度で7億円を計上しています。 府の負担は5年間で総額65億円。 「財政再建」 の名で福祉・医療・教育・文化など施策を切り捨て、 府民に 「我慢」 を求める一方で、 なぜ連絡橋を買うのに税金を投入するのか。 その背景にある 「国直轄事業負担金」 の仕組みや問題点について、 日本共産党大阪府議会議員団政調会長の堀田文一議員に聞きました。
なぜ関空連絡橋を買い取るのでしょうか。
堀田 関空連絡橋の買い取りは、 需要の伸びが思わしくない関空の救済策です。 連絡橋の通行料金値下げ (普通車1500円↓800円) を目的に、 今年度、 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構と国が共同で、 585億円で買収することになりました。
財政危機のはずが
同機構は、 通行料金で回収できる390億円分を買い取り、 国は回収できない195億円分を国道の名目で買い取ります。 大阪府は国道買い取り分の3分の1 (65億円) を 「国直轄事業負担金」 として支払います。 5年間で分割して買い取る計画ですが、 橋下知事は 「財政危機」 と言いながら、 08年度本格予算で7億円の予算を組んでいます。
これまでの関空連絡橋は関空会社の私有財産ですが、 買収によって国有財産となり、 泉佐野市にはその固定資産税が入らなくなります。 市財政にとっては深刻な問題で、 同市当局は「通行税」を検討しているといいます。
国直轄事業負担金とはどういうものですか。
堀田 道路法50条は、 国が行う国道の新設・改築の費用について、 国が3分の2、 都道府県が3分の1を負担すると定めています。 維持・修繕の場合は国10分の5・5、 都道府県10分の4・5で、 新設・改築よりも都道府県の負担は多くなっています。
一方的に押し付け
この規定に基づいて、 都道府県が国に納めるお金を国直轄事業負担金といいます。 同様の例は河川法、 海岸法、 都市計画公園法などにもあり、 国直轄事業負担金は広範囲に及びます。 都道府県に負担を一方的に押し付けるもので、 地方自治に反すると以前から問題が指摘されてきました。
淀川水系4ダムで638億円も
国直轄事業負担金
堀田府議に聞く
大阪府はどれくらい負担金を出しているのですか。
堀田 大阪府が国に納める直轄事業負担金は、 都市整備部関係だけでも、 08年度本格予算案で400億円以上あります (表1)。 環境農林水産部や、 にぎわい創造部などにもあります。
大型事業は「聖域」
最近の都市整備部関係の推移を見ると、 府の建設事業予算は04年度2413億円から08年度は1334億円へと減る一方。 ところが国直轄事業負担金は266億円から401億円へと増える一方です (グラフ)。
住民生活に直結する公共事業は縮小の一途なのに、 国が進める大型事業は聖域というわけです。 小泉内閣の 「三位一体の改革」 で地方分権は進んだことになっていますが、 実態は逆です。
国が進めるダム事業についてはどうですか。
堀田 もちろん国直轄事業負担金があります。
6月20日、 国交省は淀川水系4ダム (丹生・川上・大戸川・天ヶ瀬) 建設を盛り込んだ河川整備計画案を決定し、 近畿の各知事に意見を求めました。 同省近畿地方整備局の諮問機関である淀川水系流域委員会の意見を無視したものです。
無駄なダムで負担
大阪府は余野川ダムを含めた5ダム事業ですでに285億円の負担金を国に出しています。 今回の国交省案通りダム建設計画が確定すれば、 今後の大阪府の負担金は、 推計638億円に達します。 (表2)。 淀川水系4ダムは大阪府にとって効果はなく、 負担金も出すべきでありません。
「国直轄事業負担金」 に対する橋下府政の姿勢は。
堀田 橋下知事は 「大阪維新プログラム案」 の中で、 「国直轄事業負担金の廃止」 を盛り込みました。 「三位一体の改革」 による地方交付税の削減、 法人事業税の一部国税化などと並べて、 「現在の 『財政非常事態』 の背景」 に挙げています。 そう書き込まざるを得ないほど、 小泉内閣以降の自民・公明政権の地方自治体いじめはひどくなっています。
無駄止める方向で
橋下知事は 「財政再建」 を、 福祉・医療・教育・文化・安全を削る方向で進めようとしていますが、 「国直轄事業の廃止」 をはじめ、 国に税・財源の確保を求め、 開発や同和の無駄遣いを止める方向でこそ、 進めるべきです。 その手始めに、 無駄なダムで莫大な負担を押し付ける近畿4ダムについて、 「ノー」 の回答を出すべきです。
投稿者 jcposaka : 2008年06月27日