国民の命守れる医療に 共産党河南地区委員会 シンポジウムで意見交換
日本共産党河南地区委員会が 「南河内の地域医療を考えるシンポジウム」 を5月25日、 河内長野市内のノバティ長野で開催。 会場いっぱいの市民ら179人が参加しました。
富田林市長が趣旨に賛同
シンポジウムでは、 開催の趣旨に賛同した多田利喜富田林市長の紹介で富田林市消防本部理事・消防司令長の溝川秀敏さんと大阪府済生会富田林病院事務長の斉義秋さんがパネリストとして参加。 このほか、 耳原総合病院の真鍋穣医師、 新婦人富田林支部の高田記代美事務局長、 年金者組合河内長野支部の太田裕子さん、 日本共産党衆院議員の井英勝さんも発言しました。
医療従事者の負担は大きく
昨年末、 富田林市で救急患者が30もの病院から搬送を断られ死亡する事件が起こりました。
溝川氏は、 富田林市の救急隊が全て出払ってしまい、 新たな急患に対応できない 「空白時間」 が06年度には80回あったことを紹介し、 「救急車を必要としている人の要請に応えられない」 と述べました。
斉藤氏も、 医師不足による 「悪循環が起きている」 と指摘。 当直医が1人しか置けず、 病棟の患者を看ながら急患にも対応している現状。 救急告示病院の減少や、 公立病院に黒字経営を求める厚労省の意向で、 不採算となる診療科の閉鎖に追い込まれていることなどを報告しました。
会場からも、 耳原総合病院職員の女性が、 「耳原も断ったと知りショック」 だったと富田林の事件当時を振り返り、 「すでに2人の急患の措置に追われ、 断らざるをえなかった。 医療従事者の精神的負担は大きい」 と語りました。
今の体制では助からない
溝川氏は、 救急車を呼ぶ際に留意することについて、 緊急時にどの診療科にかかればいいのか、 どの病院へ行けばいいのか判断できずに救急車を呼ぶ事例を紹介。 「日ごろから自分の健康状態を把握し、 電話の横に病院の連絡先をメモしておいてほしい。 心肺停止など、 1分1秒を争う状況では今の救急体制では助けられない」 とするとともに、 「現状では、 研修医には5年間救急の担当を義務づけるなどしなければいけないのでは」 と話しました。
負担増に加え給付も抑制
真鍋氏は、 「日本の医師数は急に減ったのではない」 と指摘し、 「構造改革」 路線で国民に 「負担増か給付抑制か」 の二者択一で、 その両方を実行してきた政府を批判。 「国民に対する責任を放棄している」 と述べました。
溝川さんも、 「今の救急医療体制では、 皆さんの命は守れない。 何とかしたいが、 消防単独では難しい。 市や府に働き掛けていきたい」 と述べました。
井議員は、 「金がないと医療が受けられなくなる」 医療費抑制政策は、 「民間の外資系保険会社へ金が流れるようにする狙いだ」 と指摘し、 「その金は投機など 『金融ばくち』 に回され、 原油や穀物価格の高騰を招き国民の生活を直撃している」 と批判。
また、 都道府県別の医師数を見ても先進国平均を下回っていることを紹介し、 「医師偏在論は間違い」 と指摘しました。
井議員は後期高齢者医療問題をめぐる国会の状況を報告。 野党共同で提出した廃止法案について、 「参院での審議でも、 自民公明両党を追い詰めるほどの徹底審議をさせ、 衆院を通過させるために大きな世論と運動を」 と呼び掛けました。
PT試案への不安や批判も
シンポジウムには、 橋上義孝河内長野市長から 「日本の医療を本来あるべき姿に」 とのメッセージが寄せられました。
河南地区委員会ではシンポジウムに向けて、 大阪狭山市、 松原市など南河内地域の医療機関や医師会、 歯科医師会、 薬剤師会、 老人会長などを訪問し対話。 行く先々で、 救急医療制度の充実の必要性や後期高齢者医療制度への怒り、 府財政再建プログラム試案で救急医療制度助成がカットされようとしている問題への不安や批判の声などが寄せられました。
投稿者 jcposaka : 2008年06月01日