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吹田操車場跡地問題 民家のそばに貨物運搬専用道 住民ら「平穏奪うな」

2008年07月18日

専用道はドーム・トンネル化を

 旧国鉄吹田操車場跡地 (吹田・摂津両市) への梅田貨物駅機能の一部移転計画は、 住民の反対の声を無視した着工合意 (06年2月) に基づき昨年9月関連工事が始まりました。 夜間工事の騒音に加え、 当初の約束に反して生活道路への新たな工事車両進入を要求するなど、 日常生活を脅かす深刻な事態に。 住民らは、 「大気汚染につながるトラック専用道はドーム・トンネル化を」 と訴えています。

住民の声届かない

  「ぜんそく患者も住んでおり、 貨物道路建設はまさに命と健康にかかわる大問題」。 吹田市泉町1丁目自治会の藤井幸雄会長は、 「夜間を含む工事で平穏な生活は完全に失われました。 多大な負担を強いる巨大開発なのに、 住民の声が全く届かないのは本当におかしい」 と語ります。
 吹田貨物ターミナル駅が完成すると、 1日当たり往復1千台の大型トラックが小学校や保育園もある住宅密集地を走り抜け、 大気汚染や騒音・振動など深刻な環境悪化が懸念されています。
 計画発表以来、 住民らはトラック専用道路の地下化など環境対策を強く要望。 当初、 市長も 「専用道路は半地下化が望ましい」 との見解を示し、 環境影響評価でも対策を講じるよう意見を付けていました。
 住民らはドーム・トンネル化による排ガス汚染軽減や、 トラック専用道を民家から離すよう要望、 ことし1月には1万3千人分の署名を市と事業者側に提出しました。

大気汚染が深刻に

 しかし事業者側は 「地下化は不可能」とし、泉町1丁目では民家からわずか3・5bの位置に専用道と高さ約4bの遮音壁が計画され、 連日関連工事が進められています。
  「この地域には、 吹田市が定める大気汚染の環境基準を上回る地点が多くあります。 貨物駅が稼働すれば、 事態はさらに深刻になります。 環境悪化を悲観してすでに10世帯ほどが引っ越しました」 と話す藤井さん。
  「健康被害が起きてからでは遅い。 子や孫たちがいつまでも安心して暮らせる住環境を残すために、 声を上げ続けたい」 と言います。

環境悪化は許されない
日本共産党 宮本・こまい氏らが交渉

 日本共産党の宮本たけし衆院近畿ブロック比例候補、 こまい正男衆院大阪7区候補、 吹田・摂津両市議団らは9日、 大阪市淀川区の鉄道・運輸機構国鉄清算事業西日本支社を訪れ、 梅田貨物駅の吹田市・摂津市への移転に伴う工事と吹田操車場跡地の開発について要望書を提出しました。
 吹田操車場遺跡・明和池遺跡の保存と活用を考える市民の会の山下信行会長、 地元自治会の代表も同席し、 切実な要望の実現を訴えました。
 要望項目は、 ▽貨物専用道路をドームで覆い、 トンネル方式に▽工事車両の騒音・安全対策、 住民説明会を行うこと▽吹田操車場遺跡C1、 C2地区の現地保存の実現▽貨物ターミナル駅稼働にかかわる騒音など公害対策を万全に▽JR岸辺駅の南北通路歩道建設などに応分の負担を――の5点。
 趣旨説明でこまい氏は、 大型トラックが1日1千台以上も通過し深刻な環境悪化を招くと指摘。 1999年に吹田、 摂津両市が大阪府などと結んだ 「基本協定」 に触れ、「環境悪化を招くことは許されない」と述べ、住民意見を事業計画に反映させるよう求めました。
 応対した同支社の高木良範次長は、 「貨物専用道路のドーム・トンネル方式は必要ない。 地平案はアセス手続きに基づいており、 生活上の影響は少ない」 などと回答しました。
  「市民の会」 の山下氏は、 貴重な埋蔵文化財を破壊する工事のあり方を厳しく批判。 宮本候補は 「50年、 100年と続く大事業なのに住民の声を聞かずに無理押しでは通らない」 とし、 地域住民の納得と協力を得るよう重ねて要望しました。

梅田貨物駅移転計画

 大阪最後の一等地と言われる梅田北ヤード開発に合わせ、 現在のJR梅田貨物駅機能を、 旧国鉄吹田操車場跡地と大阪市内の百済貨物駅に移転するというもの。 吹田市民が計画の是非を問う住民投票運動を進めていた06年2月、 吹田市、 摂津市、 大阪府、 鉄道建設・運輸施設整備機構、 日本貨物鉄道株式会社の5者が事業着手を合意、 現在関連工事が進められています。 建設予定地からは貴重な遺物も多数出土、 計画見直しを求める声も強まっています。

投稿者 jcposaka : 2008年07月18日

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