民滅ぶ痛み 橋下「行革」を問う D【続・府立高校非常勤職員】私たちは諦めない
「臨時だからと、 簡単に首切りさせない」 「雇用をきちんと守らせなければならない」 7月臨時府議会が閉会して1カ月。 橋下徹知事の 「大阪維新プログラム案 (維新案)」 で、 08年度末で350人の全員解雇=制度廃止が打ち出された、 府立高校の非常勤職員の闘いが、 続いています。
「めっちゃ好きっ! 子ども、学校、 この仕事」 を合言葉に、 9日から3日間、 箕面市内で開かれた第39回全国臨時教職員問題学習交流集会 (臨時教職員制度の改善を求める全国連絡会主催)。 猛暑の中、 初日の全体会には16人の非常勤職員が参加し、 注目されました。
世論に背く知事
代表して、 大阪府立高等学校教職員組合 (府高教) 臨時教職員部長の小林郁子さん (55) が特別報告。 4月の 「財政再建プログラム試案 (PT試案)」 の発表以来、 制度廃止反対を求めて府民から約2万人の署名が集まり、 新たな仲間を組合に迎えるなど運動が広がる中、 8月からの非常勤職員の賃金4%カットを撤回させたことを紹介しました。
7月臨時府議会で、 「標準法の定数外であり、 他府県にはない大阪府独自のもの」 「解雇ではなく、 任期終了だ」 などと、 制度廃止に固執した橋下知事。 しかし 「改革」 や 「財政再建」 の狙いが、 府政の解体と、 関西財界の意向に沿った関西州づくりにあることが明らかになる中、 「知事の野心の犠牲になるわけにはいきません」 と小林さんは語ります。
非正規化の拡大
全国各地から300人以上が参加した学習交流集会では、 開催地となった大阪府の非常勤職員の解雇問題が、 集会の課題の一つとして、 大きく位置づけられました。
全体会で基調報告した愛知教育大学の山口正教授は、 パートや派遣など非正規労働者の急増が雇用破壊や格差社会の象徴として社会問題化する中、 教職員の非正規化が拡大しているのに、 行政は積極的に公表しようとしていないと指摘。 子どもたちの教育を守るために、 臨時教職員の現状を交流し、 働くルールの確立へ改善報告を検討するとともに、 橋下府政による教育切り捨ての実態や、 解雇撤回を求める非常勤職員のたたかいに学ぼうと呼び掛けました。
不当な大量解雇
2日目の特別企画では、 解雇撤回を求める闘いについて、 千賀茂世さん (53) が発言しました。 非常勤職員は、 夏休みなどの長期休業中には解雇される 「学期間雇用」。 年収は110万円ほどにしかならず、 多くの人がダブルワーク、 トリプルワークをしなければなりません。
「仕事や介護で参加できない仲間の分も、 話したい」 と報告を準備した千賀さん。 ある高校の理科職員全員が、 「制度廃止になれば授業実験そのものが難しくなる」 と、 非常勤実習助手制度の存続を求める嘆願書をまとめたことなどを紹介しながら、 「前代未聞の不当な大量首切りを許せば、 前例として全国に波及することは間違いない。 次に標的にされるのは、 非常勤講師であり、 民間の非常勤臨時雇用の人たち。 9月府議会に向けて全国の皆さんの力も貸して下さい」 と訴えました。
広がる支援の輪
「大阪の教育現場で、 こんなひどいことが起きているのを、 初めて知りました。 地元でも知らせたい」 と驚いたのは、 兵庫県から参加した小学校事務職員の女性 (45)。 職場では臨時職員が入ったことで、 先生たちが子どもたちと向き合える時間が、 少しでも増えたと言います。
「そんな体験がありますから、 大阪の府立高校で非常勤の方が果たしておられる役割は本当に大切だと思います。 橋下知事は、 教壇に立つ教師だけで教育が成り立つと思っているのでしょうか。 大阪独自の制度なら、 廃止などせず、 さらに充実して、 他府県が見習いたくなるようにするのが、 知事の度量ではありませんか」 と問い掛けます。
投稿者 jcposaka : 2008年08月21日