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大阪市大2部廃止 学ぶ機会奪わないで 大学側説明に疑問 存続運動広がる

2008年11月06日

 大阪市立大学が同大学2部 (夜間課程) の学生募集を2010年度以降停止し、 現在、 在籍する学生が全員卒業後、 2部を廃止するとしている問題で、 学生らがこれを止めようと署名活動をスタート、 大学祭で 「意見交流会」 を開くなど立ち上がっています。
 大阪市立大学2部の在籍数はことし5月1日時点で988人。 今年度の受験倍率は6・5倍。 大阪市は同大学への運営費交付金を、 08年度までの2年間で総額13億3700万円削減し、 10年度まで削減は続けるとしています。
 院生によると、 すでに大学院で資料のコピーや書籍の購入が制限されるなど影響が出ているといいます。
 文部科学省作成の 「教育指標の国際比較 (06年度版)」 によると、 公財政からの教育予算支出の対GDP比は、 日本はG7加盟国中最低 (カナダは不明)。 初等・高等教育を含めると各国とも5%前後の中、 日本は3・5%と、 教育予算の少なさ、 家計負担の多さが目立っています。
  「世界一の高学費」 といわれる日本で、 比較的学費の安い2部が廃止されることになると、 特に低所得者層への影響が大きいものとなります。

調査結果に食い違いが

  「2部廃止」 の噂は以前から学生の間に広まっていましたが、 ことし7月、 大学職員が 「廃止は決まった」 と話したことがきっかけで、 1回生・2回生の学生が中心になって 「市立大学2部廃止問題を考える会」 が結成されました。 「考える会」 では、 在学生の生活状況や廃止への意見をアンケート集約。 学生たちの回答で、 大学の言う廃止理由に根拠がないことが明らかになってきました。
 大学側は、 夜間でしか学ぶことのできない有職者の割合が89年には約4割だったが、 近年は5%前後まで減少しているとしています。 しかしアンケートでは、 正規と非正規を含めた有職者は8割を超えました。 「考える会」 代表の泉谷亨輔さん (法学部2部) は、 「大学側は、 非正規労働者を数えていないのでは」 と指摘します。
 さらに大学によれば、 今年度の入学者151人のうち有職者は1人だけとされていますが、 学生の中には入学と同時期またはそれ以降に職に就くケースも多く、 職の有無を大学に報告もしていないといいます。

当局調査でも意義示す

 経済的理由で大学に行けない人に学ぶ場を提供することの意義も、 大学は認めていました。 奨学金を借りても、 その返済に十数年かかるため、 あきらめるケースもあるといいます。 大学が行った調査 (07年度) では、 世帯所得400万円以下の学生が1部 (昼間課程) では15・20%、 2部では35・40%となっており、 2部の存在意義を示しています。

運動の輪が広がり始め

  「考える会」 がこれまで集めた 「存続を求める署名」 は1千筆を超えました。 10月31日から4日間開催された大学祭 「銀杏祭」 では 「市大2部の今日的意義を考える企画」 を開き、 そこで行われた意見交流会には在学生や2部への進学を考える若者、 2部出身の院生、 OBら延べ30人余りが集まりました。
 3回生の女性 (40代) は豊中市に住み、 フルタイムで働く門真市の職場からどんなに急いでも、 1限目の授業に間に合いません。 それでも毎日通学するのは、 「仕事を辞めるほど生活に余裕はないが、 仕事だけの人生も嫌だった」 から。 「人生に新しい道を開く大学2部を、 これから学ぼうとする人たちから奪ってはいけない」 と話していました。 2部出身の院生も、 「様々な年代の人が共に学ぶ2部の魅力は、 ほかに代えられない」 と指摘しました。
  「考える会」 では今後、 2部以外の学生や院生、 市民にまで運動を広げ、 今月15日から開かれる2部の学祭 「ふくろう祭」 での宣伝を予定しています。

投稿者 jcposaka : 2008年11月06日

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