「公表するか否かで補助金に差」「実施要領には縛られていない」 知事の考え“無謀” 学力テストで文科相が答弁 石井衆院議員の質問に
「教育日本一」 を掲げる橋下徹知事が、 「全国学力テストの結果を公表しなければ教育予算をつけない」 などとして教育介入を強めている中、 テスト結果の公表について、 塩谷立文部科学相が 「(政府の実施要領に) 反している」 と明言しました。 19日開かれた衆院文部科学委員会で、 日本共産党の石井郁子衆院議員の質問に答えたものです。
昨年11月に文部科学省が各都道府県教委や指定都市教委、 都道府県知事などに通知した 「08年度全国学力・学習状況調査の実施について」 は、 調査結果の取り扱いについて次のように定めています。
調査結果は 「学力の特定の一部分であることや、 学校における教育活動の一側面に過ぎないことを踏まえ」、 「序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮」 し、 都道府県教委や市町村教委は 「市町村及び学校の状況について個々の市町村名・学校名を明らかにした公表は行わないこと」 というものです。
ところが、 この実施要領に反して、 10月に鳥取県南部町教委が学校別成績を開示。 大阪府の橋下知事も同16日に、 府教委から提供を受けた調査結果について、 市町村教委が公表を決定している32市町別の成績を開示しました。
石井議員は、 大阪府では橋下知事が 「公表するかどうかで補助金に差をつけなければならない」 として市町村教委に迫ったことなどを示したのに対し、 塩谷文部科学相は、 「実施要領に反している」 とはっきり答弁しました。
橋下知事が記者会見で 「実施要領に私は縛られていない」 と発言し、 マスコミインタビューでも 「実施要領は文部科学省が教育委員会を縛るルールにすぎない。 知事の判断まで制限できるとの解釈はまったく誤り」 などと述べていることについて石井議員は、 「実施要領というルールそのものが壊されている」 と強調。
塩谷大臣は、 「府知事の考え方は大変無謀。 そうなると、 教育委員会だけでなく、 いろいろなものが全部知事には影響を及ぼさないような解釈ができてしまい、 誠に遺憾だ」 と答え、 実施要領に従うよう指導すると語りました。
また橋下知事が 「教育非常事態宣言」 を出し、 緊急対策の予算の裏付けにするための調査結果開示であって、 実施要領に拘束されないと主張していることを挙げ、 石井議員は 「これがまかり通ったら、 全国に波及する」 と指摘。 塩谷大臣は、 「予算のために必要な場合に限り参考にすることはできると思うが、 公表条例に基づいて出してしまうのは、 まったくルール違反」 と述べました。
さらに石井議員は、 校長や管理職を対象にした研修会 (6日) で、 特定の講師が 「目的のためには手段を選ぶな」 「プロだったら (学力テスト結果の) 順位を上げろ」 「私の言う通りやれば順位は上がる」 などと講演していることや、 携帯ゲーム機で反復練習をさせる方法を導入しようとしている問題を挙げ、 「まさに子どもたちがテスト競争に追い込まれていく」 と批判しました。
「大阪府での事例には、 (全国学力テストの) 趣旨や目的と反することがたくさんある」 とした塩谷大臣は、 「序列化や過度の競争心をあおるために調査をやっているわけではない」 などと説明。 石井議員は 「現場がこれほど混乱し、 矛盾を来している全国学力テストは、 もうやめるべき」 と強く要求しました。
投稿者 jcposaka : 2008年11月27日