府民には「生活レベルを抑えて」 財界には「インフラ整備が必要」 橋下「改革」で私学軒並み負担増
アメリカ発の金融危機が、 日本経済にも深刻な影響を広げている中、 橋下 「改革」 が大阪の景気と府民の暮らしに追い討ちをかけ始めています。 「大阪維新プログラム案 (維新案)」 による助成削減で、 府内の私立中学・高校の半数以上が、 来年度の新入生の授業料値上を予定するなど、 確実に押し寄せる府民への痛み。 それを承知の上で、 関西財界向けには 「ここでこそ、 必要なインフラ整備を」 と大型開発推進を表明する橋下知事の軸足は、 一体どこに。(関連記事2面)
値上げ高校の9割
助成削減が理由
11月27日、 大阪市立中学校高等学校連合会が来年度の新入生の納付金などについての調査結果を発表しました。 高校は94校のうち50校が授業料を平均4万7千円値上げし (昨年度比28校増)、 入学金は9校 (同5校増) が値上げ。 入学金と授業料を合わせた初年度納付金の平均額は77万800円 (同2万6500円増) になります。
中学校は60校中34校が授業料を5万2900円値上げし (同20校増)、 入学金は5校 (同4校増) が値上げします。 初年度納付金は平均79万6600円 (同2万9700円)。
橋下知事は 「維新案」 に基づいて、 ことし8月以降、 私立学校への経常費助成を小中学校で前年度比25%、 高校で同10%削減。 値上げした学校のうち、 助成削減を主な理由に挙げたのは、 高校で92%、 中学校で56%に上ります。 値上げしない学校でも 「人件費の抑制」 「経費削減」 などで据え置いたという回答があります。
橋下知事はこの調査結果を受けて、 「僕の府政がやった結果」 と認めながら、 「府民から声が上がると思うが、 いますぐ見直しは考えていない」 とかたくなです。
全国最低水準に
知事は見直し否定
12月1日には大阪府私立幼稚園連盟 (安家周一理事長) が橋下知事に予算要望を行いました。 「維新案」 による私立幼稚園の経常費助成は2・5%削減。 09年度の保育料値上げは過去10年平均の73校を大きく上回る102園となっている半面、 値上げしない209園も、 保護者負担に配慮して厳しい状況だと同連盟は強調します。
安家氏らは、 近畿2府4県で最低だった助成単価が、 「維新案」 の削減で国基準単価も割り込み、 全国最下位水準になっていると指摘。 「幼児期への教育投資の停滞は、 大阪の教育力の低下に拍車をかける」として、 経常費助成の増額など7項目を強く求めました。
橋下知事は、 経常費助成の問題には正面から触れず、 「(幼稚園は) できるだけ住民に身近な市町村がやるべきで、 権限と財源を下ろすことが必要」 などと答えました。
関西財界が評価
開発優先姿勢強める
幼稚園連盟と面会したわずか2時間前、 橋下知事は、 関西財界首脳で首脳でつくる 「アドバイザリーボード」 との第2回意見交換会に出席していました。 橋下知事は冒頭、 大阪商工会議所の野村明雄会頭に、 景気悪化の中で若者の正規雇用拡大などを求めた緊急要望書を提出。 野村会頭は 「要望を踏まえ働き掛けたい」 としたものの、「景気後退色の中で、個別企業は雇用調整や採用抑制の苦渋の判断をしていることもご理解を」など述べるにとどまりました。
出席した関西財界側は、 橋下知事の 「将来ビジョン・大阪 (素案)」 に関西財界の要求が盛り込まれたことを評価しつつ、 「景気後退の中で府の財政状況も厳しさを増す。 限られた予算の中で優先順位を付け、 勇気ある決断を」 (井上礼之・関経連副会長) などと要求。 WTCの府庁移転では、 「私たちは6年くらい前から言ってきたが、 知事は影響力が違う。 ぜひ頑張って」 (寺田千代乃・関経連副会長)、「(現在の) 府庁には府民は行かない」 (中野健二郎・関西経済同友会代表幹事) などの意見に、 橋下知事は 「大手前 (府庁) の外から声を上げてほしい」 などと語りました。
WTCがあるベイエリア地域の街づくり構想を、 大阪市と共同でまとめる意向を示している橋下知事。 「(財源がないので) 自治体は最低限のサービスをやると、 何もできない。 国民全員が生活レベルをちょっと抑えてかからないといけない」 などと語ると同時に、 「ここでこそインフラ整備が必要」 と発言。 これを受けて関西財界側も 「総力を挙げて社会資本整備を前倒しし、 インフラ構想を描きたい」 (奥田務・関経連専務理事)、 「先に何かがあるなら、 できる我慢もある」 (寺田氏) などと開発推進をあおっています。
投稿者 jcposaka : 2008年12月04日