教育の原点は人間を大切にすること 競争に駆り立てる「改革」はいらない 「学力」競争で子は育たない 橋下知事「教育緊急対策」問う 教育文化府民会議がシンポ
弊害大きく廃止すべき
教育文化府民会議代表委員の渡辺和恵弁護士の開会あいさつに続いて、 橋下知事の 「教育改革」 の問題点について、 大阪教職員組合の田中康寛教育文化部長が報告。 日本共産党の小松久府議が、 府議会の論戦について発言しました。
田中氏は、 橋下知事が大阪の全国学力テスト結果が2年連続で低かったことに対し、 「このざまは何だ」 などと発言し、 何としても全国平均正答率を上げようと、 新任の教育委員らとともに学力テスト対策に突き進んでいる状況を報告しました。 学力テストに対して 「弊害大きく廃止すべきだ」 (毎日 「記者の目」 11月12日付) など、 教育関係者やマスコミ、 政府与党内で否定的な意見が広がっています。一層の競争に駆り立て
田中氏は、 「有害性が浮き彫りになっている全国学力テストにしがみつき、 順位を上げると主張しているのが橋下知事と府教委」 と異常さを指摘しました。
田中氏は府教委の 「大阪の教育力向上プラン」 が、 「教育活動の数値目標化」 を掲げ、 家庭学習の時間から、 「小中学生が地域の人々にあいさつする割合」 まで35項目を挙げていることについて、 「子どもたちをいっそうの競争に駆り立て、 教育支配を狙うもの」 と批判しました。
教育条件は最低クラス
田中氏は、 大阪の教育条件や府民の生活条件が全国的に劣悪な水準にあるにもかかわらず、 同プランには教育条件の整備やそのための財政的な裏付けが欠けており、 「教育に対する知事の本当の責任を覆い隠すもの」 と強調。 「教育とは何か、 どういう教育を進めるのか、 子どもの現実から考え、 府民的な議論を起こしていこう」 と呼び掛けました
シンポジウムは、 子どもの権利のための国連NGO、 DCIの大阪セクションの松村忠臣さんの司会で進行。 「大阪の高校生に笑顔をくださいの会」 の藤井美保さん (府立高校3年生) は、 橋下知事との面談 (10月) を振り返りながら、 「中学校を卒業したら行政は手助けをしないと言った知事。 人間らしく生きる権利について知事はもっと学び直すべき」 と訴えました。
小学校教員の日高史代さんは、 日々接している子どもたちの姿や、 自らの教育実践にも触れながら、 「学校とは、 教師が教え込むのではなく、 子どもたちが学び合う場。 子どもたちが心も体も成長することが大切で、 決して 『訓練』 する場ではないはず」 と発言しました。
信頼を育む教育が必要
新日本婦人の会枚方支部の堤幸子さんは、 教育をめぐる母親たちの悩みを紹介した中で、 「学校現場で競争がさらに加速すれば、 障害児が受け入れられないなど、 弱い立場の子どもがはじかれていくのではないか」 と問いかけました。
大阪教職員組合の田中教文部長は、 「学力テストの結果を公表しないと、 子どもは勉強しない」 などの橋下知事の発言に触れ、 「教育の原点である、 子どもを人間として大切にするという考えがない」 と指摘。 「いま求められるのは、 人間同士がつながり、 信頼をはぐくむ教育」 と力説しました。
投稿者 jcposaka : 2008年12月04日