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レセプト請求 オンライン義務化やめろ 23日に地裁へ集団提訴 原告団を結成

2009年04月16日

 レセプト (診療報酬明細書) 請求をオンラインでしか認めないとする政府方針は憲法違反だとして、 大阪の医師や歯科医師らが国を相手取って、 オンライン化が義務でないことを確認し、 設備投資と精神的苦痛への損害賠償を求める訴訟を23日、 大阪地裁に起こします。 提訴を前に原告団結成集会が11日、 大阪市浪速区内で開かれました。

 政府は、 2011年4月からすべての医療機関にオンライン請求を義務付けるとしています。  これに反対する医師や歯科医師らが原告団への参加を呼び掛けたところ、 10日ほどで約296人が参加を表明しました。  結成集会で、 坂口道倫原告副団長は裁判の目的について、 地域医療の崩壊を阻止すること、 患者のプライバシーを守ることの2点を強調しました。

プライバシー

 大阪市北区のカウンセラーの男性は、 「当初は、 ペーパーレスになって、 いいことだと考えていたが、 私たちがレセプトに書き込む内容は患者のプライバシーそのもの。 個人の尊厳にかかわる情報がオンラインで管理されることに違和感を感じる」 と語りました。
 肛門科の医師は、 「子どもや女性の情報が漏れたら大問題」 と話しました。

全国で2例目

 同様の訴訟がすでに起こされている神奈川県では、 ことし1月の1次提訴に全国から医師や歯科医師ら961人が原告団に参加。 3月18日の2次提訴では約1700人となり、 その後も参加者は増えています。
 これを受け政府は、 3月31日の閣議で 「地域医療の崩壊を招かないよう配慮」 すると修正しました。
 しかし集会では、 「撤回の意思が見えない」 としてこれに反発する声が出されました。

憲法に反する

 弁護団長の河村武信弁護士は11日の結成集会で、 今回の政府方針が、 公衆衛生の向上に寄与する医師の活動を制限し、 社会保障や公衆衛生の向上・増進を国に義務付ける憲法25条に違反し、 患者のプライバシー権を保障する憲法13条 (幸福追求権) にも違反すると指摘しました。

森口英世富田林医師会長
義務化はさらなる医療崩壊招く

 富田林医師会は、 レセプトオンライン請求の義務化に反対し、 全国の医師会から意見を集約。 その結果を全政党・国会議員に送付しました。 運動の先頭に立つ森口英世会長に話を聞きました。
 私と同い年の、 61歳の医師が、 義務化が実施されれば 「医師を辞める」 と言っています。
 義務化はさらなる医療崩壊と、 患者情報の漏洩などの危険もあります。

情報漏洩の危険

 医師はコンピューターの専門家ではありません。 セキュリティーのことなど分からない。 しかしこの制度では、 患者の個人情報を守る義務が医療機関に課せられているのです。
 レセプトに載せられる個人情報は、 住基ネットの比ではありません。 病名に始まり、 通院や検査、 投薬の頻度などから、 その患者が重症かどうかまで推測できます。
 オンライン請求のために機器を購入し、 インターネット回線を引かなければなりません。 費用は200万円とも300万円とも言われています。 小さな診療所はとても負担できません。

高くない医療費

 報酬の請求方法を政府が医療機関に義務付ける。 これには、 医療費抑制の狙いがあります。
 日本の医療費は先進国中最低レベルです。 それでも日本は、 世界最高水準と言われる医療を提供している。 これは日本の医療機関が、 いまでも効率のいい医療を提供しているということを示しています。
 政府は「医療費適正化」と言って、 さらに医療費を削減しようとしています。 これが受診抑制や自治体病院の閉鎖など、 地域医療の崩壊を招いているのです。

医療受ける権利

 労働者派遣法の改悪で、 いま、 派遣社員の大量首切りがされています。 自立支援法で障害者も大変な思いをされている。 お年寄りに 「早く死ね」 と言わんばかりの後期高齢者医療制度も始まりました。
 オンライン請求が義務化されれば、 小さな医療機関の経営が立ちゆかなくなります。 それによって、 国民の医療を受ける権利がいま以上に制限されます。
 利益を得るのはやはり大企業です。 インフラを整備するIT業界や、 患者情報を提供される民間保険会社は、 この義務化によって莫大な利益を得るでしょう。
 患者さんは身体の疾患だけでなく、 心も不安でいっぱいです。 医師として心のケアもしなければならない。 患者自身が 「病気を治そう」 という思いを持つよう、 支えるのです。 医療には経済効率だけで計れない部分があります。

ほとんどが反対

 富田林医師会は全国の郡市区医師会へアンケートを試みました。 51・6%、 489カ所から返送があり、 内92%が 「反対」、 ほぼ半数が 「憲法違反だ」 と回答しています。
 普段はおとなしい医師も、 国民に医療を提供するという役割が果たせない事態には反対し、 たたかわなければなりません。

投稿者 jcposaka : 2009年04月16日

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