2月府議会閉会 府民が府政を動かす 事実と道理の論戦で奮闘 日本共産党大阪府議団阿部幹事長に聞く
2月府議会が3月24日閉会しました。 橋下徹知事が 「関西再生の起爆剤に」 などと叫んで強行しようとした府庁舎のWTC移転案は大差で否決。 福祉医療費助成制度の改悪にもストップがかかるなど、 大きな変化がありました。 橋下府政2期目のスタートにあたり、 2月府議会で明らかになった問題や府政の動向、 日本共産党の論戦と活動などについて、 日本共産党大阪府議会議員団の阿部誠行幹事長に聞きました。
府民の暮らし応援こそ府政の役割
2月府議会で問われたもの
先の2月府議会で問われた課題は何だったでしょうか。
阿部 「100年に1度」 と言われる経済不況が府民の暮らしや雇用、 中小商工業者の営業に襲い掛かる中、 国政とともに府政でも、 政治の役割がいまほど問われているときはありません。
私たちは、 2月府議会前の知事との意見交換でも、 「何よりも政治の緊急課題は雇用を守り、 府民の暮らしと営業を応援することだ」 と主張し、 代表質問や一般質問、 各常任委員会でもその立場を貫いて論戦しました。
橋下知事は昨年2月の就任と同時に宣言したのが 「財政非常事態」。 私たちは当時、 「府民の暮らしも非常事態」 と対置しました。 ところが、 橋下府政は府民の窮状に対して政治の役割を果たすどころか、 「財政再建」 を理由に府民に 「我慢」 を求め、 福祉・医療・教育・文化を切り捨てる。 大阪府は解体し、 関西州を実現するという政治的な目標を掲げてきました。 その 「次の一手」 として持ち出したのが府庁舎のWTC移転だったわけです。
WTC移転否決へ世論形成に全力
府庁舎問題で総合的な論戦
橋下知事が執念を持っていた府庁移転は大差で否決されました。
阿部 橋下知事は閉会後の記者会見で 「僕の感覚が (府民意識から) ずれていた」 と語りましたね。 そもそも、 府民の暮らしが大変になり、 中小業者が毎日のように廃業に追い込まれ、 介護や医療の現場も大変なこのときに、 なぜ庁舎の移転なのか。
私たちは、 橋下知事が移転を打ち出した直後から、 庁舎問題とは何かという基本に立って政策提起や論戦を積み重ねてきました。 地方自治法が定めるように、 住民の利便を最重視すべきだということ。 府民の防災拠点としての役割、 財政的な問題点も指摘しました。
橋下知事は 「不便なところを便利にするのが政治」 などと言いましたが、 財界が望む交通インフラ整備や湾岸開発など大規模開発の呼び水にすることが、 WTC移転の大きな狙い。 移転は二重三重の誤りだと追及してきました。
2月府議会では、 咲洲地区の液状化、 地盤沈下など新事実も明らかにし、 移転案の訂正や追加資料の提出が相次ぎました。 他会派からも 「議会軽視」 「拙速」 との批判が噴出しました。 私たちは早くから、 府民的議論がまったくされていないと批判し、 すべての資料を議会に明らかにするよう求めました。
府のアンケートでも移転反対が86%です。
そうした中で、 条例案も予算案も賛成は過半数にも満たず、 大差での否決となりました。 事実と道理に基づいた総合的な論戦と活動の結果だと思います。
医療費助成で予算修正に追い込む
「福祉のシンボル」 を守る
福祉医療費助成制度の改悪をめぐっては、 橋下知事が予算案の増額修正を提案し、 現行制度の継続が決まりました。
阿部 これは、 府民の運動と議会の論戦が勝ち取った大きな成果です。 昨年4月に財政再建プロジェクトチームの試案 (PT試案) の段階から、 削減の標的となったのが福祉医療費助成制度でした。
医療費助成はこれまで一部負担が導入されるなど、 攻撃にさらされてきました。
橋下知事の改悪に対して、 「これ以上の後退は許されない」 「現行制度守れ」 と障害者19団体や府三師会 (医師会、 歯科医師会、 薬剤師会)、 母子寡婦福祉連合会などの団体、 府民が運動を進め、 署名は100万人を突破。 昨年9月府議会では現行制度堅持の請願が全会一致で採択されました。
この到達点に背を向けて、 橋下知事は2月府議会に改悪案を出しましたが、 最終的に議会内外の強い反対で修正提案に追い込まれました。 黒田府政以来の 「福祉のシンボル」 とも言える制度を守ることができました。
橋下知事は現行制度の維持は、 「持続可能な制度とするための抜本的見直しをするまでの間」 と説明しました。
府独自の制度を守り抜くとともに、 毎年2200億円の社会保障費削減や障害者自立支援法など国の悪政をただすことこそ、 本当の抜本見直しです。
国政に迫るたたかいの発展も求められていると思います。
開発推進、 施策切り捨てが本格化
府民との矛盾さらに深刻に
09年度は橋下知事の 「大阪維新プログラム案」 による施策切り捨てが本格化しようとしています。
阿部 新年度予算でも、 市町村への交付金化で福祉の分野は大幅に予算が減らされ、 事業も廃止されており、 橋下府政と府民との矛盾はさらに深刻になっていくでしょう。
身近な住民サービスを市町村に押し付けて府の役割を放棄する一方で、 彩都や箕面森町、 新名神高速道路の関連事業や淀川左岸線延伸部、 安威川ダムの本体着工など大規模プロジェクトに乗り出そうとしています。
しかし財政危機の中で、 緊急性、 必要性のない巨大開発の中止を求める声が広がっています。
いま必要なのは、 住宅や公共施設の耐震化、 介護や福祉関連の施設増設など、生活密着型の、雇用拡大や地位経済の活性化に役立つ公共事業です。
大阪の文化を守る問題では、 国際児童文学館の廃止条例が自民、 公明などの賛成で可決されましたが、 現地存続を求める運動は引き続き重要です。 センチュリー交響楽団、 ワッハ上方やドーンセンター、 博物館など大阪の文化を守る取り組みも大きな課題です。
橋下府政の下で文化予算が削減され、 2月府議会に提案された組織再編では 「総合府民部」 と、 部局名からも 「文化」 の言葉が消えようとしていたのに対し、 全会派の意見で 「府民文化部」 に変更されました。 文化施策の充実を求める大阪文化団体連合会の請願、 センチュリー交響楽団の存続を求める請願が、 全会一致で採択されました。
引き続き広がる橋下府政への反撃
広範な府民と力を合わせて
橋下府政誕生から1年、 新年度からのたたかいにどう臨みますか。
阿部 昨年4月のPT試案以来、 福祉や教育、 文化を破壊する橋下府政の攻撃に対し、 さまざまな分野で、 歴史上かつてない府民の反撃が広がってきました。
その中で、 35人学級や福祉医療費助成は現行制度を守り、 私学助成の削減幅を修正、 体育館、 博物館など文化・スポーツ施設の存続させました。 道理のないWTC移転を否決してきました。
大局的には、 橋下知事の狙い通りにはなっていないし、 府民の世論と運動こそが府政を動かしていることを示したのがこの1年だったと思います。
橋下知事は09年度予算で黒字になったと自慢しましたが、 財政危機の構造は変わっていません。 大型開発の無駄遣いとともに、 財政危機の根本原因である、 国の地方財政締め付けをやめさせなければ、 財政再建は果たせません。
広範な府民との共同をさらに広げ、 解散・総選挙が迫る中、 府政と国政の転換を結んで議会内外で奮闘したいと思います。
投稿者 jcposaka : 2009年04月02日