大阪市政座談会(下) 政治は変えられると実感した。 平松「経費削減素案」との闘い
「橋下改革」に輪をかけた案
喜多 府の財政再建プログラム試案 (PT試案) が出たのは昨年4月。 最初、 平松市長は、 橋下知事との会談で、 市民負担増につながる福祉4医療費助成制度の改悪や文化の切り捨てを批判していました。 ところが9月になると、 それに輪をかけるような経費削減素案を出しました。
是枝 市対連としては、 市民サービス切り捨てを許さないたたかいを昨年4月から提起してきました。 橋下 「改革」 のやり方をテコにした 「便乗削減」 は許さないという立場で、 たたかいののろしを上げました。 市政分析や財政分析を重視し、 各団体が市財政についてよく理解することを重視するとともに、 運動面ではパブリックコメントの提出行動のように、 各団体の構成員一人一人が運動に参加することに力点を置きました。 中山 大阪市は04年から 「財政収支概算」 を毎年出していまが、 関市長時代の07年9月には、 1200億円を超える阿倍野再開発の赤字解消を視野に入れて、 「公債償還基金」 という、 いわば 「貯金」 を運用することを方針化しました。 しかし平松市長は財政運営では公債償還基金の運用ではなく、 10年計画の人件費削減に重点を置き、 阿倍野再開発の赤字につぎ込むことに着手しました。 人件費は4月から4%近い削減で、 年収200万円程度の、 まさに官製ワーキングプアといえる非常勤の保育士の収入は年間で7万円減ります。財政は堅調だと当局認める
経費削減案で平松市長は、 「大阪市が直面している危機的な財政状況に対応するため」 と説明していますが、 財界や投資家向けに毎年出している 「大阪市財政の現状と見通し」 では、 「危機的な財政状況」 という言葉は一言も出てきません。 市対連の交渉で、 「どちらが正しい記述なのか」 とただすと、 財政局の担当者は「どちらも本当です」 (笑い)。 要するに、 大阪市財政は堅調だということを認めたわけです。
是枝 大阪市対連は、 収支不足を解決する道筋として@大型開発を見直せば市民サービスは切り捨てなくてすむA同和行政を完全に終結するB公債費償還基金の活用C銀行への支払い利息を、 銀行の社会的に責任として凍結する の4つを提唱しました。 つまり市民サービス切り捨てや人件費削減をやらなくても、 財政運営ができるということです。
WTC問題は看過できない
喜多 WTCの2次破たん問題も見過ごせません。 特定調停で650億円の公金を投入し、 金融機関の肩代わりで500億円の損失補てんをする。 会社更生法を申請したことで、 大阪市が買い戻すのではないかという話も出ています。 こんな馬鹿な話は許せません。
銀行は社会的責任を果たすべきだし、 大阪市とそれを支えてきた 「オール与党」 の責任が問われるし、 私たちも運動を強めたいと思います。
旧同和行政も、 今年度で4億円予算を削ったといいますが、 全体では90億円くらい残されており、 完全終結が求められています。
正論であるなら必ず実現する
「共産党以外に責任ある」
山中 日本共産党市会議員団は、 財政的にも、 市民の暮らしに切り込まなくてもやっていけると追及し、 経費削減素案の撤回を求めてきました。 いま巨大開発、 乱脈同和やめるべきという日本共産党が一貫して主張してきたことが、 市当局も 「オール与党」 各党も否定できない事実になっています。 委員会でも自民党議員から 「共産党以外みんな責任がある」 という声も出るほどです。
今年度予算では地下鉄御堂筋線の可動式ホーム柵の設置へ調査費が計上されました。 地下鉄8号線に続いて、 長堀鶴見緑地線は2010年、 千日前線は2014年に設置されます。 私たちはずっと既設線でも設置すべきだと主張してきました。 とくに転落事故が多いのは御堂筋線に設置すべきだと言ってきましたが、 一番人が多くて階段もあって狭いところがある御堂筋線での設置は、 「荒唐無稽」 「絶対に無理」 とまで言われてきたのです。 安全輸送が最優先の公共交通という立場からの主張が実ってきています。 その時は少数に見えても、 市民要求を受け止めて議会に届ければ、 必ず実現すると思っています。
上野 本当にそうですね。 私たちも核兵器廃絶の署名行動など、 要求運動の中で 「絶対に無理」 とい声に出会いますが、 オバマ大統領も廃絶の方向を打ち出していますよね。 国民のため、 みんなのためにと、 信じて運動を続ければ時間はかかっても必ず実っていく。 妊婦健診の助成も14回に拡充されました。 助成額を実態に見合ったものにする運動にも力を入れたいと思います。 あと、 温室効果ガス排出量削減目標達成の実効効果を高めるための 「気候保護法 (仮称) の制定に関する意見書」 を上げてくださいとの要請もしました。 数値目標が明記されなかったのは残念ですが、 全会一致で採択されたことは意義あることだと思います。
いまこそ重要「5つの改革」
喜多 正論は有権者に受け入れられていくし、 政治は変えられると実感しています。 「100年に一度の経済危機」 と言われているくらい大変なときに、 逆に市民いじめや職員いじめの経費削減をやっていいのか。 市税徴収が強化される中で、 自殺者も出ています。 固定資産税の滞納で延滞税が膨らみ、 月10万円の分納もしていましたが、 差し押さえされ、 市税職員のひどい言動を苦にして、 80歳の男性が命を絶ちました。 国保料も年度内完納を前提にする分納しか認めないという通達も出されている。 こうした人権無視の市政運営は断じて許せません
構造改革の破たんが明らかな中で、 今度は自治体の構造改革がやられようとしていますが、 市民の暮らしを守るために国に 「もの申す」 ように、 平松市長に迫っていかなければなりません。
前回市長選で姫野さんが公約した「5つの改革」 (別項) が、 いまほど重要になっているときはありません。 この方向で市政を変えていかなければならないと思います。
「市民の目線」と言うならば
山中 平松市長は 「市民との協働」 を繰り返しアピールしていますが、 声も上げることのできない市民にはとても冷たい。 難病見舞金の廃止もそう。 学童保育や、 共同作業所など、 歯を食いしばって頑張っている人たちの声は、 簡単に切り捨てています。 本当に大変な人たちの声を突きつけられるか、 大きな課題ですね。
是枝 市民の生活の現場から、 声を届けていくことを、 もっともっと広げていきたいと思います。 平松市長が「市民の目線」 ということもよく言いますが、 何か市長がやってくれることではなく、 運動を通じて、 市長を市民の目線に立ち続けさせていきたいと思います。
「5つの改革」
(注) 第1の改革 「貧困の解消と格差縮小を目指し、 市民の暮らしをしっかり守ります」。 第2の改革 「街の中小業者の元気・繁栄に結び付く支援策を実行し、 経済活性化に尽力します」。 第3の改革 「行き届いた教育、 子育て支援、 女性の地位向上のため手厚い施策を実施します」。 第4の改革 「黒字の地下鉄民営化をやめさせ、 環境を守り、 文化豊かな創造都市大阪づくりを進めます」。 第5の改革 「同和行政を完全に終わらせ、 大型開発の税金の無駄遣いやめさせます」。
投稿者 jcposaka : 2009年04月23日