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パートは部品じゃない 女性5人が組合結成 メーデーで支援訴え 東大阪市働く仲間の会

2009年04月24日

「パート労働者は使い捨ての部品じゃない!」 ―。 東大阪市の自動車部品メーカー 「ケーブル工業株式会社」 で昨年末、 「自動車生産の減少」 などを理由に5人の女性フルタイムパート労働者が突然、 解雇されました。 労働組合をつくるのも争議も初めてという5人は、 地域労組 「働く仲間の会・JMIUケーブル工業分会」 を結成し、 支援を受けて職場復帰を目指しています。 女性労働者らは、 来月1日に大阪市北区の扇町公園で開かれる第80回大阪メーデー集会の壇上でも支援を訴えます。

願い届かず

  「せめて娘が高校を卒業するまで、 あと2年働かせてほしい。 そんな願いも届きませんでした」。 昨年12月20日に同社を解雇された母子家庭の女性 (38) が語ります。
 娘 (16) は子どもにかかわる仕事に就きたいと、 08年4月に保育専門課程のある私立高に進学。 授業料など年間80万円の学費が必要ですが、 奨学金制度も利用して、 「娘の夢を応援したい」 と必死で頑張っていた矢先の解雇でした。
 4年前から同社で働き、 時給は915円。 ボーナスは5万円で年収は190万円以下でした。 「仕事を失えば路頭に迷うことが分かっていたはず。 娘は4月から通信制高校に編入、 授業料や奨学金返済のためにアルバイトを増やして家計を助けてくれています。 元の職場に戻るまで声を上げ続けます」
  「机の下で手が震え、 なぜと頭の中が真っ白になりました。 景気がいい時は60歳の定年まで頑張ってって言っていたのは何だったのか…」
 5年9カ月前から働いている南幸子さん (57) は、 同社での8時間勤務に加え、 早朝のマンション清掃、 スーパーの夜間勤務とトリプルワークを続けてきました。
  「1人で子育てをし、 親を介護してきました。 無遅刻・無欠勤でフルタイムで働き、 残業・休日出勤をしても年収は200万円以下。 それでも誇りを持って働いてきたのに。 私たちは使い捨ての部品じゃないんです。 紙切れ1枚で首切りなんて許せません」
 同社はデンソー系の下請会社で、 トヨタの高級車レクサスなどに使用する部品を製造しています。 同社のパート労働者の雇用形態は 「期限の定めのない雇用」 で、 正社員同様、 60歳が定年とされてきました。

ビラを保存

 昨年秋以降、「景気悪化による生産減少」 を理由に、 パート労働者を個別に呼び出し、 12月中の解雇を通告。 計10人が12月で仕事を奪われました。
 職場に労働組合はありませんでしたが、 「自己都合」 で退職届を出すよう迫られた女性 (50) が、 数年前から自宅に保存していた 「東大阪働く仲間の会」 のビラを思い出して相談。 5人のパート労働者で組合を結成し、 解雇撤回を求めて団体交渉を重ねてきました。
 会社側は当初、 「業績悪化に伴う整理解雇」 を主張していましたが、 最高裁判例に基づく 「解雇4要件」 の具体的説明もなく、 財務資料の開示を求める組合側の要求も拒否したままです。 組合側が2月26日、 大阪地裁に 「地位保全」 などを求める仮処分を申請すると、 会社側は 「整理解雇」 の主張を一転させ、 パート労働者のミスや上司を無視する態度が悪いなど、 事実無根の中傷攻撃など、 不誠実な態度に終始しています。
 20歳、 18歳の2人の子どもと暮らす組合分会長の女性 (50) は、 「当たり前の権利さえ守られないのはおかしい。 泣き寝入りはしたくないし、 間違ったことをただしていきたい」 と語り、 昨年6月に入社した酒井礼子さん (55) は、 「自分たちの損得だけで裁判を起こしたんじゃない。 これからの若い人たちにもこんなひどい目に遭わせたくありません」 と語ります。

勇気もらう

 たたかいを広げようと、 地域労組に続いて全日本金属情報機器労働組合 (JMIU) にも加盟した5人は、 府内各地で開かれている大阪労連などの集会や、 東京で開かれた雇用集会などにも参加。 3月には 「女性パートを支援する会」 も結成され、 支援の輪も広がっています。
 南さんは訴えます。 「理由も分からないまま解雇され、 人間不信になりかけていた私たちが労働組合や支援者たちと出会い、 1人じゃないんだと勇気をもらいました。 たくさんの人に支えられていることを知り、 たたかいの中で強くなったと思います。 誰もが安心して働き暮らせる社会を目指し、 職場復帰を勝ち取るまで力を合わせて頑張りたい」

投稿者 jcposaka : 2009年04月24日

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