ほんまかいな橋下「改革」 来年度中にワッハ上方が廃止?
5万7千点の資料 府民の財産
上方文化 次世代に残して
演芸はもちろん、 広く上方文化の継承・発展へ、 難波・千日前で20年にわたって親しまれてきたワッハ上方 (府立上方演芸資料館) が、 橋下 「改革」 で存亡の危機に直面しています。 2010年度中に 「府有施設に移転・縮小」 することを打ち出したことに対し、 昨年、 演芸団体関係者の存続要望や上申書、 2万人を超える署名が寄せられたにもかかわらず、 方針をかたくなに変えようとしない知事。 しかし、 現在、 移転場所や移転後の展示・事業などについて、 何も具体的に示されていません。
資料散逸の危機
96年に開館したワッハ上方には、 上方演芸関連の貴重な資料約5万7千点が収蔵されています。 いまから20年前の89年、 漫才師の砂川捨丸さんの遺族が愛用の鼓を、 夢路いとし・喜味こいしさんが漫才作家の秋田実さんの直筆台本を、 府に寄贈したのがワッハ上方設立の出発点。 929人の寄贈者の8割が大阪府民です。
府は寄贈資料の展示は続けるとしています。 しかし移転には寄贈者の許諾も必要で、 20年間かけて府の責任で収集した府民の財産が、 散逸の危機にさらされることになります。 全国唯一の演芸ライブラリーには、 落語や漫才はじめ約3千の放送演芸番組が収められており、 無料で視聴できます。 在阪放送各局の全面的な協力で収集・運営されてきました。 府はライブラリーは 「存続」 としていますが、 移転で規模も縮小されると、 放送各局の協力は得られなくなり、 実質的に機能しなくなります。ホールが消える
ワッハ上方には、 資料館としてだけでなく、 公共ホール機能もあります。 大型連休中に三代目桂春団治襲名50周年記念落語会も開かれたワッハホール (305席)、 展示場フロアの一角にある小演芸場 「上方亭」 (約50席)、 プロ・アマチュアの練習・発表の場となっているレッスンルーム (約70席)。 この3つで、 平均利用率約90%の高さを誇っています。
府の 「移転」 案では、 ワッハホールは廃止し、 代替施設もありません。 府民が生の演芸や舞台芸術に触れる機会が減ることになります。
昨年7月、 日本演芸家連合 (三遊亭金馬会長) が出した要望書には、 上方落語協会 (桂三枝会長)、 落語芸術協会 (桂歌丸会長) など14団体が名を連ね、 「移転・縮小案は大きな打撃」 と訴えました。
「上方演芸の保存及び振興を図るとともに府民に上方演芸に親しむ場を提供し、 もって大阪文化の発展に資する」 これがワッハ上方の設置条例にうたわれた理念です。 それが根底から覆されることになります。
公共だからこそ
ワッハ上方は06年度からNPO法人と民間企業の共同企業体 「ニューウェーブ日東大阪」 が指定管理者となって運営。 昨年秋からことし3月にかけて、 大阪市教育委員会の要請に応えて、 小学4〜6年生を対象にしたユニークな 「落語体験ツアーズ」 に取り組みました。 ワッハホールの舞台機構の見学、 桂小春団治による説明と実演を盛り込んだ企画で、 20回で約5千人の子どもたちが 「生の落語」 に触れました。 ことしも行われます。
落語独特の所作や、 てぬぐい、 扇子の使い方などを、 目を輝かせて体験した小学生たち。 その姿に接したワッハ上方の伊東雄三館長は、 「子どもたちが成長するにつれ、 10年先、 20年先に生きる体験を提供できるのも、 ワッハ上方が公共の施設だからこそ。 『子どもも大人も笑う大阪』 が橋下知事の公約ではなかったのですか」 と問い掛けます。
「長年ワッハを育ててきた府民や在阪芸能プロダクション、 演芸作家、 私たち現場の関係者に何の相談も説明もないまま、 知事のトップダウンで一方的に進む 『移転・縮小』。 実際は 『解体・廃止』 であり、 納得できません」
ワッハ上方(大阪府立上方演芸資料館)
展示室では、 6月30日 (火) まで、 特別展 「祝・三代目桂春団治襲名50周年記念」 も開かれています。
展示室の開館時間は午前11時〜午後6時 (入館5時半まで)。 毎週水曜休館 (休日の場合は翌日) と12月27日〜1月1日。 展示室入場料金は大人400円、 高校・大学生250円、 小・中学生120円。 演芸ライブラリーのみ利用の場合は入場無料。
地下鉄なんば、 近鉄・南海難波駅から徒歩5分。 JR難波駅から徒歩10分。 大阪市中央区難波千日前127 (YES・NAMBAビル)。 06・6631・0884
投稿者 jcposaka : 2009年05月07日