「霞が関解体」の危険 知事があおる「悪政競争」(下)
道州制求める財界と瓜二つ
地方自治破壊の流れに
■民主の分権案
橋下徹知事が17日、 民主党府連主催の 「地方分権シンポジウム」 に出席しました。 昨年1月の知事選で自民党府連の推薦、 公明党府本部の支持で当選した橋下知事が、 民主党の行事に出席するのは初めてのことです。
民主党の分権調査会 (会長・玄葉光一郎衆院議員) は4月、 報告書 「霞が関の解体・再編と地域主権の確立」 を発表しています。
「国と基礎自治体による新たな 『国のかたち』 を目指す」 として、 国の役割を外交・防衛などに限定する一方、 現在の市町村を当面700〜800に集約 (最終的には300程度)。 「政権獲得後3年目までに、 基礎自治体のあり方の制度設計を進め」 るとしています。
「基礎的自治体重視の地域主権」 を掲げ、 都道府県や州の役割は縮小するとしています。 「道州制論者」 を自認する橋下知事は、 シンポジウム後の記者会見で、 「国の形を変える意気込みは伝わった」 としつつ、 道州制導入を明示しない民主党に不満気でした。
■自民の骨子案
記者会見で、 総選挙での対応を問われた橋下知事は、 「自民、 公明からも民主を上回る案が出てくると信じている」 などと語り、 明言を避けました。その自民党はどうか。
自民党道州制推進本部 (本部長・保利耕輔政調会長) は18日、 道州制基本法案の骨子を了承しました。 道州制を実現する時期の目標は明記していないものの、 基本法には道州制の理念・目的、 国と道州の役割分担などを盛り込み、 法制定から6〜8年後をめどに道州制に移行し、 市町村を700〜1000の基礎自治体に再編。 さらに総選挙のマニフェスト (政権公約) に道州制導入の実現を盛り込むこともおおむね了承しました。
道州制の位置付けを別にすれば、 自民党の骨子案も、 民主党の分権案も基本的に同じ内容。 橋下知事が民主党に強く求めているのは、 高速道路や鉄道など 「広域インフラ」 の整備の受け皿としての広域行政体=道州の位置付けをはっきりさせること。 シンポジウムでは、 大阪府市長会の倉田薫・池田市長が 「もう少し道州制を明確にした方が、 橋下知事の支持を得やすい」 などと語る一幕もありました。
■財界が要求し
もともと道州制は、 財界と自公政府が 「究極の構造改革」 として導入策動を加速。 日本経団連は 「道州制の導入に向けた第1次提言」 (07年3月)、 「第2次提言」 (08年11月) を相次いで発表し、 「小さな政府、 民主導の経済社会」 を掲げて自治体を財界・大企業のための開発政策などの道具に変えてしまうことを狙っています。
民主党の鳩山由紀夫代表は、 代表選の出馬表明で 「私が一番やりたいこと、 それは、 地域主権の国に変えるということ」 と発言。 関西財界は新代表の誕生を受けて、 「地域主権型道州制への考え、 中央集権・官僚主導国家像の変革の進め方など、 今後の 『この国の形』 について、 肝の据わったマニフェストを提示すべき」 (5月16日、 関西経済同友会・中野健二郎代表幹事) と、 民主党に注文を出しています。
支持政党の表明など総選挙への対応について 「僕は分権一本でいこうと思います」 と語り、 来月には道州制について民主党と公開討論を行う意向も表明している橋下知事。 自民党であれ、 民主党であれ、 道州制実現を求める財界の姿と二重写しになっています。 (終わり)
投稿者 jcposaka : 2009年06月25日