府庁移転条例案再び否決 9月府議会 反対60 賛成52 過半数が反対 日本共産党 道理ある論戦貫く WTCビル 85億円で購入は可決
9月府議会の本会議は10月27日、 最大の焦点だった府庁WTC移転をめぐり、 府庁の位置をWTCに変更する移転条例案を否決しました。 2月府議会で移転案を大差で否決されながら、 「大阪、 関西再生の起爆剤」 「庁舎問題を解決する唯一の選択肢」 などとして9月府議会に再提案した橋下徹知事の暴挙は、 打ち砕かれました。 一方、 約85億円でWTCビルを購入する予算案 (債務負担行為) は賛成多数で可決しました。 (2面、 6面に9月府議会関連記事)
27日の本会議で、 記名投票による採決の結果、 可決には出席議員の3分の2以上が必要な移転条例案は反対60、 賛成52で否決。 出席議員の過半数が必要なWTCビル購入予算案は反対50、 賛成61で可決されました。汚点を残すな
採決に先立って反対討論に立った日本共産党の山本陽子議員は、 いま府政に求められているのは、 総選挙で 「自民党政治ノー」 を突き付けた国民の審判を受け止め、 暮らし・雇用など全国でも極めて深刻な大阪の状況を打開し、 府民福祉の増進に全力を尽くすことだと強調しました。
山本議員は、 「知事は、 暮らし応援は国の経済対策そのままで、 府独自施策はほとんどなく、 あろうことか2月府議会で大差で否決されたWTCへの府庁移転案を再提案するという暴挙に出た」 と厳しく批判。 「伝統ある大阪府議会の歴史に汚点を残し、 後世からそしりを受けることがないよう、 WTC移転案とビル購入案を否決するよう呼び掛けました。
崩れた筋書き
WTC移転案で会派内で対立があった自民、 民主、 公明。 最後の実質審議が総務常任委員会 (23日) で行われた後、 最大会派の自民党はWTCビル購入案を含む09年度一般会計補正予算案に賛成し、 移転条例案は先送り (継続審議) にすることで合意しました。
民主党内もこれに同調する動きを強め、 移転条例案と買い取り案をセットで可決することを目指していた橋下知事も 「一歩前進」 と歓迎。 マスコミもいっせいに、 「WTC購入案可決へ」 (「朝日」 25日付) などと書き立てていました。
しかし、 このシナリオは崩れました。 採決日の26日から27日未明にかけて、 継続審議とする移転条例案の取り扱いなどについて会派間の調整が難航。 26日午後には、 移転条例案と買い取り案を一体に可決すべきだと主張する自民党の5議員が離団する一幕も。 27日早朝には、 一般会計補正予算案からビル購入案を分離し、 移転条例案も含めて採決することで各会派が合意しました。
反論はできず
2月府議会も含め、 「WTC移転が安い」 とする財政試算のごまかしや防災拠点としての致命的な弱点を一貫して明らかにし、 移転反対でぶれなかったのが日本共産党。 23日の総務常任委員会での同党の追及に、 橋下知事はいっさい具体的な反論はできませんでした。
日本共産党の小松久議員は、 府庁移転の前提である大手前の土地売却収入額 (1平方b97万円) は、 売買実例を無視した高すぎるもので、 しかも正式の不動産鑑定でなく信頼性が高いとは言えず、 「議案に成熟度が足りない」 と批判。 橋下知事は 「鑑定評価に準じるもの」 などと強弁しました。
宮原威議員は、 大阪府と大阪市は 「咲洲の防災機能に関する検討報告書」 をまとめるまで、 湾岸部の住民を地震や高潮から守る手立てをとらなかったのは重大だと強調。 防災対策の事業費も不明で無責任だと指摘したのに対し、 橋下知事は 「移転を契機に対策は加速度的に進む」 と話をすり替えました。
無反省を重ね
橋下知事の府庁WTC移転再提案で、 前面に出てきたのが関西財界でした。 6月に関西経済同友会が橋下知事と大阪市の平松邦夫市長に出した緊急要望で大阪湾ベイエリア地域の活性化と府庁WTC移転を要求しました。
9月と10月には大阪府・大阪市・関西財界だけでつくる 「夢洲・咲洲まちづくり推進協議会」 で、 起爆剤として府庁WTC移転を強調。 関経連の下妻博会長は9月の第1回会合で 「そっちへ行った方が得だと考えるのが経済界」 などと、 再開発を主導するのは行政側だとの本音を語りました。
総務常任委員会の知事質問で日本共産党の宮原議員は、 経済不況下で大企業には進出する自信もないと述べ、 「(ベイエリアを) 『現代の宝石箱』 などと、 呼び込み型開発を進めるのは知事や大阪市長の夢でしかない。 失敗する」 と警告しました。
知事提案の問題点が噴出し、 府庁移転条例案が葬られた中で、 使う目的もまったく明らかではない無駄なビル購入に賛成した議員の見識が問われています。
投稿者 jcposaka : 2009年10月30日