府庁WTC移転 地震で液状化・津波も 防災拠点の役目果たさず 府民連などが集会 塩崎賢明神戸大教授が指摘
2009年10月16日
「黙ってられへん!府庁舎のWTC移転」 と、 府民要求連絡会など4団体が12日、 大阪市中央区のエルおおさかで開いた府民集会で、 神戸大学教授の塩崎賢明氏が講演しました。 塩崎氏は大阪府・大阪市が共同でまとめた検討報告書を詳しく分析しながら、 「災害時にWTCとその周辺はいくつもの危険に襲われる可能性がある」 と述べ、 防災面から府庁WTC移転案を厳しく批判しました。
参集できない 可能性大きい 橋下徹知事は府庁WTC移転案の再提案に当たり、 2月府議会で指摘された課題をクリアするとして、 大阪府と大阪市共同の作業部会が8月にまとめた 「咲洲の防災機能に関する検討報告書」 を示しました。 報告書ではWTCビルのある咲洲地区や周辺について、 地震による液状化の津波発生の危険を挙げた上で、 災害時の職員参集の可能性を検討しています。 液状化が発生しても、 自転車は、 舗装が損傷している箇所を一部押して通行することになっても走行可能。 津波の影響を排除できないのであれば、 回避対策や防御対策が必要となる。 咲洲トンネルの坑口は想定津波水位より低いが、 第1波到達までに防潮堤が閉鎖されるため、 津波の影響はない。 塩崎氏は、 防潮堤の完全閉鎖などは確実に実施される保証がなく、 参集方法を確保するために新たな施設整備が必要でその効果や費用も定かでないとして、 「参集することが不可能になる可能性がある」 と強調。 危険なWTCに行くことにどんなメリットがあるのかについて、 現在地の大手前との比較もしていない報告書の欠陥を明らかにしました。 長期の支援に ふさわしいか 重大な問題として塩崎氏は、 「被災者支援の司令部としてWTCはふさわしいか」 と問い掛け、 長期にわたる災害復興の構えが検討報告書にないことを批判しました。 兵庫県震災復興センター代表理事でもある塩崎氏は、 災害対応は初動の24時間だけで終わらず、 緊急対応でも72時間、 1週間が必要になると指摘。 「1年、 5年、 10年と続く被災者支援。 内陸部の被災現場から遠いところにある防災拠点は、 被災者にとって、 いま (大手前)より便利といえるのか」 と語りました。 さらに塩崎氏は、 大阪府・大阪市・関西財界による 「夢洲・咲洲地区まちづくり推進協議会」 で、 府庁WTC移転を機に、 ベイエリア開発やなにわ筋線、 淀川左岸線延伸部の建設が議論されていることについて、 「開発すれば活性化するという 『ハコモノ主義』 『インフラ整備主義』 の非常に古い考え」 と指摘。 「少子高齢化などいまの時代の必要性に対応して、 福祉や医療、 環境、 防災に力を注ぎ、 それらが産業として活性化するように仕組みを変えていかなければならない」 と問題提起しました。投稿者 jcposaka : 2009年10月16日