藤川矢之輔さん 清水ただしさん対談 心を伝える芝居大事にしたい
前進座俳優 藤川矢之輔さん
誰もが文化に親しめる社会に
参院大阪選挙区候補・大阪市会議員 清水ただしさん
日本共産党の清水ただし参院選大阪選挙区候補が、 前進座俳優の藤川矢之輔さんと対談。 文化・芸術発展への願いや、 南座の前進座初春特別公演の見どころなど語り合いました。
藤川 ごぶさたです。 清水さんとは1年以上前に 『三人さんにん吉きち三さ巴ともえの白浪しらなみ』 のPRで大阪に来た時に、 福島区の集まりでご一緒させていただきました。 あいさつを聞いて、 それぞれの方に訴える話をする人だなあと思いました。 今度、 参議院の候補者になられたということで、 文化にも一番関心を持っておられる清水さんにとても期待してます。 清水 ありがとうございます。 大阪には、 くいだおれはしても、 いきだおれはつくらないという、 食と笑いと義理人情という独特の風土があります。 お上に対しても権力者を笑い飛ばす風刺のある町なんですね。 ところがこの間、 大型開発中心で文化予算がどんどん削られていって、 長引く不況で人々の心もすさむ中で、 なかなか観劇したり文化に親しむゆとりそのものがなくなってきているような気がします。庶民文化迫害は今も変わらない
藤川 歴史的には、 寛政の改革までは庶民もずいぶん締め付けられたけど、 まだ良かった。 それが天保の改革で歌舞伎までつぶされようとしたんですね。 それを止めたのが 「遠山の金さん」 でした。 そんなことしたら庶民が大暴動を起こすからと、 江戸の僻地に芝居町をつくったんですね。
庶民の文化は昔から迫害されてきましたが、 それが近代国家になってもまったく変わってない。 勝手なことをやってるように捉えられるのは、 本当にしゃくにさわりますよ。 郵政民営化で簡易保険の加入者の皆さんの観劇もなくなったり、 全部壊されていってるんですね。
清水 日本は欧米に比べても文化に使う予算が少ないですからね。 外国は映画も安いし、 オペラも気軽に行ける料金。 文化活動に対する補助なり、 国や行政の役回りが必要だと思います。
藤川 たとえば文化施設を演劇関係者が安く借りられるようにしていただけたらと強く思います。
清水 誰もが気軽に文化に親しめるようにするにはやはり経済の安定が必要です。 今度の選挙で政権が代わりましたが、 国民の皆さんの中には、 民主党が自分たちの願いに応えた政治をしてくれるという期待がある一方で、 やっぱり変わらないじゃないかという不安もある。 たとえば財界向きの優遇税制や沖縄の米軍基地の問題など、 当初の公約より後退してきている部分もあるんですね。
藤川 本当にこれからが心配だなあ。 この間も、 「日米関係の深度を増す」 と言ってましたが、 それより先に深度を増す課題がほかにあるだろう、 と思いましたね。。
清水 米軍への思いやり予算をやめれば、 文化・芸術への予算もぐんと増えますものね。 財界優先、 アメリカ言いなりの政治を正せる日本共産党が頑張らねばと思っています。
江戸の人情芝居落語と歌舞伎で
前進座の初春特別公演、 ことしは私も着物を着て 『出雲の阿国』 を拝見しました。 来年は人情噺 『双ふたつ蝶々ちょうちょう雪ゆきの子こ別わかれ』 と狂言舞踊 『釣つり女おんな』 をされるそうですね。
藤川 『双蝶々雪の子別れ』 は落語が元で、 主人公の長吉は、 子どものころからいたずらばっかりしてて、 米問屋に奉公に出されます。 奉公先ではまじめにやるんだけど、 陰へ回ると悪さする。 それを番頭の権九郎が見つけて、 黙っている代わりにと店の金を二百両盗ませるんですね。 ところが長吉は番頭を殺して二百両持って奥州に逃げちゃう。 その情けない番頭を私がやるんです (笑い)。
長吉が江戸に戻って来ると、 おとっつぁんが寝たきりになってて、 訪ねて行っても 「おめえなんかの顔も見たくない」 と。 そのおとっつぁんの役も私がするんですが、 子別れのところをやると、 男の方のすすり泣きが聞こえてくるんです。 そのたんびにもう少し泣いていただこうかと (笑い)。
清水 さらに力が入る。
藤川 純粋に江戸の人情を書いてる芝居で、 前半を林家正雀さんが高座で語って、 続きを私たちが芝居でやるという、 落語と歌舞伎のコラボレーションなんですね。
『釣女』 は、 大名と太郎冠者が西宮の戎様にお参りに行って、 よき妻を授けたまえと言うと、 お告げがあって釣竿が落ちている。 大名には絶世の美女が釣れるんですが、 太郎冠者が釣ると私が釣れる (笑い)。 このメーキャップした舞台写真は、 チラシにもポスターにも劇場の表看板でも絶対使わない。 劇場に入ったお客さんしかご覧になれないんですね。 被り物をスーッと開ける時の私の快感! (笑い)。 でも面白いだけじゃなく、 何でこんな心の優しい女性を太郎冠者はいやがるのか。 人間は見た目じゃないよ、 というのを感じてもらいたいですね。
清水 見どころ満載ですね。 ぜひ大勢で参加したいと思います。
矢之輔さんにおうかがいしたいと思っていたんですが、 同じお芝居を毎回気持ちを新たにして取り組むにはどうすればいいのですか?
常にテーマ考え客との交流実感
藤川 お客さん一人一人の思いはみんな違うし、 そのお客さんそれぞれとの交流として実感するということでしょうか。 僕らはどんなに忙しい芝居でも、 昼の部と夜の部はメイクをやりかえるんですよ。 それに決まったことをやればいいという感覚でいるといくらでもマンネリになる。 きょうはどんなお客さんか、 自分自身、 どんなテーマを持って演じるかを必ず考える。 そして常に課題を持つことが大事ですね。
清水 なるほど。 私もこれから新鮮な気持ちで毎回、 新しい課題を見つけて頑張っていきたいと思います。
藤川 お芝居はあくまでも娯楽ですが、 僕らの仕事はいいことをちゃんと伝えられるものでありたい。 心を伝えることを大事にしたいと思っています。
清水 私もいろんな講演会や演説会に行くんですが、 政治風刺を交えたバナナの叩き売りをするのを知っておられて、時々、 演説会場に行ったらバナナが置いてあるんですよ (笑い)。 きょうは背広着てるしなあと思いながら、 新聞紙丸めてやるんですね。
藤川 いやあ、 国会議事堂でぜひ清水さんのバナナの叩き売り見たいなあ (爆笑)
清水さんは、 いままでつちかってきた芸という武器とともに、 信念をきちんと持っている人だから、 その力を大いに発揮しながら、 本当の気持ちを伝えていってほしいですね。 必ずそれが支持層の幅を広げていくことにもつながると思います。
清水 ありがとうございます。 頑張ります!
ふじかわ・やのすけさん 1951年、 東京都出身。 前進座第三世代のリーダー。 初仕事は、 51年3月撮影 『どっこい生きてる』 の赤ん坊。 南座出演は、 58年3月 『め組の喧嘩』 辰五郎倅又八。 主な舞台は、 河竹黙阿弥の 『三人吉三巴白浪』 和尚吉三など。 テレビシリーズ 『遠山の金さん』 で飴屋の虎吉、 『伝七捕物帳』 でかんざしの文治を演じた。
前進座初春特別公演
2010年1月3日 (日) 〜21日 (木) 京都南座。 昼の部=午前11時。 夜の部=午後4時。 演目=人情噺 『双蝶々雪の子別れ』、 狂言舞踊 『釣女』。 特別席1万4千円、 1等席1万2500円、 2等席6500円、 3等席4千円。 申し込み・問い合わせ先=075・561・6300前進座京都営業所
日本共産党後援会新春観劇のつどい
1月3日 (日) 午後4時、 南座。 料金=特別席9千円、 1等席A7500円、 B6千円、 2等席4千円。 申し込み先=06・6768・8103府後援会 「前進座」 観る会。
投稿者 jcposaka : 2009年11月19日