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後期医療.廃止先送り・負担増に怒 いますぐ廃止を 世論大きく運動呼び掛け府民が集会

2010年02月12日

 鳩山首相が施政方針演説で「命を守りたい」と言いながら、75歳以上のお年寄りを差別する後期高齢者医療制度の廃止を4年後に先送りすることを決め、総選挙公約だった保険料の負担軽減策も実行しないことに、府民の怒りが広がっています。12日の大阪府後期高齢者医療広域連合議会の2月定例会で4月からの保険料引き上げが決まるのを前に、制度の即時廃止を求めて新たに府民運動が始まっています(関連記事7面)。

 「いますぐやめて!後期高齢者医療制度 即時廃止へ、再スタート集会」が5日、大阪市中央区内で開かれました。大阪労連や年金者組合府本部、大阪生活と健康を守る会連合会、大阪社会保障推進協議会、大阪府保険医協会などで構成する「やめてんか!後期高齢者医療 おおさか総行動」実行委員会の主催。

 開会あいさつで年金者組合府本部の松井幹治委員長が、署名宣伝の取り組み強化を呼び掛け。大阪府後期高齢者医療広域連合議会の北山良三・日本共産党大阪市議が、4月からの保険料引き上げについて報告したのに続き、各団体の代表が、「総選挙後の変化を踏まえ、国会議員要請など新政権を包囲していきたい」(府歯科保険医協会)、「老人会などへの働き掛けもさらに強めたい」(枚方社保協)などと決意を表明しました。

医療制度の広域化狙う

 後期高齢者医療制度をめぐっては、民主党が制度廃止を決めた一方、老人保健制度には戻さないと明言。2011年の通常国会に新制度創設の法案提出を目指し、現在、有識者でつくる「高齢者医療制度改革会議」が新高齢者医療制度創設に向けた議論を進めています。
 これら一連の動きについて大阪社保協の寺内順子事務局長は、新医療制度創設の狙いについて、国保を中心に医療制度を広域化することなどにあると強調。介護保険や後期高齢者医療で始まった保険料年金天引きシステムや、都道府県単位の広域運営などの弊害に触れながら、「国保が後期高齢者医療のように都道府県単位に広域化されたら、きめ細かいサービスはできなくなる。市町村議会と切り離されるため、国保改善の住民運動も反映されにくくなる。これからの時期の運動が非常に重要。参院選に向けて即時廃止の声を広げましょう」と訴えました。
 行動提起で、@後期高齢者医療制度をめぐる情勢、広域連合議会や保険料引き上げについての学習会開催、A新署名を活用した地域からの宣伝行動、お大師さん宣伝の強化、B3・21大阪府民集会への結集、C広域連合議会の傍聴や政党、自治体、老人会などへの働き掛け―を呼び掛けました。

廃止先送り高齢者の理解得られない
年金者組合.意見書採択求め請願

 鳩山政権が後期高齢者医療制度の廃止後につくるとしている「新制度」。昨年11月に設置された検討会議のスケジュールによると、ことし夏ごろに「中間取りまとめ」を公表するとしています。
 地方公聴会などの手続きを経て10年度末までに「最終取りまとめ」を作成、来年1月の通常国会に法案を提出。成立後、政省令の制定や市町村のコンピューターシステム改修などの準備に2年をかけ、13年4月に新制度をさせるというものです。
 全日本年金者組合大阪府本部は、1月29日に府広域連合議会に、後期高齢者医療制度の廃止で国への意見書採択を求める請願を提出しました(12日の府広域連合議会で審議)。意見書(案)では、民主党が昨年の総選挙で制度廃止を掲げて大勝しながら、新政権が新制度の創設まで廃止を先送りしていると批判。「廃止を先延ばしして、来期保険料を上げるというのではまったく高齢者の理解を得ることはできない」と強調しています。
 後期高齢者医療制度をいますぐ廃止して元の老人保険制度に戻すことをあらためて要求するとともに、国民的な議論と合意の下に制度の抜本改革を進め、廃止実施までは国の責任で保険料負担の軽減などを行うよう求めています。

4月から保険料5・07%増
の努力次第で据え置きも可能

 09年度第2回「大阪府後期高齢者医療懇談会」(1月27日)に、4月からの保険料改定(2010・11年度分)の最終案が示されました。
 1人当たりの保険料平均額(年額)は10万4667円。軽減措置後は8万728円で、現行(7万6833円)の5・07%アップとなります。
 府広域連合では当初、保険料の伸び率を20・3%と推計。自公政権時代の軽減措置の継続や、一人当たりの医療給付費の伸び(対前年比)の抑制、国の調整交付金の余剰金17億8700万円を新年度に全額投入することで、11・04%としました。
 厚生労働省は、保険料の伸びを5%以上程度に抑制するよう、33都道府県に指示しましたが、国の財政負担はありません。府広域連合は、予測できない事態に対応するための「財政安定化基金」(08〜11年度の4年分で約81億円)から、約57億円を取り崩して投入。さらに今後2年間の基金積み増し分を投入することで、伸び率を5・07%に抑えることにしました。

府議会に注目

 「財政安定化基金」は、国・府・広域連合で3分の1ずつの負担で、今後の積み増しでの府の増額負担は22億3485万円。
 高齢者の保険料負担を増やさないためには、値上げ分を国が全額負担すべきものですが、府議会で「後期高齢者医療財政安定化基金条例」を改正し、府の増額負担分を総額約62億5千万円とすれば、保険料アップを0%にすることもでき、橋下徹知事や府議会の対応が注目されています。

投稿者 jcposaka : 2010年02月12日

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