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新しい日本 地域・職場から考える 大阪革新懇結成30周年記念シンポジム開く

2010年03月05日

抜本改正には程遠い派遣法の改正案
弁護士 村田浩治さん

 「格差と貧困の問題は、決して自然発生的なものではなく、極めて人為的な労働政策の転換の結果だ」と村田さんは強調し、労働者派遣法の歴史を振り返りました。

 中曽根内閣時代の85年に成立した労働者派遣法は、日経連(当時)の提言「新時代の日本的経営」(95年)を受ける形で97年に派遣業務が16から26に拡大、99年に基本的に全業務に拡大されました。その結果、99年当時に70万人だった派遣労働者が、05年には300万人に増加。96年以降では、派遣を含む非正規労働者は500万人から05年の1200万人に急増。05年から06年にかけてNHKで「ワーキングプア(働く貧困層)」の特集番組が放送され、リーマンショック後の08年末には、東京に「派遣村」が出現するまでになりました。  「反貧困」の取り組みが日本弁護士会内でも担当分野を超えて進むなど、「多くの人が手を結び、格差と貧困が政策の問題であることに多くの人が気づきだし、政権交代も実現した」と村田さん。  政府の派遣法改正案について村田さんは、民主党の野党時代の政策からも後退しており、「抜本改正に程遠い内容」と批判。「国民的な運動が、政策実現に向けてどれだけ強く動いているかが、今後、政権党がどんな政策を展開するかの鍵になる」と語りました。

関西規模の大開発は壮大な無駄生む
奈良女子大学准教授 中山徹さん

 中山さんは大阪府の経済政策の歴史を跡付けながら、橋下府政の問題点を解明。第2次大戦後の大阪の経済活性化策は、機械や電機を中心とした都市型重工業(50年代前半まで)、堺の臨海コンビナートに象徴される重化学工業(50年代後半)へと変化し、60年代後半には西日本の経済中枢機能を目指し、70年当時の公共事業費は府財政の3割を占めました。
 黒田革新府政が倒されて以降、80年代は関空建設とプロジェクト産業のための基盤整備の推進が破たん、小泉「構造改革」による「特区」構想も失敗した中で登場したのが、橋下府政だと中山さんは指摘しました。
 橋下知事は、国際競争に勝ち抜くためとして、関西州の実現や府市統合を主張しています。
 「大阪府を解体して、関西規模で大型プロジェクトを進めるのが経済活性化の切り札だという橋下知事の考えで、“最後の壮大な賭け”。しかしこれは失敗するのが高い」と指摘。その理由は「今後は爆発的に人口も増えず、社会が成熟していく中で、関西規模で大規模開発を推進するのは、壮大な無駄を生むことになる」と述べ、大企業だけでなく、本当に労働者や中小企業にお金が回るような経済対策を、トップダウンでなく、府民参加型でつくるよう転換することこそが重要だと語りました。

分断「ほぐす」ため地域から声上げる
詩人・詩業家、NPO法人ココルーム代表 上田假奈代さん

 大阪市西成区釜ケ崎で「カフェ」と「メディアセンター」を運営する上田さん。0・62平方`bの釜ケ崎地域に、ピーク時で2〜3万人の男性労働者が暮らしていました。しかし、バブル崩壊後、高齢化や仕事がなくなる中で、労働者が野宿生活に追い込まれていったのが2000年代。同じ時期に、若者が切り捨てられてきた事態は、「60、70年代にはすでに釜ケ崎で起こっていた。釜ケ崎と若者の問題は分断され、若者も個人に分断され、生きづらい状況に置かれている」と上田さん語りました。
 運営する「カフェ」は、食事などで気軽に集まれる場所。「メディアセンター」は、地域住民と労働者の分断を「ほぐす」ため、路上にテレビを置いて古い釜ケ崎の街並みや昔の映画を流すことで、「人だかりができ、おしゃべりが生まれています。発言する機会もない抑圧されている人たちが、自分の気持ちを伝えることが大事。その表現の場をつくりたい」と上田さん。
 アルコール依存の増加や、商店街がさびれる一方で貧困ビジネスが広がっている釜ケ崎の現状を語りながら、「人がつながるための政策、場や機会が必要。個人レベルの取り組みを積み重ねながら、どう政策化するか、声を上げ、語り合っていく、ゆるやかで、さわやかな場をつくって活動しています」と語りました。

大企業の過剰取り分を社会に還元を
日本共産党大阪府委員長、大阪革新懇常任世話人 山口勝利さん

 山口さんは冒頭、日本の経済と国民の暮らしの深刻な状況を見る必要があると指摘。完全失業率、有効求人倍率は史上最高で昨年、日本の倒産企業は1万3千件に。大阪はさらに深刻で、失業率は全国最悪、生活保護、就学援助金受給率は全国平均の2倍、昨年の企業倒産件数は前年比163%です。
 山口さんはこれらの背景として、金融危機とともに過剰生産恐慌の側面があり、大企業がいくら利益を上げても国民の所得に反映しない仕組みがあると指摘。この10年間で雇用者報酬が27兆円減る一方、大企業の内部留保が142兆円から87兆円膨らみ、そこにはリストラ、賃下げ、非正規雇用の置き換えや下請け中小企業の単価切り下げなどでしぼり上げたお金が積み上げられていると述べた上で、過剰部分を社会に還元する責任を果たすべきだと強調。その中心問題は、労働者派遣法の抜本改正と下請け二法厳守の流れをつくることだと語りました。
 また総選挙後、国民が頑張れば要求が実現していく条件が広がったと同時に、アメリカに従属し大企業や財界の横暴を許す政治を乗り越える道はまだ見えていないと指摘。「新しい日本、新しい政治への国民的な探求が始まる中、政治のあり方を皆さんと一緒に考える努力を徹底して強めていきたい」と述べました。

投稿者 jcposaka : 2010年03月05日

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