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淀川左岸線2期事業 景観・環境対策未解決― 市民理解得られぬ 大阪市議会 日本共産党 清水市議が見直し要求

2010年03月19日

 大阪市の平松邦夫市長が、「関西の国際競争力強化に重要な役割を果たす」などとして、採算の見通しのない高速道路淀川左岸線2期事業を進めようとしています。11日の大阪市議会建設港湾委員会で同事業を取り上げた日本共産党の清水ただし議員(参院大阪選挙区候補)は、排ガス対策などの計画の問題点を指摘し、「このままでは住民の理解は得られない」と力説。淀川左岸線2期事業はきっぱり見直し、生活密着型の公共事業で中小企業に仕事を回すなど、予算を市民のために使うよう、強く求めました。

 淀川左岸線事業は、大阪市此花区・北港ジャンクションから福島区・海老江ジャンクションを結ぶ1期事業(5・7km)が工事中です。2期事業は、海老江ジャンクションから大阪市北区の豊崎出入り口を結ぶ区間(4・3km)。総事業費862億円で、大阪市は来年度予算案に18億円を計上しています。  96年に都市計画決定、00年から旧阪神高速道路公団が事業を実施していましたが、06年から大阪市の街路事業と阪神高速道路株式会社との合併施行方式となり、大阪市が事業主体になっています。  市当局は、「高速道路大阪環状線や一般道路の渋滞緩和に資するもの」「ベイエリアと新御堂筋を結び、広域交通ネットワークを形成する」として、2期事業の建設を推進してきました。清水議員は、「公団の民営化に伴い、採算が取れる見込みがないために、切り離された事業だ」と指摘しました。

景観と環境守れるのか

 計画では、淀川の堤防内部に上下4車線の高速道路をトンネル方式で通します。トンネル内部の排気ガスを排出する換気所は高さ40mの建造物で、約1kmごとに5カ所設置。「景観にも十分に配慮した施設にする」(大阪市)としています。
 清水議員は、上空から撮影した建設予定地のパネルを示し、「この辺りは本当に自然が豊かな地域だ。40mといえば15階建てのビルの高さ。これを5本も建てて、どうして景観が守れるのか。どんなシンプルなものでも、景観を守るとはいえない」と主張しました。
 清水議員は、換気所が吹き上げた排気ガスが住宅地に流れる可能性も指摘。排気ガス中の有毒物質を90〜95%除去する低濃度脱硝(だっしょう)装置が、首都高速道路新宿線でも実用化されていることを示し、2期事業でも設置するよう要求。「このまま工事が進められて、脱硝装置を付けるスペースすら作らないで設計することは、絶対認められない」と主張しました。

中小企業に仕事を回す

 緊急車両の通行のために設置されるトンネル開放部分(約300m)について清水議員は、「排気ガスや騒音が漏れる。緊急通路を別につくるなどして、住民の不安をあおる開放部分はやめるべき」と要求。トンネルと並行する淀川南岸線の建設計画に対しても、大型車が流入する可能性を指摘し、車両制限など規制策を求めました。
 さらに清水議員は、市の公共事業のうち、中小企業の受注割合が道路補修で98%、橋梁補修で96%に上ることを示し、「生活に密着した公共事業なら、中小企業に仕事が回る」と指摘。市営住宅建設や特養ホーム建設、学校校舎の耐震化などの公共事業は予算を前倒ししてでも進めるよう求めました。
 平松市長は、「広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な路線。事業費のコスト縮減を図りながら、着実に進めていきたい」と答弁。清水議員が指摘した沿道の環境への配慮や、用地買収について、住民の理解が得られるよう努めると答えました。また低濃度脱硝装置の導入について市当局は、首都高速の先行事例や換気所周辺の環境調査を踏まえて検討したいと答弁しました。

投稿者 jcposaka : 2010年03月19日

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