府民の暮らし・福祉・中小企業振興へ 府政のかじ切り替えよ 府議会一般質問 日本共産党・黒田府議が主張「大阪都」は開発路線の焼き直し
日本共産党の黒田まさ子議員が、25日開かれた5月府議会本会議で一般質問に立ちました。黒田議員は、全国に比べて大阪経済の落ち込みが厳しく、府民生活も深刻な事態にあることを示し、「府政運営の軸足を暮らしと福祉、中小企業振興に変えるべき」と力説。地域密着型の公共事業の推進など具体的な中小企業支援策と、社会保障の拡充などを提案するとともに、橋下徹知事が目指す「大阪都」は、破たんした巨大開発路線の失敗を繰り返すことになると主張しました。
大企業は栄え経済失速招く
黒田議員は、大阪に本社のある資本金100億円以上の企業の内部留保(ため込み金)は24兆円で10年前から2兆円増える一方、府内経済成長率は99年からの10年間で4・5%減少していると指摘。「大企業が栄えれば、いずれ中小企業や暮らしが良くなる」式の政治で、経済が失速してきたと強調しました。
黒田議員は、「暮らしを応援し、中小企業に仕事が回れば、地域経済活性化に大きな力を発揮する」として第1に、遅れている河川改修(あんしん川づくり事業)や橋の耐震診断・補強など生活密着型の公共事業を進めることや、固定費補助など中小企業への直接支援で府として対策を講じるべきだと強く求めました。 黒田議員は第2に、社会保障の拡充による雇用と内需の拡大を提案。待機児解消へ認可保育所を増やすことや、特別養護老人ホームの建設、介護・福祉職場の職員の待遇改善、医療費窓口負担の軽減などについて、国の対策を求めるとともに、府も必要な支援を行うよう要求。年間の賃金が98万円しかない府立学校の非常勤講師の劣悪な労働条件を、抜本的に改善するよう求めました。知事の構想で深刻な事態に
黒田議員は、府が90年代以降、関空2期事業やりんくうタウンなどの巨大開発を進めた結果、府の借金は5兆2千億円(07年度見込み)に急膨張し、福祉施策の削減などで府民生活は悪化したと指摘。08年度に企業誘致補助金を受けた大企業のうち、昨年9月時点で操業している3社の新規雇用はわずか8人にすぎないことを示しました。
さらに、橋下知事が「財政非常事態」を宣言し、府民生活関連に大なたを振るいながら、借金の大きな原因である大型開発は温存したと批判。「大阪都構想」で大阪市の権限と財源を独り占めにして、なにわ筋線建設や淀川左岸線延伸部などに1事業2500〜4千億円かけて進めるやり方は、これまでの失敗を繰り返し、財政や経済、府民生活をいっそう深刻な事態に追い込むものだと主張しました。
橋下知事が「都市間競争に勝ち抜く」として、法人関係税の実効税率を引き下げるとしていることについて黒田議員は、「企業が立地先を決めるのは税金の高さではなく、需要が見込まれるかどうかだ」と反論。「府民の暮らしと福祉を守り、そのために公共事業を生活密着型に転換し、中小企業の仕事を増やし、内需を拡大することが肝心。知事の描く方向はまったく逆だ」と述べました。
最後に黒田議員は、橋下知事が沖縄県の米軍普天間基地問題で、基地機能や訓練の分散移転を前提に、「受け入れの優先順位は関西が一番高い」などと発言したことに言及しました。
基地受け入れ発言撤回せよ
普天間基地の海外遠征軍は陸・海・空軍の通常の部隊ではない「殴り込み部隊」であり、昨年も2700人がイラクやアフガニスタンに派遣されるなど「日本防衛」とは無縁だと指摘し、橋下知事に発言を取り消すよう求めました。
橋下知事は答弁で、労働法制に関連して「セーフティーネットは必要だが、原則自由化すべき。規制が多すぎる」などと主張しました。中小企業支援での黒田議員の提案に背を向け、社会保障問題では、福祉医療費助成制度の拡充による医療費窓口負担の軽減などは考えていないと冷たく答えました。
WTC買収は無駄遣いに
黒田議員は、今議会で提案されているWTCビルの買い取りは、将来的には300億円の無駄遣いになることを示し、「身近な公共事業の経済効果を認めるなら、ベイエリア開発などはやめ、府政のかじ取りを転換すべき」と主張しました。
橋下知事がアジアとの競争に勝ち抜くには「古いものづくりなのではなく、高い付加価値のものづくりだ」などと答弁。黒田議員は「必要なことは、暮らしの応援と、大阪の魅力である『ものづくり』の高い技術力と集積の力を磨くことだ」ときっぱり指摘しました。
普天間基地問題で橋下知事は「沖縄県民の負担は軽減しないといけない」などと発言。黒田議員は「県民の『痛み』は分けるのではなく、取り除くべき」と強く求めました。
投稿者 jcposaka : 2010年05月28日