橋下徹知事が「大阪府は破産会社」などと叫び、府民の福祉・教育施策を根こそぎ切り捨てる「財政再建プログラム」（08〜10年度）を決めたのは08年のことでした。その路線を強行して２年余。今後も財源不足が続くとして、大阪府は６月末に同プログラムを引き継ぐ「財政構造改革プラン（改革プラン）」（11〜13年度）の「たたき台（試案）」を発表。これに対し、府民団体などから抗議の声が広がり、反対運動が始まっています。
　橋下知事は６月30日公表の「たたき台」を基に、部局長らとの意見交換を進め、今後８月上旬に「新プラン（素案）」を発表。パブリックコメントを経て、９月中・下旬に「新プラン（案）」をまとめ、同月22日開会の９月府議会に提出する予定です。
　府は「財政再建プログラム」に基づき、08〜10年度に事務事業９０４億円、建設事業２３９億円、人件費１２８３億円を削減。しかし４月の財政試算では、税収が低迷する一方、社会保障分野での地方の義務的な経費が増加する中で、財政破たんが懸念される自治体に転落しないためには、11〜13年度に計３１４０億円の収支改善が必要になると試算し、これを基に今回の「たたき台」を公表しました。
　「歳出改革」の対象となるのは私学助成、福祉医療費助成制度、中小企業向け制度融資、公営住宅など財政支出が大きい主要９事業、公共投資関係約４００事業。府有財産の売却や使用料・手数料の値上げなど「歳入確保」、府民牧場など４施設の廃止はじめ「公の施設の改革」を盛り込んでいます。
　また、後期高齢者医療制度の「廃止」後の「新しい医療制度への円滑な移行」をはじめ「国への制度提言」、「公務員制度改革」を打ち出しています。

反対運動がスタート
私学助成をすすめる会
要請はがき９５８２枚　府に提出
「最悪な話」
「総額増やして無償に」

　大阪私学助成をすすめる会（一之瀬良子会長）は15日、私学の学校運営費補助金（経常費助成）の抜本的拡充や、私立高校の学費無償化の拡充などを橋下知事に求める要請はがき９５８２枚を、府に提出しました。
　大阪市中央区のドーンセンターで開かれた提出集会で、同会の西尾喜美子副会長は「橋下知事になってから、私学を取り巻く環境は悪くなる一方」と強調。「財政構造改革プラン（たたき台）」について「先日、最悪な話が出た。火山が噴火するような気分だ」と怒りを込めました。
　「たたき台」では、㈰「財政再建プログラム」による私学助成・経常費助成の削減（幼稚園２・５％、小中学校25％、高校・専修学校10％）を引き続き実施㈪私立幼稚園３歳児保育料補助の見直し、専修学校高等課程への経常費助成の削減㈫私立小中学校への経常助成のあり方の見直しを―打ち出しています。
　同会の一之瀬会長は、橋下知事あての要請書で、助成削減で私学の経営が圧迫され、教育・労働条件が厳しい状況に置かれている現状が「視野に入っていない」と指摘。すべての私立学校の経常費助成を維持・拡充するとともに、私学助成を削減して私立高校授業料無償化の拡充予算を捻出するのではなく、就学支援補助金の増額など、助成予算総額を増やすことで無償化を進めるよう求めています。

明るい会･府民連　
共同強める運動提起
「改革プラン」学習会に１６８人

　明るい民主大阪府政をつくる会（明るい会）と府民要求連絡会（府民連）は15日夜、大阪市中央区のエルおおさかで、「改革プラン」問題での府民共同学習会を開き、約１６８人が参加しました。
　「改革プラン」の明るい会の平井賢治政策宣伝副委員長（大阪府関係職員労働組合＝府職労委員長）が、橋下府政の２年半を振り返りながら、「たたき台」の問題点について報告。福祉医療費助成制度について橋下知事が「ぜいたくな事業」「余裕のあるときにするもの」などと述べていることも示し、民主党政権の「地方分権改革」を率先して進め、社会保障分野での大幅な切り捨てや、知事言いなりのトップダウンの組織づくりのための公務員制度改革などを狙っていることを明らかにしました。
　参加者からは「府営住宅に入居できた人と、できない人の受益の差を問題にするなど府民の間に分断を持ち込もうとしている。『改革プラン』は府民の貧困が見えていない」（全大阪生活と健康を守る会連合会）、「制度融資『改革』は『成長企業』に特化するもの。もうけ優先の融資になれば、多くの中小企業は商売ができず、地域経済は破壊される」（大阪商工団体連合会）などの発言がありました。
　行動提起した府民連の橋口紀塩事務局長は、「改革プラン」や情勢についての学習、「暮らしをよくしたい」と願う府民・関係団体と対話・懇談し、幅広い共同を強める運動を進めようと呼び掛けました。