知事の府営住宅つぶしに怒 府「財政構造改革プラン」13万8千戸→約7万戸に「反対する会」結成

入居に数年待ち 一般世帯で26倍の競争率
府民の強い要望 無視する知事
ことし6月、今年度第1回目の府営住宅の入居募集がありました。北摂地域のある市で、市民税課の臨時職員として働いていたAさん(50)は、応募に必要な課税証明書の交付を求めて、窓口に殺到する市民への対応に追われていました。
「受益の差」
府営住宅への入居資格者は約63万世帯と推定されていますが、府はこれまで「財政再建」を理由に、府営住宅の新規供給を10年にわたって凍結してきました。このことは棚に上げて、「素案」では、府営住宅に「入居できた人とできなかった人との受益に大きな差」があるとし、高い抽選倍率など「受益者の偏りも著しい」などと決め付けています。
府営住宅を半減する理由として、人口減少社会を迎えて住宅ストックが過剰になり、高度成長期に集中して大量に建設された住宅(約7万3千戸)は、耐震性などの点で「保有リスク」があると指摘。半減に向けて、応募のない府営住宅を管理戸数から削減することや、良質な住宅を市町村に移管するほか、検討が始まったばかりで実現性のめどもない「バウチャー制度」の導入を国に提言などとしています。
橋下府政が「財政構造改革プラン(素案)」(以下「素案」)で、現在約13万8千戸ある府営住宅の管理戸数を半分に減らし、今後は「民間住宅市場を活用する」として、「バウチャー制度(市場家賃と府営住宅家賃との差額補助)」の創設を国に提案することなどを打ち出しました。府の住宅政策を根本的に変質させ、公的責任を投げ捨てようとする橋下府政の動きに対し、「府営住宅削減に反対する連絡会」が結成されるなど反対運動が始まっています。
「府営住宅の供給増こそ」――
運動団体が批判、撤回を要求
「住宅困窮者にとって極めて理不尽な方向。許しがたく怒りを感じる」――全大阪借地借家人組合連合会(大借連)は8月25日発表した意見書で、「素案」を厳しく批判していています。
府民運動へ
橋下府政が「素案」で打ち出した「府営住宅半減」に反対する府民の声を広げようと、大借連の呼び掛けで8月30日、「府営住宅削減に反対する連絡会」が結成されました。連絡会の結成に当たり同日開かれた懇談会には、全大阪公営住宅連合会、全大阪生活と健康を守る会連合会、大阪府関係職員労働組合の関係者らが出席しました。
経過報告した大借連の船越康亘会長が「素案」の問題点を説明し、「大阪府の住宅政策を大転換するもの」と批判。「大阪府が府営住宅半減策を強行すれば他府県にも波及しかねないとして、全国的にも注目されている。反対の声を広げていこう」と呼び掛けました。
意見交換では「府の考え方には、住宅は住民の生活文化の場だという視点が欠落している」「建て替えによる戸数削減や、すべての空き家を入居募集に出さないなど、府住削減の流れがすでにあるのは許せない」などの発言がありました。
連絡会は当面、9月府議会(22日開会)に向けて、府営住宅の管理戸数の削減に反対するとともに、府営住宅の増設を求める請願署名運動や橋下知事への申し入れ、宣伝物の製作、学習交流会に取り組むことなどを申し合わせました。

投稿者 jcposaka : 2010年09月03日
![]() |
![]() |
![]() |
