>>>ひとつ前のページへトップページへ

都市農業守る出発点に 枚方革新懇 「食の安全と農業再生」シンポパネル討論 農家と米作を守る施策を

2010年09月10日

 日本の農業を深刻な危機に陥れてきた自民党政治と、これに歯止めをかけない民主党政治から抜け出し、日本農業を再生するにはどうすればいいのか。日本や枚方市の都市農業の実態から考えていこうと、枚方革新懇(平和・民主・革新をめざす枚方の会)が4日、枚方市民会館で「食の安全と農業再生を考えるシンポジウム」を開き、約60人が参加しました。

農地の多面性生かす行政へ

 パネル討論では、枚方市農政課の松宮秀和課長が、同市の農業の現状を報告。同市の農地は472fで市域面積の8・3%を占め、そのうち水田が約90%を占めています。約1400軒ある農家の大多数は兼業農家で、高齢者と女性が担い手の中心になっています。
 枚方市では現在、府や農業委員会、JA北河内などと協力し、コメの裏作に植えたレンゲを有機肥料にする「エコ・レンゲ米」のブランド化や「ふれあい朝市」の開催、学校給食への地元農産物の供給、市民が作物の収穫を体験する「農業ふれあいツアー」などを実施しています。
 松宮氏は「農地は農産物の生産現場であるだけでなく、環境保全や防災、食農教育など多面的な機能がある。後世に残す地域資源として保全・活用する施策が求められる。後継者の確保も緊急課題」と述べました。
 家庭栄養研究会顧問の山崎万里氏は、天ぷらそばを例に、輸入食品の実態を紹介。そば粉(モンゴル産)、エビ(インドネシア産)、小麦粉(アメリカ産)、だし汁のしょう油の原料の大豆(アメリカ産の遺伝子組み替え)で、「これで日本食と言えるのか」と問い掛けました。
 山崎氏は、文部科学省の学習指導要領が、「競争を勝ち抜く人づくり」に重点を置き、食事や健康については家庭の責任を強調していることを紹介し、農業とともに、「食」をめぐる教育のゆがみも深刻だと指摘。大阪府が全国の都道府県の中で、中学校給食実施率が最低(08年度7・7%)であることも示すとともに、国産農産物を国が買い上げて学校給食に売るだけで、食料自給率は80%を超えると問題提起しました。

生産者と消費者をつないで

 元農林省専門官の佐保庚生(つぐお)氏は、大阪府内には「泉州みずなす」や「大阪ふき」「大阪えだまめ」をはじめ「なにわ特産品」(21種)に指定されたものも含め、農家が苦労しながら守り続けている農作物があることを紹介しました。
 「それらの食べ方を知らない人も増えている。生産者と消費者がどう手をつなぐか重要」と佐保氏。同時に、大阪府が07年に制定した「都市農業の推進及び農空間の保全と活用に関する条例」に基づく、支援策の抜本的な強化や、関連予算の増額が必要だと語りました。
 また佐保氏は、2010年産の米価が暴落し、コメ農家から「コメ作ってメシが食えない」という悲鳴が上がっていることを紹介。府内のコメ消費は94%を他の都道府県に依存している中で、政府が暴落対策を実施し、農家と米作を守ることが緊急課題だと訴えました。

農業の再生は社会的連帯で

 シンポジウムの開会あいさつで吉瀬孝子代表世話人が、革新懇の3つの共同目標に触れつつ、「私たちの命の源である食と農業の問題を一緒に考えましょう」と呼び掛け。閉会あいさつで折口勲代表世話人(日本共産党枚方市府政対策委員長)は、「食と農業の再生の道を開くのは社会的連帯。日本共産党も役割を発揮したい」と語りました。


アメリカ食糧戦略からの脱却こそ
日本共産党農林漁民局次長 有坂哲夫氏が講演

 基調講演した、日本共産党中央委員会の農林漁民局次長の有坂哲夫氏は、猛暑の影響で九州地方の米の作況が悪化していることに触れ、「農業生産は気象条件などにふさわしく発展させることが必要で、効率やもうけ優先ではとんでもないことになる」と指摘。日本の食料自給率が40%と世界でも異常に低くなっている中、食料・農業問題は、日本経済の建て直しにとって不可欠の課題だと強調しました。
 有坂氏は、長年の自民党農政が、水田中心の日本農業の特徴や、地域に密着した小規模・多品目生産を軽視し、大規模農業化を進めて、農村の社会的基盤を崩壊させたと批判。大企業優先と農業軽視、アメリカの食料戦略への追随からの転換こそ求められていると力説しました。
 その上で有坂氏は、日本共産党の食料・農業政策の基本的な考え方は、農業を国の「基幹的生産部門」と位置付け、自給率向上を国政の中心課題の一つにすることにあると説明。価格保障・所得補償の組み合わせを中心に、農民が農業を続けることができる政策や、生産者と消費者の共同で、食の安全と地域農業の振興を進めることなどを挙げました。
 有坂氏は、今年度の政府予算で、農林水産予算が34年ぶりに2兆5千億円を下回るなど、減額が加速している一方、民主党政権の下で軍事費が8年ぶりに増額されて、4兆7903億円に上っていることを示し、「『安全保障』を言うなら、安全な食料の安定確保こそ国民の願い。軍事費などの無駄こそ減らすべき」と語りました。

投稿者 jcposaka : 2010年09月10日

トップページへ ひとつ前のページへ ページ最上部へ
ご意見・ご要望はこちらから