国保「広域化」 大阪市は11万5千円増の可能性も 保険料は大幅値上げ 小谷府議が撤回求める 府議会本会議

10日の府議会本会議で日本共産党の小谷みすず議員が一般質問に立ちました。国や橋下徹知事が推進している国民健康保険(国保)の「広域化」は、国保料値上げなど限りない府民負担の増大につながることを明らかにして、「広域化」方針の撤回を要求。同時に、払いたくても払えない高い国保料の引き下げや国に国庫負担の復元を求めることなど、国保制度の立て直しについて具体的な提案を行いました。
住民負担
最優先課題は保険料抑制
知事法定外繰り入れは騙し
高すぎる国保料のために払えない人が増えて収納率が低下し、市町村が一般会計から法定外の繰り入れをしても国保会計が悪化し、さらに国保料が高くなる――小谷議員は、この悪循環が全国でも大阪でも広がり、「国民皆保険の土台の崩壊が言われている」と指摘しました。
国庫負担
罰則やめ国に復元要求を
知事相互扶助に基づく制度
小谷議員は、1984年の国保法改悪で、定率国庫負担は医療費の45%から35%に減り、高額療養費を入れても医療費の38・5%にすぎず、国保事務費や市町村の独自減免への国の補助もなくなったと指摘。国保医療費の削減分6・5%を復元するだけでも、府内で510億円の国庫補助が増え、一般会計からの繰り入れをなくし、1世帯当たり1万4千円の値下げができることを示し、国に復元を要求するよう求めました。
小谷議員は、大阪市の国保加入者の8割以上が年間所得200万円以下なのに保険料は府内平均より高く、府内でも収納率が低い市町村のほとんどが国保料が高くなっていると指摘。収納率が低いことを理由に交付金を50億9900万円(うち大阪市22億6700万円)減らすペナルティを撤回するよう国に要求すべきだと迫りました。さらに、市町村が独自に始めた子ども医療費助成制度に、国が国庫負担金削減を行っている問題について、「削減をやめ、無料を含めた助成制度に踏み出すよう国に求めるべき」と主張しました。
橋下知事は、「財政措置は国に要望・提案している」としつつ、国保制度について「被保険者の相互扶助に基づく制度であり、適切な収納率の確保が必要」と答弁。さらに子ども医療費に関連して、「自己負担ゼロにすると医療給付が限りなく増えてしまう」などと述べました。
府の役割
府が独自に減免補助行え
知事市町村が判断すること
「国保の立て直しには府の独自補助も大切」と強調した小谷議員は、国保加入者1人当たりの府の独自支出は03年度913円だったのが、太田府政最後の07年度582円、10年度507円にまで減っていることを示し、「市町村の保険料独自減免の一定割合を府が独自に補助すべき」と要求。窓口3割の一部負担金減免の拡充へ、国に交付金増額を求めるとともに、府としても補助制度をつくるよう求めました。
橋下知事は、国保料減免や一部負担金の減免は「保険者である市町村の判断で行うもの」として、府として新たな財政支援は拒否しました。
制裁措置
悪質でなければ交付せよ
知事資格証は重要なツール
最後に小谷議員は、滞納者への制裁措置として国保証を取り上げて代わりに交付する短期保険証と資格証明書を合わせた発行件数(ことし6月1日現在)が、府内全体で13万5594世帯(国保加入世帯の9%)に上っていると指摘。大阪市では11月末現在で6万7329世帯(同13%)で、「命にかかわる重大で深刻な事態。国保証は、悪質な理由がない限り交付するよう、市町村を指導し、調整すべき」と求めました。
橋下知事は短期保険証や資格証明書について、「受益と負担をきちんとするための重要なツール」などと、高い保険料を払えない国保加入者の生活実態などは抜きに、発行を正当化。「市町村がしていることで、僕がああだ、こうだ言う必要はない」とまで述べました。
小谷議員が自治体によって短期保険証の有効期間が1〜6カ月までさまざまになっていることを示し、「せめて6カ月にするよう市町村に徹底を」と求めたのに対しても、橋下知事は「これこそ市町村のマネジメント。おかしいのなら、市議会でただせ」などと言い放ちました。

投稿者 jcposaka : 2010年12月18日
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