売り先も価格保障もない∞TPPで壊滅的な打撃も°、産党府委 府森林組合と懇談
日本共産党大阪府委員会は11月25日、大阪市中央区の大阪府森林組合を訪ね、TPP(環太平洋連携協定)問題で懇談しました。清水ただし府国民本部長と、勝田保広国民運動委員会責任者が、党の立場を紹介。竹中正一専務理事が対応しました。
竹中氏は、冒頭、現在の林業の疲弊を招いた一番大きな要因に、1964年の伊勢湾台風があると指摘。「住宅再建に国産木材が足りないと、無理やり輸入自由化したところから、木材自給率が50%から20%に低下した。林業では早くから放置森林があった」と話しました。 大阪府内の森林は5万6千f(府域の約3割)。河内長野や和泉では、50年以上かけて育てた高品質の木材も多く、国産材で建てる木の家も、同組合で年間数戸、手掛けています。 しかし、不景気で家を買う人が減り、建築材の多くが外来産に取って代わられる中で、合板加工や燃料などに使われているのが現状です。わが子に継げとは言えない
「林家がさまざまな災害を乗り越えて、50年以上かけて育てたものは、やはり住宅のいい所に使ってほしい。売り先もない、価格保障もないという現状では、夢がなくて、わが子に山を継げとは、とても言えない」と竹中氏。
菅内閣の「森林・林業再生プラン」に対しても、「10年後に木材自給率を50%に引き上げようとしているときに、TPPで(自給率を)さらにもう一段落とすのか。TPPと『プラン』は矛盾する」と、不信・不満を隠しませんでした。
清水氏は、日本学術会議が農水省の諮問に答えて出した、農林漁業の多面的機能の貨幣評価を紹介。農業8兆円、漁業11兆円で、林業は断トツの70兆円。それらがTPP参加による関税撤廃で、壊滅的な打撃を受ける恐れがあると指摘しました。
大企業のため込み還元せよ
さらに清水氏は、「若い人は、細切れ雇用で低賃金。結婚など人生設計が成り立たない。トヨタの車も買えない」と話した上で、第1次産業で雇用を生み出し、大企業の有り余っているお金を社会に還元して、国内の景気回復を図るべきと主張しました。清水氏は、木材価格の底上げの必要性も強調し、第27回全国森林組合大会での志位和夫委員長のあいさつと、市田忠義書記局長の参院予算委員会(11月19日)質問を報道した『しんぶん赤旗』を竹中氏に手渡しました。
竹中氏は、「党の考え方はありがたい」「何とか出口(買い手)をつくっていきたい。そのためには景気回復は大事」と話しました。
大阪府森林組合
府内の16森林組合が合併し、2001年に発足。大阪市中央区の本店と、豊能(能勢町)、三島(高槻市)、南河内(河内長野市)、泉州(和泉市)の4支店、木材総合センター(千早赤阪村)で構成。現在、組合員は7200人(組織率7割)。府内の森林を守り育てるほか、リサイクル、土木、販売・加工、緑化、指定管理、建築など、それぞれ地域の特徴を生かした事業を展開しています。(12月5日付「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2010年12月04日