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大阪市、学資保険も差し押さえ 国保分納中でも予告 生活実態おかまいなし 4人世帯(所得300万)で50万超 高すぎる保険料 滞納3割

2011年01月25日

 大阪市は国民健康保険(国保)料を滞納している世帯への滞納処分を強化しています。「財産調査の結果、財産が判明した」世帯に対し、差し押さえを実行するとしています。差し押さえを予告された飲食店経営の男性(52)=福島区在住=は、長男(19)の大学入試を控え、「差し押さえされれば、入試費用や入学金のあてはない」と頭を抱えます。

 男性は妻(51)と2人で15年前から区内で飲食店を経営。開店以来、夜の営業に加えてランチ営業もしていましたが、周囲にランチを提供する飲食店が増えて客足が落ちたため、3年前から昼間は夫婦共にパートで働いています。
 医療費の窓口3割負担も重く、歯科など医療機関の受診も控えざるを得ません。
 男性は、2004年の税制改悪で消費税の課税業者になりました。同年から国保料の納付が困難になり、毎月、区役所窓口に相談して分割納付するようになりました。

執行停止を求めても認めず

 ところが昨年12月16日に、市から差し押さえを予告されました。分割納付しているにもかかわらず、06年度以降の滞納保険料と延滞金合わせて約83万5千円を、同月27日までに納付しなければ、差し押さえに着手するというものでした。
 男性の財産で主なものは学資保険で、長男と高校2年の次男(16)の大学入試と入学金、学費の支払いのためのものです。
 滞納処分の執行停止を夫婦は求めましたが、市は1月13日付けで「処分停止に該当しない」と回答しています。
 「子どものために保険に入ってこつこつ払い続けてきたのに、それすら差し押さえ。子どもを大学にやれないのか」と、夫婦は肩を落とします。

各区で月10件以上の予告が

 大阪市の国保は、1年間を10期に分けて納付する仕組み。市では08年度以前に7期以上の滞納がある世帯に対し、「債権回収チーム」が財産調査し、差し押さえを実行。今年度の目標件数は財産調査6万7千件、差し押さえを6700世帯としています。
 福島区では11―12月で46件の差し押さえ予告を通知。市内の各区でも、月に10件以上の差し押さえ予告がされているとみられます。

収納率の低下に国が制裁

 大阪市の国保料は、年間所得300万円の40歳代夫婦と扶養家族2人の4人世帯で、介護保険分を含め、約50万5千円になります。
 国保加入世帯は49万3千世帯。その内、年間所得200万円以下の世帯が8割を超えます。3割近い14万978世帯が、保険料を滞納しています(10年12月22日現在、大阪社保協調べ)。
 国は収納率の低さを理由に交付金を減額。その額は累計374億円に上ります。市も一般会計からの任意繰り入れ金を、08年度215億円から10年度193億円と、22億円減額しています。


自治体が暮らし破壊
大阪社会保障推進協議会 寺内順子事務局長

 子どもの教育費は、家計の中でも特に優先されているもの。それを差し押さえることは、住民の暮らしを守る自治体として、本末転倒の行為です。
 特に、「短期証」を区役所窓口にとめ置きされている世帯では、子どものいる世帯がとても多いのが特徴。子育て世帯の保険料は、誰が考えても納付が不可能なほど高い。この高すぎる保険料が問題です。
 また、保険料を完納している世帯でも、お金がなくて病院に行けない状況があります。完納世帯も生活費を削るほど苦しい実態を、自治体は認識すべきです。

保険料値下げ・減免拡充を
日本共産党が議会で提案

 市議会では日本共産党が毎年、国保料の引き下げや市独自の減免制度の拡充を提案。自民や公明、民主、維新の各会派が反対しています。
 いっせい地方選挙で、福島区から市議会へ立候補を予定する、同党の山田みのり氏は、16日の定例宣伝で、「大規模開発の無駄にメスを入れ、不公正な同和行政を完全に終結すれば、財源は確保できる。誰もが払える保険料にすべきだ」と訴え、保険料の引き下げを求める請願書名を呼び掛けました。

2月17日に市役所包囲行動.
国保よくする会

 保険料引き下げと、保険料滞納者への制裁中止を求めている「大阪市の国保をよくする実行委員会」は、2月17日(木)の市議会開会に合わせ、市役所包囲行動を実行します。

(大阪民主新報1月23日付け記事より)

投稿者 jcposaka : 2011年01月25日

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