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選挙結果から教訓引き出し、新たなたたかいに踏み出そう――山口勝利日本共産党府委員長に聞く

2011年05月19日

 大阪府、大阪市、堺市、府内17市4町の議会議員選挙と10市長選挙が先月行われました。その結果をどう見るかと、今後のたたかいの方向について、日本共産党の山口勝利府委員長に聞きました。

後退の重大さ自覚しつつ力関係変える展望持って

――いっせい地方選の結果をどう見ていますか。


 選挙戦でご奮闘いただいた皆さんに心から感謝し、その先頭に立たれた候補者の皆さんにもあらためて敬意を表します。選挙戦の結果については、府常任委員会の声明でも明らかにしたとおりで、前半戦で20議席、後半戦で72議席、合計92議席を獲得することができましたが、合わせて26議席後退となり、府民の命と暮らしを守る議席を減少させた責任の重大さを痛感しています。前半戦では、堺市議選では議席を守りましたが、府議選と大阪市議選では定数6削減の影響と大阪維新の会の進出への競り負けがありました。後半戦は、全体で定数19削減の下で、12市・3町で全員当選するなど奮闘しましたが、4市での共倒れなどがありました。出発点とした参院比例得票比では、前半戦が128・4%、後半戦が126・2%であり、その押し返し方が足らなかったという結果です。
 選挙活動の問題では、かつてない厳しさと激しさをよく見て情勢判断を行い、打開のための対策を立ててやり抜いたかが明暗を分けたこと。その上で、持てる力を出し切るために手立てを尽くしたか、党と議員団の日常活動、党の自力の不足の問題はどうかなどを中心に、各選挙区の前進面と問題点を深めることにしています。
 同時に、各党の府議選の得票率を見ると、維新の会が得票率40・64%を獲得する中で、自民党の得票率が15・08%、民主党12・07%、合計27・15%で全国最下位となり、「2大政党づくり」の破たんぶりが一段と明瞭になりました。わが党も11・60%にとどまりましたが、公明党の14・49%を含めて各党の得票率が接近しています。複雑な展開の中ですが、政党間の力関係を前向きに変化させていく足場があることをつかんで、今後のたたかいに臨みたいと思います。

維新の会との正面対決は必ず今後に力を発揮する

――前半戦は維新の会との正面対決になりました。
 橋下知事・維新の会が勢いを強める中、大阪では特別の厳しさと激しさに直面し、攻勢的な構えを確立することが大きな課題となりました。大阪の政治情勢と選挙の様相を明らかにしたアピールを出して、維新の会の大阪都構想が、関西財界が1950年代から求めてきたもので、自公政権の方向を民主党政権が引き継いだ地方自治破壊の方向を先取りするものだと解明しました。府民の暮らしへの大阪府の責任を投げ捨てる大阪都構想に対して、「住民の福祉の増進」を基本とする地方自治を取り戻す立場で奮闘することを呼び掛けました。この政治的構えは、今後の展開の中で必ず大きな力を発揮していくと確信しています。

論戦と併せた要求運動が共感と支持を広げる力に

――選挙での訴えへの手応えと教訓は。
 政治論戦では、橋下知事の大阪都構想を掲げた改革者ポーズに対して、彼らの正体を、暮らしと福祉切り捨ての財政構造改革プランと、大企業の利益優先のマニフェストの内容で知らせました。そして、橋下府政の3つの転換――㈰福祉と暮らし最優先の府政、㈪大企業呼び込み政治から、中小企業の振興で元気な大阪をつくる、㈫府民の声が届く議会への改革―を呼び掛け、それを進める共産党議員団の値打ちを明らかにしました。大震災を受けて、被災者救援と復興、原発政策の転換を求め、住民の命と暮らしを守る、福祉・防災のまちづくりの中で府政の転換を訴えて、有権者から共感が寄せられました。
 この訴えと併せて、焦点になる住民要求を突き出した署名運動などで選挙の争点に押し上げる努力も進められました。維新の会の影響を強く受けた吹田市では、前半戦で府会議席を引き継ぎ、後半戦で8議席・第1党を守り抜きました。党の日常活動と各分野の市民運動が力となり、千里救命救急センター補助金復活、国保料府内統一化反対、府営住宅削減反対、学校耐震化促進などを求める住民運動を通じて、府政・市政の問題点、党議員団の役割が明らかになり、共感と支持を広げたことは重要な教訓です。
 この点では、橋下知事も震災後の訴えでは、府民の暮らしへの責任を放棄する「大阪都構想」の姿を隠して「黒字の実績」を押し出し、「政策の実行力」をアピールしました。この中で府民要求に押されて、中学校給食の実施、普通教室へのエアコン設置、敬老パスの維持、保育所の入所待機児解消、医療助成を中学生まで無償化、高齢者施設の増設などを「公約」に掲げざるを得なかったことは重要です。後半戦直後に橋下知事も、「変えられない時の失望感は尋常でない」と語っています。「政治を変えたい」という有権者の思いと、橋下知事・維新の会の政治の中身には大きな矛盾があり、そこに地方政治を変える新たなエネルギーが生まれてきます。

「党の自力不足」打開と公約実現の要求運動に全力

――橋下知事は、11月の大阪市長選挙に合わせて知事を辞職してダブル選挙にするとしていますが。
 5月から新たな決意で党活動に踏み出し、地方選の教訓を引き出しながら、公約・国民要求実現のたたかいに打って出て、「党の自力の不足」を打開するために全力を挙げます。
 大震災、原発事故という国難を乗り越え、新しい日本をつくるために、「3つの国民的運動」―㈰被災者支援と復興のための国民的運動、㈪原発政策の根本的転換を求める国民的運動、㈫「ルールある経済社会」を目指すたたかいを発展させる国民的運動に取り組みます。大阪で党に寄せられた救援募金は7千万円を超えましたが、さらに募金や救援ボランティア活動を強めます。
 大阪の地方政治をめぐるたたかいは、地方選挙の結果を受け、秋にも行われる大阪市長選挙・大阪府知事選挙に向かっています。「明るい会」、「よくする会」とともに府民の共同を広げ、「住民が主人公」の府・市政への転換を切り開いていきます。
 橋下知事と維新の会が打ち出すとしている府市再編の「大綱」や大阪都構想の内容を分析し、「住民が主人公」の立場で転換の方向を提起していきます。維新の会の議員定数削減に反対する世論と運動を直ちに広げます。
 橋下府政の「財政構造改革プラン」によって、さまざまな犠牲を強いられてきた各分野の人々が、府政の実態をつかみ、その転換の必要性を実感してきました。「明るい会」、「よくする会」の宣伝と対話運動の先頭に立つとともに、地方選挙の公約実現の立場から、地方議員団と党支部が切実な要求を取り上げた住民運動を草の根から巻き起こすことが大事です。同時に、維新の会が「公約」に掲げた、府民要求を反映した政策の実現を迫るたたかいも重要です。
 1971年の黒田革新府政誕生から40周年を迎えました。当時、私たちは、公害問題や保育運動など各分野の運動が合流して府民型統一戦線を発展させ、府民が主人公の政治への道を開きました。いま、古い自民党政治の装いを変えただけの地域政党に有権者の目が向く中で、切実な要求に沿った草の根の府民運動を広げ、府民の新たな共同を発展させていく大事なときを迎えています。要求運動と対話の中で、橋下・維新の会の本当の姿を多くの府民に知らせることが、知事選、市長選挙の勝利を切り開く土台になります。日本と大阪の未来を語り合う「集い」を無数に開催することを呼び掛けます。
 大震災と原発事故を通じて、多くの府民が政治と社会のあり方を見つめ直しています。「国民が政治の真実とは何か、日本共産党の主張にこそ真実があるのではないかという認識を発展させる可能性」に目を向け、府民の探求を後押しするために力を尽くします。

投稿者 jcposaka : 2011年05月19日

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