議員定数削減・「君が代」起立強制条例案など 府民の合意な 拙速 採決せず取り下げを 日本共産党府議団が見解発表
5月府議会に大阪維新の会が提出した議員定数削減案、「君が代」強制条例案など議員提出の4議案について、日本共産党大阪府議会議員団(宮原威団長)は5月30日、「いずれも拙速、府民間の合意がなされていない」として提案の取り下げや修正を求める見解を発表しました。
定数削減案で40%が死票に
維新の会の議員定数削減案(現行定数109から88へ)は第1に、定数1の小選挙区が現行の33から48に増え、1人区と2人区が62選挙区中55選挙区(88・7%)を占め、ことし4月の府議選結果を当てはめると40・2%が死票になります。第2に、1票の格差も現行の2・29%から2・88倍に拡大することから、「不平等をさらに広げる」と批判し、提案の取り下げを求めています。
現行公職選挙法では、都道府県議選の選挙区は市・区・郡を基礎とする明治以来の制度を変えておらず、「任意合区をしても、多様な意見を反映するものとはなりえない」として、公職選挙法の改正を含めた見直しが必要だと指摘。4年後の選挙定数の削減を数の力で強行するのではなく、公職選挙法の改正を府議会挙げて国に求めながら、適正定数について検討することが必要だとしています。国旗国歌法にも反するもの
維新の会が提出した「君が代」強制条例案、自民党提出の「日の丸」強制条例案については、憲法が保障する思想・信条の自由を侵害し、国旗・国歌法の解釈にも反するとして、直ちに撤回するよう要求しています。
学校教育で「国旗・国歌」をどう扱うかは教育内容の一つとして学校で議論し判断すべきことであり、条例や通達、職務命令などで行政が強制・命令すべきことではないと指摘。橋下徹知事は「懲戒条例」を9月府議会に提案するとしていることから、「今回の条例案は処分の根拠づくりを狙ったものであり、処分を盾に教職員をどう喝し、強制を強めるもの」としています。
さらに「貧困と格差」が大阪の子どもと教育に影響を与え、教育現場の深刻さが増している中で、府が果たすべきことは「君が代」の強制ではなく、少人数学級や「定数内講師」の解消、中学校給食や子どもの安全を守る対策だと強調。「君が代」「日の丸」に賛成の人も含めた幅広い府民・団体が「強制はひどすぎる」と撤回を求めていることも示して、「重大な問題を持つ条例案を、議会での十分な議論を経ないまま、きわめて短期間のうちに数の力で強権的に押し通すことは許されない」と厳しく述べています。
維新の会が提出した「新たな大都市制度検討協議会設置条例案」については修正を要求しています。
全会一致の運営の協議会逸脱
大都市制度を検討する場合は、府民福祉の向上と大阪経済の振興、住民自治の拡大という点から自由に議論すべきだが、条例案にはこれを妨げる内容が含まれていると指摘。前文で、大阪府と大阪市の現状を「二重行政」「投資の分散」などと描いていることは、「事実に反し、維新の会の特定の見解に基づくもの」と批判しました。過半数による採決を記していることは、全会一致で運営すべき協議会の性格を逸脱するものであり、住民の意思を反映する上での配慮もないなどの問題点を挙げています。
強権的やり方許さず
宮原府議団長
記者会見で宮原団長は、定数削減問題について、03年以来の3回の府議選の結果から、多数党が得票率を上回る議席を得てきたことを示しながら、「府や国による大型開発などの無駄遣いと借金の増加、府民福祉の後退が進んだが、それを十分にチェックできなかった原因の一つは、府議会の構成が多様な民意を反映してこなかったことにある」と述べました。
「君が代」強制法案について宮原団長は、国旗・国歌法の制定時(99年)に「国民の皆様方に新たな義務を課すものではありません」と小渕首相(当時)が表明していることなどを示し、条例案は法解釈にも反していると指摘しました。
宮原氏は「『君が代』強制条例は維新の会のマニフェストになかったものであり、大都市制度の協議会について知事は『白紙から議論する』と述べていた。こうした問題を多数の力で強権的に進めることは許されない」と批判しました。
投稿者 jcposaka : 2011年05月28日