「子ども・子育て新システム」で負担増 認可園の大量建設を 保護者が「各党の意見聞く会」
民主党政権が新しい保育制度「子ども・子育て新システム」を提案しようとしている問題で、5月28日に「新システム」について、各政党の意見を聞く会が開かれ、120人が参加しました。政党代表として、日本共産党の山下芳生参院議員、自民党の竹本直一衆院議員が参加しました。府内の保育所・学童保育所に子どもを預ける保護者たちの会の主催。
パネルディスカッションで、コーディネーターを務めた河村学弁護士が「新システム」について、介護保険と同じような制度設計で、㈰幼稚園や保育所は子ども園に移行する㈪保育の必要度に応じてサービスが給付される㈫保護者は市町村を介さず、子ども園と直接契約する。保育料は子ども園の裁量で自由に決められる㈬子ども園の設置は市町村の許可制ではなく、条件を満たせば誰でも自由につくれる指定制にする。株式会社も参入でき、子ども園事業で得た収益をほかの事業に回すことができる――などと説明。昨年、地方分権を口実に全国一律の保育所の最低基準が撤廃された下で、「新システム」が導入されると、保育環境の悪化や保護者の負担増に加え、「金もうけの道具にされて、保育がおろそかになるのではないか」と不安を語りました。保育の公的責任なくす
「新システム」に反対
山下参院議員
山下氏は、少子化なのに待機児が4万8千人も出ていることが問題で、自公政権が保育所を増やさず詰め込んできたやり方を批判。また私立が増えているのに、公立は減少の一途で、背景に国の補助金カットがあることを指摘しました。
撤廃された最低基準でさえ、例えば保育室の広さでスウェーデン・ストックホルム市の約4分の1、パリの約3分の1で、引き上げが求められていると力説しました。
山下氏は、自治体の保育への公的責任をなくす「新システム」は大きな間違いと主張。10万人をカバーする認可保育所の建設や、保育士の待遇改善、保育料引き下げなどを含めても年間4千億円でできると述べ、「軍事費の1割弱を回すだけで、大きくかじを切ることができる。声を上げられない子どもたちに代わって、大人が声を上げよう」と訴えました。
竹本氏は「子育てを金もうけにされてはたまらない。子どもは親の宝であり、国の宝。最低基準を満たすものでなければだめ。いまの案では絶対に反対。野党の共同で、法案が出てきても廃案にする」と述べました。
また両氏とも、民主党の政策決定の過程のおかしさや、「理念・哲学がない」(山下氏)ことを批判しました。
参加者は、「『新システム』を提案しているのに、民主党はなぜ説明してくれないのか」、「知れば知るほど『新システム』で負担が増えると感じた」、「保育園長を務めているが、この制度では子どもの格差がいま以上に生まれると思う」などの意見を出しました。
投稿者 jcposaka : 2011年06月03日